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Lovers Remembrance  作者: 大根
2/2

1話━咲━

「光ちゃん、約束だよ」

 約束。私はあの日、彼と一つ小さな約束を交わした。

「うん。次にこれを開ける時は大きくなって、僕達がケッコンしたときだね?」

 「それ」を両手で大事そうに抱えて、彼は無邪気に笑ってみせた。ただの小さなカンの箱なのに、彼はそれを傷つけないようにと、丁寧に手のひらと手のひらでしっかり包み込んでいた。

「そう、それまでこれは開けないこと」

 絶対にね、と私が念を押すと、彼は元気に頷いた。その笑顔がとても眩しかった。

 私たちはカンの箱を地面に埋めた。遠い未来を信じて、子供なりの、子供じみた希望を抱いて。

「じゃあ、バイバイ」

「うん、またね」

 そして私たちはお互い手を振り合って、お別れをした。

 やがて彼の姿は見えなくなり、それから結局もう何年も顔を合わせていない。

 年齢を重ねるにつれ私は彼の顔も、声も、仕草も、次第に忘れていってしまった。そして気がつくと私はもう高校生になっていて、色々なことを経験して、少し、大人になった。恋もしたし、もちろん失恋もした。私は私自身の人生を、確かに、歩み始めていた。

 でも、あの日の光景は、ぼんやりとだけど、今でも確かに記憶している。

 彼はまだ、あの約束を覚えているのかな。

 私はもちろん、覚えています。

 でも、彼は飽きっぽい性格だったから、もしかしたら忘れちゃったのかもしれません。

 少し悲しいけど、仕方がないこと。彼もまた、今は自分の道を歩んでいるのだろうから。

 でも、もし、彼がまだ約束を覚えているとしたら、


 やっぱり、あのカンの箱を、二人で開けに行きたいな――。




 

 ドレッサー。

 女子高生が自分の部屋に置くには大きすぎて、しかも何だか高そうな宝石が散りばめられてきらきらと光り輝いているそれが、私はあまり好きじゃなかった。多分お父様がアメリカにいた時に私に買い与えてくれた高級品なのだろうけど、でもやっぱり私には合わない。

 なぜって、引き出しが多すぎるのだ。鏡よりも引き出しがメインになってしまっていて、もはや大きな物入れみたいになってしまっている。私が鏡の前に座る時はだいたい物を捜している時だ。自分の姿になんか気を取られている暇などなかった。

 その引き出しの一つ一つを私は引っ張って開け、その度に私は溜息をつく。

「はぁ、どこいったのかしら」

「どうされましたか、咲様」

 いきなり声がしたので、びっくりして振り向くと、背後に執事のデイビットが立っていた。いつの間にそこにいたのか、音もなく、気配もちっとも感じなかった。

「……部屋に入るときは、ノックくらいしなさい。一応、年頃の女の子の部屋ですよ」

「失礼。ですが咲様の支度がなかなか終わりそうに御座いませんでしたから、お父様に様子を見て来いと言われた次第です」

 その言葉に、私はハッとして、そしてそれから少し申し訳なくなった。そうだ、もう出発の時間。私が皆のことを待たせてしまっている。急がないと。

「お父様にはすぐ行きますと伝えておいてください。私も、すぐに行きますから」

 それだけ背後の執事に告げてから、私はまた、残りの引き出しを開ける作業に戻った。一つ開ける、ない。もう一つを開ける、ない。また、また、ない。私の捜しているものは、どこにもなかった。

「咲様」まだ立ち去っていなかったようで、デイビットは焦る私の背中に静かに声をかけた。「捜し物は、これですか?」

 彼の言葉に、私は振り向く。するとデイビットは赤いシックな柄の布を片手に掴んで私の目の前にちらつかせた。そのものの存在に私は思わず、あっと声を上げる。

「それ、私のリボンです。何であなたが持っているんですか!」

「咲様のお片付け癖が悪いから、ですよ」

「も……、もう」

 私は少し乱暴にデイビットからリボンを奪い取って、すぐに顔を背けた。自分の顔が恥ずかしさから真っ赤になっているのを感じる。急いでリボンを髪に結ぼうとして鏡に視線を向けると、デイビットはまだそこに立って私のことをじっと見ていた。鏡越しに、目が合ってしまう。

