第3章 12:山道の迷いやすい箇所を整備
村と深い森を結ぶ山道は、古くから人々の生活を支えてきた。
しかし長い年月のあいだに、道は荒れ、曲がりくねった箇所や霧の立ちこめやすい見通しの悪い場所が増えていた。
旅人が道を見失い、村人が足を滑らせることも少なくない。
冒険者は山道に立ち、静かに周囲を見渡した。湿った土の匂い、風に揺れる木々のざわめき。その自然の中に、人の不安が溶け込んでいるのを感じる。
彼は腰袋から道標用の木材を取り出し、分かれ道ごとに丁寧に打ち立てていった。
危険な崖沿いには石を積み、滑りやすい箇所には木の板を敷く。
作業の合間、小鳥が枝から首をかしげ、リスが岩陰からこちらを覗いていた。彼らの好奇心に見守られながら、作業は思いのほか順調に進んだ。
夕暮れ時、整備を終えた山道を試しに村人たちが歩く。
以前の不安げな足取りは消え、皆が安堵の表情を浮かべていた。
「少しの工夫で、みんなの安全を守れたな」
冒険者は、自然と人の暮らしをつなぐ役目に、確かな手応えを感じていた。
その帰り道、村人アリスの家を訪ねると、かすかな鳴き声が耳に届いた。
部屋の隅のケージの中で、小さな小鳥が羽をすぼめ、元気なくうずくまっている。
「この子、最近ずっと調子が悪くて……」
不安そうなアリスの声に、冒険者は静かにうなずいた。
彼は小鳥を預かり、柔らかな餌を与え、ケージを丁寧に掃除した。
森で採れた穏やかな香りのハーブをほんの少しだけ与えると、小鳥はゆっくりと羽を広げ、やがて軽やかに動き始めた。
その瞳に、生きる力が戻っていく。
元気になった小鳥をアリスに返すと、彼女はぱっと顔を輝かせた。
「ありがとう!
本当にありがとう!」
小鳥は楽しげにさえずり、その声は家の外まで響いた。
その日、村は少しだけ明るくなった気がした。
道を整え、人を守り、小さな命を救う——
そのどれもが、この場所で生きるものすべてをつなげている。
冒険者は静かに空を見上げ、ここで果たすべき役割の重みと、確かなやりがいを胸に刻ん




