第3章 23:村を脅かす怪物の噂を解決
村の外れで、怪物を見たという噂が広まり始めたのは、夜が少しずつ長くなり始めた頃だった。
「森の奥で大きな影が動いた」
「低いうなり声が聞こえた」
焚き火を囲む村人たちの声は、恐怖に揺れていた。
村長チータは深く腕を組み、冒険者に向き直る。
「村を守るためにも、正体を確かめてほしい。
根拠のない恐怖は、村を壊すからな」
冒険者は、その言葉に静かに頷いた。
剣よりも、目と耳と心を使う依頼だと理解していた。
夜の森は、昼とはまるで別の世界だった。
月明かりが葉の隙間から細く差し込み、地面には歪んだ影が幾重にも重なっている。
足元の枯れ葉を踏む音さえ、大きく響く。
冒険者は歩調を落とし、音に耳を澄ませた。
『がさ……っ……』
低い息遣いのような音が、前方から聞こえる。
木々の間を慎重に進むと、闇の奥で大きな影が動いた。
だが、懐中灯の光が照らし出したその正体は、森に迷い込んだ大型の野生動物だった。
体は大きいが、目には怯えが浮かんでいる。
「……村を襲うつもりはないな」
足跡を追い、動線を確認すると、村へ下りてくる獣道が自然にできていた。
冒険者はその道を少し森の奥へと誘導するように整備し、人里と交わらないよう工夫を施した。
恐怖の正体は、理解すれば対処できる。
それを確かめた冒険者は、夜明け前に村へ戻った。
翌日、村長チータに事情を説明すると、村人たちの表情から緊張がほどけていった。
「怪物じゃなかったのか……」
「森の生き物だったんだな」
安堵の空気が広がる中、冒険者はふと、集まっていた子どもたちの視線に気づいた。
その中でも、ひときわ目を輝かせていたのが、ロリータとシシビーだった。
「ねえねえ、本当に森には妖精がいるの?」
以前、冒険者が語った“迷子の妖精を助けた話”を、二人は何度も聞きたがっていたのだ。
──嫌な予感が、胸をよぎる。
その予感は、夕暮れ前に現実となった。
涙で顔をくしゃくしゃにしたシシビーが、冒険者のもとへ駆け込んできたのだ。
「お願い、冒険者……!
ロリータが……森で、はぐれちゃったの……!」
森の深奥は、昼でも薄暗い。
光の届かない小道、茂みが迷路のように絡み合う場所。子どもが一人で入れば、容易に方向感覚を失う。
冒険者は静かに呼吸を整え、森に意識を向けた。
そのとき、かすかに聞こえたのは──鈴の音。
風に乗って揺れる、淡く澄んだ音。
「……やっぱり、いるな」
妖精語がわかる冒険者は、優しく声をかけながら進んだ。
途中で花を摘み、即席の花冠を作る。森の精霊は、人の誠意に敏感だ。
やがて、茂みの奥、光のほとんど届かない場所で、小さな影を見つけた。
「……うぅ……」
膝を抱えて座り込むロリータだった。
冒険者の姿を認めた瞬間、彼女は声をあげて駆け寄り、足元にしがみつく。
「こわかった……!」
その肩に、淡い光を放つ小さな妖精がふわりと降り立つ。
次の瞬間、森全体が柔らかな光に包まれた。木々の影は穏やかに揺れ、夜の冷たさが嘘のように和らいでいく。
冒険者は、その光の中で思った。
怪物の噂も、迷子の子どもも、根にあるのは“知らないことへの恐れ”なのだと。
村へ戻ると、ロリータは無事に家族のもとへ帰り、シシビーも涙を拭った。
村人たちは深く頭を下げ、チータは穏やかに言った。
「恐れる前に、理解することが大切なのだな」
夜、森を振り返りながら、冒険者は静かに息を吐く。
人と自然、その間に立ち、橋を架ける役目──。
それもまた、冒険者の責任なのだ。
月明かりの下、森は変わらず静かに息づいていた。
「ご存じでしたか?冒険者。
今度、新たに参加する企業コラボとのイベントが始まるんですよ」
また、レベッカが突然言い出した。
「それにともなって、今日の23時からアップデートになります。」
アップデートとは、なんだろう?
次に遊ぶまで1,320分ほど待つように言っている。
私は毎日、遊んだ日はないのだが──?