「デイビットは先に言っててください! すぐに私も行きますから」

「はいはい。承知いたしました」

 失礼、とデイビットは深く頭を下げて部屋を後にした。その間も私は彼に目もくれず前髪で顔を隠したりしながらリボンの位置を整える。まったく、何でも出来る執事の割に、デイビットは乙女心のわからない執事だった。

 嫌いじゃないけれど、もうちょっとどうにかならないの。心の中で私はそっと呟いた。


 

 

 

 車。

 縦に長い車。世間一般にはリムジンと呼ばれる乗り物なのだろうけれど、それは私にとってただの長い車でしかなかった。何人乗りなのか数えることすら途中で面倒くさくなってしまうような、そんな車に私は乗り込んだ。

 両隣には体格のいい外国人が二人、座っている。私のボディーガードと言われる彼らは、とてもいかめしい顔つきで、前の座席のシートの首辺りのところをずっと睨んでいた。そんなにしていて疲れてしまうんじゃないかと訊いてみると「お嬢様はお気になさらず」と一言答えた。

「咲」

 ふと私の隣の隣に座っていた父――もといギャング集団「マッシュルーム」のリーダーであった誠は、穏やかな口調で私の名を呼んだ。ギャングのボスであるはずなのに父は私さえも驚くほどに温厚な人物だった。

「今日は我々が日本での極道として認められたことを意味する新歓会の行われる日です。くれぐれも、相手方の人たちに失礼のないようにしなさい」

「失礼のない、ようにですか」

「何、いつものお前でいればいいのです。品良く振る舞っていれば何の問題もありません」

 品良く。父の言葉に私は自分の髪の毛、そしてそこに結ばれているリボンにそっと触れた。いつも、これだ。今時の女子高生っぽくはない。これがこそ父の考える、いわゆる清楚。髪を染めるだなんてことはとんでもないらしい。

「わかりました」

 父の言葉に答え、それから退屈になったので私は車窓の外を眺めた。

 動き続けるアスファルト、ビルばかりの風景、街の、散らかりきったようなごたごた感。

 やっぱり日本は少し狭い。ふとそんなことを思った。狭いくせに、やけに縦に高くて、ちょっとばかり気が滅入る。あのビル窓から見下ろされているような感じがして、気分的に落ち着けなかった。





 


 

 垂れ幕。

 その名の通り、垂れた幕。

 何故垂らす必要があるのだろうと、私はいつも思う。邪魔なだけじゃないのかな、とか、途中で落っこちたりしないのかな、とかそんなくだらないことばかりを思い浮かべるのだから、私も相当暇を持て余しているのだと思う。と言ってもそれもそのはずで、一介の女子高生である私にとって父のビジネスの話など全く興味も湧かないものだから、とにかく私は父の背中の後ろをただついていくことしかできなかった。

 私が父に連れられたのは、都内のホテルの大きな会場だった。足を踏み入れて、まず感じたのは人の多さとお酒の匂い、それとひどく自己主張の激しい大きな垂れ幕の存在。そこにはでかでかと「新入り歓迎会」とプリントされている。

「今日は日本ヤクザ協会がヤクザと認めた組がヤクザ界に入る日なんです」

 遠くの方でそんな声が聞こえてきたので、私は父に問いかけた。

「お父様、日本やくざ教会って……?」

「何でしょうね。ははは、私も初めて聞きましたよ」

 冗談めかして父は笑う。何だかはぐらかされている気がしてならなかった。

「咲様、日本ヤクザ教会と言うのは」

 いきなりのその声に、肩がビクッと縮こまった。デイビットが、この時もいつの間にか私の背後を音もなくつけてきて耳打ちをしてきたのだ。彼自身は多分意識していないのだろうが、耳の後ろに突然吹きかかった彼の涼しげな吐息が首筋の皮膚の奥底を直接的に刺激した。肌が、文字通り粟立った。

