第3章 14:洞窟の宝
森の奥深くへと続く獣道を抜けた先に、その洞窟は口を開けていた。
苔むした岩肌に覆われ、昼間だというのに内部は闇に沈んでいる。
──古代の宝物が眠っている。
村から受けたその報告。
冒険者は胸を静かに高鳴らせていた。
一歩足を踏み入れると、ひんやりとした空気が肌を撫でる。足元は湿った石が転がり、不用意に踏み出せば簡単に体勢を崩しそうだった。
慎重に、息を殺しながら進む。
壁際には古い罠の名残があり、天井からは今にも崩れ落ちそうな岩が不穏な影を落としている。
それでも、注意深く観察する。
一つひとつ危険を避けて進んだ先──
洞窟の最奥で、古びた宝箱は静かに佇んでいた。
宝箱は想像以上に重かった。
両腕にずしりとした感触が伝わる。落とせば中身だけでなく、自分の命も危うい。
ゆっくりと、確実に運び出す。
途中、小さな落石が足元をかすめたが、咄嗟に身を引いてやり過ごした。
「安全第一で行動すれば、冒険も成果に変わる」
自分に言い聞かせるように呟きながら、洞窟を後にした。
村へ戻ると、宝箱を目にした村人たちは一斉に息を呑み、次の瞬間、歓声と笑顔に包まれた。
その宝は単なる財宝ではなく、村の歴史を記した品や、生活を支える道具だったのだという。
宝が村の未来に役立つと知り、胸の奥に静かな誇りが灯った。
しかし、冒険はそれで終わりではなかった。
その日の夕方、村の長老チータが困った顔で呼び止めた。
「実はのう、冒険者……。
長年使ってきた家の屋根や家具が、もう限界でな」
戦いではなく、修繕の依頼。
当然、引き受ける。
ハンマーと手袋を手に取り、村人たちと力を合わせる。
木材を運び、
釘を打ち、
軋んでいた屋根を直す。
傷んだ家具を磨き、埃だらけだった床を掃くと、家は少しずつ元の温もりを取り戻していった。
作業の合間に交わされる笑い声や、差し出される水の冷たさが、妙に心地よい。
すべてが終わった頃、チータは深く頭を下げ、満面の笑みで言った。
「本当に助かった、ありがとう!」
その言葉に、胸の奥がじんわりと温かくなる。
私は家の前で大きく深呼吸をした。
洞窟で宝を運んだ時の緊張感と、今ここにある穏やかな達成感。どちらも同じ冒険の一部だ。
剣を振るうだけが冒険じゃない。
この世界で誰かの役に立つこと、その積み重ねが確かな成果になる。
そう実感しながら、今日も静かに一日を終えた。
「あけましておめでとうごさいます!冒険者。
三元日はクエストクリアでお年玉ボーナスがあります!頑張りましょう!」
今日もレベッカが聞いたことがない事を言っている。
三元日って、なんだろう?
お年玉って、なんだろう?
これもまた、
私ではない誰か……なら、分かる事──。




