ダブルナイン
詩集第5弾!!
今回は少しだけくらいお話です。
イメージは、病院。
大切な人が知らない間に負った傷に触れて、悩む少年目線です。
思い知ったのは
いかに自分が
無力かということ
春風が吹く
あたたかい空気
晴れた空の下でも
その中は
妙にひんやりとしていた
エレベーターが上ってく
「9階」の文字
目に飛び込むのは
見慣れたものによく似た
大きな窓
上からの景色
辺りが一段と
冷え込んだ気がした
自然すぎて不自然だ
そこだけ明るい空間
誰も無理してないからこそ
痛いほどわかる
君はもう決めたんだ
思い知ったのは
いかに自分が
無力かということ
大切な人の傷ついた心は
傷跡になって初めて知る
君が格闘した日々を
能天気に過ごしたんだね
外の華やかな
香りとは違う
この場所独特の
ツンとくる
アルコールの匂い
あまりに似た光景に
「9年前」が蘇る
もう二度と
どこにも飛べない気がした
閉じた空間
越えられない壁
知ってたからこそ
何も言えなかった
曖昧すぎて確信した
深刻なときほど
笑みを浮かべ
傷ついたときほど
大丈夫なふりをする
君はそういう人だよね
思い知ったのは
いかに自分が
無力かということ
たった1人の大切な人
その笑顔さえ守れない
君の心の傷跡など
この心に移ればいいのに
避けられない未来
君は再び傷を負う
わかっているなら
なぜ避けられない
わかっているのに
なぜ避けられない
そんなぼくのいる意味は
思い知ったのは
いかに自分が
無力かということ
君はとうの昔に
知っていたよね
それなのに君は
僕だけを選ぶ
思い知ったのは
いかに自分が
無力かということ
そんな無力な僕の意味を
示してくれる人がいること
僕は僕なりにこれからの
君を守ると誓うこと