「ん、どうされましたか」

 私のその様子に、純粋な表情で執事は首を傾げる。

「いえ……何でもありません。びっくりしただけですから」

「まぁ、何せこんな盛大な歓迎会ですからな。驚くのももいささか仕方ないことなのかと」

「もう、デイビットったら」

「……はて?」

 彼はやはり、鈍感だ。何でも出来る執事の癖に、どうしてか頭が固い。

「さて、そろそろか」父はふと、腕時計に視線を落として言った。「咲は待ってなさい」

 私が返答をする間もなく、父はいきなり私の傍から離れて、人混みの中に紛れていってしまった。その妙に威圧的な後ろ姿に私はすっかり置き去りにされてしまう。デイビットだけはずっと私の背後に立っていたので、仕方なく、私は彼の高身長の頭に、自分自身の行動を委ねた。


 気がつくと、父は会場の奥で演説を始めていた。怖そうな人たちの視線が一斉に父に向けられているのを見て、私はごくりと、唾を嚥下した。

 父は普段とは違い、いやに尖った口調で喋っていた。業界人風、とでも言うのだろうか。とにかく穏やかでなく、その場にいる全ての人ちに喧嘩を売っているようにも見えてしまう。恐らく舐められないようにとでも思っているのだろう。仕事の顔つきで、私以外のものを見つめる父の容貌は、とにかく新鮮で少し怖かった。

 しかしその演説も、やがて終わる。するとデイビットが私の手を引いた。

「お父様の元へ」

 同時に何十人もの黒服の男が、私の四方八方を取り囲んだ。

 逆四面楚歌。

 かーっと頬が紅潮していくのを感じて、私は視線を床に向けた。

 やがて私は父と合流し、とりあえず、その後ろについていくことにした。どうやら父は演説が終わった後にも個々に挨拶をして回ろうとしているらしく、いかにも偉そうな方々の前に足を運んでは、ビジネスフェイスで用意されたような言葉を告げて、頭を下げる。私もそれにしたがって、とりあえずぺこりとお辞儀をした。

 一つの集団に挨拶をし終え、父は次に別の場所で固まっていた集団の中へと割って入っていった。何故だかわからないが、この時ばかりは、父はどこか楽しそうに頬を緩めていたように見えた。割と早足だったので、置いて行かれないように私もその背中を追う。

「おう誠、久しぶりじゃのぅ」

 父を見つけた集団の男の一人が、声を弾ませてこちらに向かってきていた。服装は、まさしく極道のそれで、しかも只者ではないのだろうなということも、その風格から私は自然に感じっとった。

「楽助さんもお元気そうで何よりです」

 父も、彼の言葉に答える。どうやら父はこの男のことを知っているらしかった。まるで久しぶりに出会った旧友のように、それから父たちは私をそっちのけで会話に盛り上がっていた。

 私は、とりあえずどうしていいかもわからなかったので、ずっとうつむいていた。純粋に、この場にいることが恥ずかしかった。何せ周りは男の人だらけで、被害妄想かも知れないが、「お前のような子供はお呼びじゃない」といったような視線が向けられているような気がしたのだ。居場所もなく、私は、髪の毛で顔を隠す。

 だが、ふと、それとは違う視線を感じた。それは恐らく、私に対して向けられていた訝しげな視線のように思った。迷ったが、私はとりあえず顔を上げて、その視線の感じる方向にちらりと目線を向ける。

 目が、合った。

 そこにいたのは、私と同じくらいの年齢の男の子だった。父の向かいに立っている男の後ろで、彼は私のことを不思議そうに眺めていた。高校の制服を身に纏っていて、彼もどうにも居づらいというふうな感情を全面に押し出して、口元を歪ませていた。

