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ダンジョン、激闘


 受け取ったダンジョンリングに魔力を込める。指輪はそれにより少し熱を持って輝きだすと、次の瞬間は既に森林階層の階段前だった。

 ダンジョンリングの説明を見ると連続使用ができないみたいで、今度は魔力を込めてもなんの反応も示さない。


「えっ……」


 思わず、ルナが声をあげる。

 2人も問題なく、ダンジョンリングを使えたようだ。

 しかし、驚いた理由はそこでは無かった。


「黒い……炎……」

 この階層は焼き払われていた。

 一面、植物で埋め尽くされていた筈の森林ステージが黒炎に焼き払われ見晴らしの良いはげ山のようになっていたのだ。

 邪悪な魔力を宿したその炎は明らかに通常の炎より燃焼スピードが速く、こうしている間にも木から木へと燃え広がっていく。


 なんだ、これは。

 コボルも口には出さないが苦々しい顔をしている。


 そして黒い炎に包まれた森の中、こちらへ悠然と歩みを進める二人の魔族。

 この惨状を引き起こしたのはこいつらで間違いない。


「そんな……ひどい……」

 ルナはこの状況を見てショックを受けたのか少し呆然としている。

 そんなことを考えている俺も沸き出てくる怒りの感情を理性で押さえつけている状態に近い。


 しかい、俺をそうさせているのは相手の異常な魔力、脅威だ。


 

「……俺が行ってやる」

 コボルが先手を仕掛けようとしているようだ。

 だが、こんな現象を起こせる奴らをなんの考えも無く倒せるとは思えない。

 ここは戦闘の意志を納めてもらうしかない。


「待て」


 俺がコボルの初動を止める。

 戦闘は最後の手段、穏便に話合いで帰ってもらえるのが最善。

 現状、ルナもコボルもピリピリしていて穏便な空気ではない。

 

「――――良い判断だぜ?」


 まだ遠く離れていたはずの魔族の姿がぼやけるように歪み、ボヤけていく。

 そして、二人の魔族が突然目の前に現れる。一瞬にして距離を詰められた形だ。


「「なッ!!?」」「えっ?」

 

 突然の出来事。思わず驚きの声をあげてしまう。

 高速移動でも何でもなく、突然現れた。


 これは、何かの魔法だ。瞬間移動のようなものなのだろうか……?

 ただ、それであれば俺の危機感知能力はそれくらい予測して感知できる。

 それなのに今回は完全に脅威の位置を見誤っていた。

 ……なんだ、この違和感。


「お前は……そういうことか。やっと俺たちが派遣された意味が分かったぜ」

 赤髪の魔族は凶悪な笑みを浮かべながら俺の方へ視線を向けると自身の身体から魔力を滲ませる。

 

「ッ!?」

 一人、納得したように頷いた後自身へ向けられた魔力は、俺の戦意を失わせるには十分の迫力だった。

 


「違うでしょう"ネビロス"。私たちは戦いに来たんじゃないんだ。魔力を抑えなさい。」

 ネビロスと呼ばれた魔族がもう一人の白髪スーツの男に諫められ、少しこちらを見やると魔力を納めていく。

 ……ここは、俺が話すか。

 そう考えてルナへ目配せを行って自らが前へ出る。

  







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