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 第3章 9:古代碑文の解読

 


 森の奥、あるいは忘れ去られた遺跡の片隅に、古代の碑文が静かに佇んでいた。


 村の学者エコースと村人たちは、その文字が何を語っているのかを長年知りたがっていたが、風雨と時の流れにさらされた石板は、容易には答えを明かさない。


 冒険者は碑文の前に立ち、積もった埃を払い、刻まれた文字と図形を一つひとつ丹念に読み解いていく。


 そこに記されていたのは、古代の祭りの由来、自然と共に生きるための知恵、そして森や星の動きを観察した記録だった。


 内容を整理し、村人たちに伝えると、忘れられていた村の歴史が少しずつ息を吹き返していく。


 エコースは感慨深げに頷き、冒険者はふと実感する。


──過去の知恵を理解することは、今を生きる自分たちの助けにもなるのだと。


 その後、調査の舞台は村の資料館、そして遺跡の内部へと移っていく。


 新たな通路の存在が判明したものの、途中の区画は崩落しており、進行は不可能だった。


 そこで冒険者に声をかけてきたのが、遺跡修復チームの職人ハウンドークだった。


「あんた、前にこの遺跡を調べてただろ。

 構造を分かってる人間の力が、どうしても必要なんだ」


 冒険者は職人たちと協力し、石材を運び、古代の工具を使って慎重に補強作業を進めていく。


 作業は地道で時間もかかるが、不思議とその場には穏やかな空気が流れていた。

 昼食を分け合い、時には碑文の意味や古代文明の謎について語り合う──

 そんな時間が、遺跡に人の温もりを取り戻していく。


 やがて、崩落していた区画は見事に修復され、奥へと続く重厚な扉が姿を現した。


「よし……これで先へ進めるな」


 ハウンドークは笑ったあと、少しだけ表情を引き締める。


「ただし、扉の向こうには、俺たちじゃ扱えない装置があるみたいだ」


 扉の向こうに眠る“何か”の気配。


 冒険者は、碑文に刻まれた過去の知恵と、今積み重ねた人々の協力が、ここへ導いたのだと理解する。


 遺跡の核心は、もうすぐそこだった。


 



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