 目が合うと、彼は微かに肩を揺らしてから

「ど、どうも」

 誤魔化すように、笑った。

 私は何だか凄く、気恥ずかしくなった。

「こんばんわ」

 声がうわずって、「こんばんは」ではなく「こんばんわ」などと言ってしまい、ますます恥ずかしくなった。私は彼から目を背け、再び、視線を下へと向ける。男の子も、それ以上は何も言ってはこなかった。

「貴様、咲様に気安く話しかけるな」

 ふと、デイビットが背後で、鋭い声で言った。恥ずかしいから、やめて。

「おいコラ、テメェー。なに坊ちゃんにガン飛ばしとんじゃ」

 相手側の一人も、それに反応して前に出てくる。だがデイビットはそんなものは無視して、あの男のことをただじっと見下ろしていた。この状況に、私は、どうしようもなくなる。耳の端から熱くなっていくのを感じて、ただただ、恥ずかしかった。

「ナリ、止めだ」

「ディビット。次に行きますよ」

 タイミングよく、父たちがそうやって止めに入ってくれて、その場は収まった。が、私の感情は胸の内側から指先にかけて波打つように振動していき、止まらない。穴があったら入りたい。しかしこんなホテルの一会場に穴があるはずもなかったので、私はとにかく、早くこの場を立ち去りたいと思った。









 

 転校。

 それは出会い。それは期待の膨らみ。それは不安の圧迫。

 何はともあれ、それに伴う感情のベクトルはよくわからない方向へ乱反射していて、全てが曖昧模糊ということなのである。

 ところで、曖昧模糊って、私が何となく好きな言葉の一つだ。何か、こう、もこもこしていそうで、枕に入れるとよく眠れそうな気がする。そうして曖昧な感じにすやすやと眠りに堕ちて、曖昧模糊な感情と共に朝を迎える。それが私の夢であり、一つの儚い目標であり、そしてくだらない馬鹿げた妄想なのであった。

 と、それはおいといて。どうしてこんなくだらないことを考えていたかと言えば、今私がそれなりに緊張しているからなのかもしれない。無意識ではあったが、脈拍が心なしか早くなっているようで、胸の右の下あたりがわけもなくもどかしい。目の前にそびえたつ横開きのドアが、私を今にも押しつぶしてしまいそうだった。

 今までずっとアメリカ暮らしだった私にとって、日本の高校へ転入するということは、ある意味段階を飛び越えた変化だった。悲しいことに環境適応能力があまり高い方でもなく、自然と友達とかが出来るような性格ではなかったので、実は今の状況が怖かったりする。

 左の手のひらに、一度「の」の字を書いて、食べてみる。あまりおいしくない。それに何故かわからないがむせてしまった。一度咳払いをして、落ち着きを取り戻し、私は制服を整える。

 やがて、目の前のドアの向こう側、教室の中から一際目立つ声が聞こえた。

「はぁ~い、みんな静かに。転校生を紹介するわよ。入ってきて」

 その言葉は、どうやら私に向けられていたものらしい。それはそうだろう。今この場に「転校生」と呼ばれるような人間は私しか存在し得ないのだから。

 教室がふと静まり返ったので、私は少し、やはり怖気づいたりした。が、覚悟に近い何かそんな勢いづいたものに身を任せて、ドアに手をかける。それは新しかったのか、少し力を加えただけで簡単に左にスライドした。

 教室の風景が、視界に映る。そこにいた全ての視線が私に向いていた。私は、うつむいた。なるべくだが、視線は避けたいと思った。あまり目立ちたくない性格は昔からだったが、何より特別視されるという感覚が本当に苦手だった。

