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俺って才能あり?

異世界には俺も昔は憧れていた。

誰もが憧れると思う。

未知の世界に未知の生物。

新たな冒険が俺を待っている、的な。

俺もそんな展開が待っていれば未来が明るく見えるはずなのだが。


この世界に来て早くも五日目。

一応飯は出るから飢え死にはしない。

ただ生肉とかが食事に出てくるのでやむを得ず食べているがこのままだと帰る前に食中毒で死んでしまいそうだ。

まあ、俺の生活のことは一旦おいといて、この五日間の成果を発表しよう。実は………


隣の牢屋の婆さんと仲良くなった。


そんなこと自慢すんなよ、と思うかもしれないがまあ、聞いてくれ。

この婆さん元は国の要人とかで多くの知識を持っている。

つまり歩く辞書ってとこだな。

この婆さんから聞いた話だと薄々分かっていた事だがこの世界はやはりこの世界は俺のいた世界とは違うらしい。

あともう一つ。

この世界には魔法がある。

これこそ異世界の醍醐味だー!と喜んでいた時もありました。

実際に俺も使えるよな?って感じでテンションマックスの俺は婆さんに聞いた。その返答が


「魔力があるのは分かるんじゃがのー。

 魔力の属性がよう分からん。

 属性が分からんとわしも教えられん。

 まあ、お主はまだ人生は長い。

 こんな老いぼれの力なぞ借りずに頑張れ若人よ」


人生は長いと言っても今使えないとここで人生が終わりそうだよ。

普通異世界転生って言ったら現実は平凡でも異世界では最強ってのがテンプレだろ。

異世界の神はどうやら俺をお恨みらしい。

後、分かったのは今の俺たちの状況。

どうやらここは人間の国に攻め込む時の為の秘密の砦らしい。

そしてここを通りかかった人間は口封じの為捕らえられるらしい。

要するに俺と婆さんはたまたま通りかかってしまったたった二人の不幸な人間である、と。

異世界に来て到着地点が敵軍の目の前ってとことんツイてないな俺。

今、俺らが生かされているのはここの陣営のボスが比較的穏便な種族だそうだ。

ほんとかよ。問答無用でなぐられたぞ。


って大体こんなもんだな。

第一の問題はここからどうやって逃げ出すかだな。

力技では無理そうだ。

初日体当たりしてみたがビクともしなかった。

魔法が少しでも使えればなぁ。

ちなみに婆さんは魔法が使えるが傷を癒やす方の魔法しか使えないらしい。

うーむ、一つだけ分かった。

詰んだな。


はぁー、いつか魔法が開花するのを頼りにするか。

そういえば彼女はどうしたのだろうか。

彼女も一緒に落ちたはずだ。

ということはこの世界のどこかにいるのか。

彼女が原因とは恨むことは出来ないな。

それより腹減った。

一日一食しか出ないしな。飢え死にしそうだ。

妄想でもするか。

(俺の前には美味しそうな牛丼がある。

 タレがしっかり染み込んだ牛丼が。

 食欲をそそるような匂いが鼻を刺激する)

  

………あれ?

実際に食欲をそそるような匂いがする。

俺は閉じていた目を開く。

目の前には牛丼がある。

………?

遂に幻覚が見え始めたのか?

人間、極限状態になると幻覚が見えるって言うしな有り得ないと思いながらそっと手を伸ばす。

………触れれる。しかもつゆだく。

妄想にあったような。

「ちょっと婆さん。これって何の現象だ!」

「うるさいのう、遂に頭がおかしくなったか」

失敬な。

「そうじゃなくてこの牛丼だよ!」

「牛丼?なんじゃ、それは。ワシが見た感じだとそ の牛丼っちゅうものからはお主の魔力で形成され とるように見えるぞ。」

まじか。俺は妄想で魔法を使うのか。

使えないよりはましだけどもっと派手なのが良かった。(ささやかな願望)

試しに箸を想像してみる。

すると手の上に箸が現れた。

おお!すげぇ。

結構これって使えんじゃね!

「お主の魔力が不思議なのが分かったよ。」

「え!ほんとかよ。婆さん」

「お主、年上への態度が段々でかくなって居らんか 。」

「いえいえ、気のせいでございますよ。お婆様」

「むぅ、そうかの。本題に戻るぞ。普通魔法は空気 中の粒子を自分の魔力で変化させて発動するもん じゃ。普通は火や水など抽象的なものじゃがお主 の場合それがなく、不安定なのじゃよ。だから、

 属性が分からんかった。」

…よく分からんがとにかく凄いってことだな。


とりあえずこの後、カーペットやら電球、ストーブやエアコン、ベッドを想像して設置した。

灰色だった牢屋が6畳の快適な部屋へと変身。

これからの牢屋生活が楽しくなりそうです。

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