閑話:彼女
幸せからの転落ってこういう事を言うのかな。
周りには長いローブを着た人や鎧を着た人がいて奥には偉そうに椅子に座っている妙齢の男がいる。
これってどんな状況?
その前に少し私について知ってもらおうかな。
自慢話と思えるかもしれないが聞いてほしい。
私には最近彼氏が出来た。
実は言うと私の初恋の相手。笹森隆二君。
一週間前友達に後押しされ呼び出して告白した。
返事はオッケーだった。
とにかく私は浮かれまくった。
これまでの私の人生は恋愛に関してのみ不幸ばっかりだった。
決してモテていなかったというわけではない。
自分で言うのも何だけど私の容姿はいい。
そのおかげで昔から私はよくモテた。
小学4年の時、学年で一番格好いいと噂の男子に告白された。
しかし、幼い頃から男子からの告白を受けまくっていた私は同年代の男子は子供じみて見えた。
その数日後、6年の先輩に告白された。
年上だからか大人びて見え、上手くやっていけるかも、と思い告白を受け入れた。
浮ついた気分で家に帰ると珍しくお父様がいた。
「平民と付き合うなどやめなさい。
これだから一般の学校に通うのは勧めなかったの だ」
とぶつぶつ言われ次の朝起きると既に学校は転校扱いになっており金持ち学校へ通うことになってしまった。
笹森隆二君には一つだけ嘘をついていた。
それは私の父は普通のサラリーマンではなく会社社長であることだ。
笹森君に変な先入観をもってほしくなかった。
いずれ話すつもりだった。
中学2年の卒業式の時。
私は生徒会長に告白された。
私は当時生徒会副会長で一緒にいて悪い気はしなかったし、相手も親が社長なので前のように父に介入される心配もないだろう、と思い付き合い始めた。
遠距離になったが私たちは順調にやっていた。
しかしまたもや父が現れた。
「あの男と別れる気はないのか」
「え、あるわけないじゃん」
今度こそ邪魔されてたまるか。
一週間後。
彼氏と連絡がとれなくなった。
私は彼氏の同級生だった人達と連絡をとり、彼氏がどうしたのか聞いてみた。
「ああ、彼女さん?私も風の噂で聞いただけなんだ けど急に両親の会社が破産して姿を消したらしい よ」
根拠はないが絶対に父だ。
父は日本でも五本の指に入る金持ちだ。
そこらの会社を潰すのなんて造作もないことだと思う。
色々とぶち切れた私は母と相談して田舎に住んでいる母方の祖母の家に引っ越す事にした。
後々祖母から聞いた話だが彼氏は私の父に取り入ろうと計画的に接触してきたらしい。
私の父はそれに気づいていたらしい。
今更な話で怒りも何も湧かなかった。
そして高校一年。
地元の普通の高校へ進学した。
中学時代は私の父の権力を狙った輩ばっかり来たので普通の反応が新鮮だった。
しかし別の問題ができた。
周りから見ればただの我が儘かもしれないが、容姿が良いのと元々勉強が好きな私は才色兼備な少女として崇められ何だか周りと距離があるように感じた
2ヶ月後。
私は初恋を経験した。
今までずっと受け身だった私の初恋…。
お相手は隣の笹森隆二君。
惚れた理由はチョロい女と言われるかもしれないが
理由は私と距離を作らず話しかけてくれるからだ。
たまたま同じ委員会になり仲良くなった。
初恋した、と実感すると恥ずかしくて笹森君の目を見ることが出来なくなってしまった。
しかし、残念な事が判明した。
笹森君には可愛らしい彼女がいるらしい。
この目で見てしまったからごまかせない。
その土日は泣き明かした。
恋人は無理でもせめて女友達としていようと決意し
て、月曜は作り笑顔で接し続けた。
数ヶ月後。
笹森君がなぜかボロボロの状態で学校に来た。
噂によるとヤクザ同士の争いに巻き込まれたらしい
怒涛の人生おくってるなぁー笹森君。
しかしもう一つ、私にとってビッグニュースが舞い込んだ。
どうやら笹森君が彼女と別れたらしい。
このチャンスを見逃す訳にはいかない。
弱みに付け込むようで嫌だが私は告白を決意した。
2か月後。
あの時すぐにでも告白しようとしたが勇気が出ずあっという間に2か月が過ぎてしまった。
告白するタイミングを探そうと最近は笹森君のプチストーカーとなりかけていたがそこは気にしない。
女は度胸と勢いで告白し、笹森君はしばらく固まっていたが告白を受け入れてくれた。
諦めていた初恋が叶ってとにかく心躍る気分だった
それから一週間後。
笹森君の両親は普通のサラリーマンである父と普通の主婦だ。
だから私の父の権力を狙ってきた人ではないし、邪魔をする父とは縁を切っている。
今の私達の恋を阻む物はない。
今日も仲良く「リア充爆発しろ」と言われながら過ごし手を繋いで帰っている最中有り得ない事が起こった。
私の真下にポッカリと穴が開いた。
私は為すすべもなく穴に吸い込まれた。
そして冒頭に戻る。
「そなたは救世主としてこの国に選ばれた。
ぜひ我々に協力して頂きたい。」
偉そうな男が何か言っているがそんなのどうでもいい。
笹森君はどこにいったの?
手を繋いでいたから一緒に来ているはずだ。
見渡してみるがそれらしい人はいない。
男はまだ何か言い続けている。
ああ、早く笹森君に会いたい。