 とりあえず、視線は下に向けながら教室の中央、先生のいるところまで歩を進める。あまりの静寂さに息が詰まって、死んでしまいそうになった。

 だが、その後更に、私はそこに居られなくなるくらいに恥ずかしい思いをすることになる。

 教室が一斉に、私を見てざわめき始めた。

「うっそ、マジ!? ちょーカワイイじゃん。白っ、ハーフじゃね?」

「脚細っ、モデル並。羨ましいー」

 男子、女子ともに、全ての視線が私を捉え、全ての口が好き勝手に私の評価を始める。その言葉の数々に私はもう顔を上げることすら出来なくなってしまった。前髪で必死に頬を隠して、床を見つめる。真っ白な上履きに書かれた「天上院」という苗字が、本当に、恥ずかしかった。

「じゃあとりあえず、後ろの席に座ってね」

 先生がそう言ってくれたので、私は視線の数々から逃げるように歩き出して、そそくさと窓際の席まで向かった。椅子を引き、腰を降ろす。隣に座っていた生徒は隠す様子もなく私のことを凝視してきて、前の方からもちらちらと視線が投げつけられてきた。私は、消去法的に窓の外に目を向けた。

 ざわつく教室に比べて、外の世界は穏やかだった。空が広がっていて、雲が浮かんでいて、木があって、電柱がある。アメリカとはだいぶ違う風景だったけど、どこか懐かしくていい匂いがした。どうせならあの青天井に飛び込んでしまいたい。遠く広がる青空を見て、ふと私はそう思った。

「さぁて、みんな揃ったことだし、席替えするわよ」

 場が少し落ち着くと教壇の上で、先生は明るくそう言い放った。え、ちょっと、いきなり? 私、今この席座ったばかりなんですけども。

 と、そう思ったりもしたが、何より窓際から離れるのは少し悲しいと思った。もっとこの風景を見ていたかったなと思うばかりである。

 しかしそうは言っても仕方がない。私は新参者としてその場の空気というものを読んで、素直に流れというものに従うことにした。

 席替えは、どうやらくじ引きで行うらしい。箱に入った紙を引くという、いたってシンプルな方式のあれだ。私の番は割と後の方で、前の生徒たちが真剣に箱を手探っている様子を、私は何となく眺めていた。そして少し無駄な計算を張り巡らせたりする。窓際の一列にある席の数は六つ。クラスの人数を大体四〇人だと考えれば、私が窓際になる確率は二〇分の三の確率だ。そう考えるとだいたい七人に一人の確率で窓際の席を確保出来るということになる。逆に言えば七人に六人はハズレくじ。そう考えると厳しいが、しかしこの確率を大学受験に換算すれば、倍率七倍ということになる。頑張ればいけなくもなさそうだ。しかし、席替えに頑張るもなにもない。つまり何が言いたいかと言えば、諦めた方がいいのかもしれないということだ。

 そしてようやく私の番が回ってくる。箱に手を突っ込み、少ない紙切れの中から一つを人差し指でつまんでそっと抜く。

 私の席は、まるで狙ったように、窓際から一個だけ離れた席だった。

 嫌味ですか。

 しかし、でも頑張れば外の景色が見えなくもない。それに色々と都合のいい席でもあるだろう。あまり目立たないような席だ。ある意味の、群雲隠れ程度の役割は担ってくれるのかもしれない。

 紙に書かれた席に、私は向かう。

「この席で一学期は過ごしてもらうからね~」

 先生は、そう言って逃げるように教室から出ていった。その背中が見えなくなると、教室は飼育員のいなくなった動物園の檻の中みたいにうるさくなる。

 溜息、というかそれに近いものがふっと口元から零れて、私は視線を窓の外に逃がそうと横を向いた。

 その時、私の隣に座っている男の子と目が合った。

 ?

 ――あの、やくざパーティの時の男の子。

 不思議な縁もあるものだ、と、ふと思った。

「よろしくお願い致します」

 ぺこり、と頭を下げると、

「い、いえ、こちらこそ」

 

 こうして私の高校生活の幕が開いたのでした。

 

 

  





 


 

 

 

 

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