第3章 8:森の迷子を救助する
森の見回りをしていた冒険者のもとに、村から小さな騒ぎが届いた。
森で遊んでいた子どもや小動物が迷子になったというのだ。
冒険者は懐中灯を手に、薄暗くなり始めた森の奥へ足を踏み入れた。木々の間を慎重に進み、かすかな泣き声や小さな足音を頼りに探索を続ける。
やがて茂みの陰で、膝を抱えて震える子どもを見つけた。
「大丈夫、もう一人じゃないよ」
優しく声をかけると、子どもはほっとしたように涙をぬぐう。
冒険者は手を引き、森を抜けて村まで無事に送り届けた。両親との再会に村人たちは胸をなでおろし、安堵の笑顔が広がる。
「誰かを守る小さな勇気が、こんなにも大きな安心につながるんだな」
そう感じながら冒険者が一息つく間もなく、今度は町の実行委員長が血相を変えて駆け込んできた。
「大変なんだ!
季節祭りの準備隊が、5人まとめて行方不明で……!
装飾班も演奏班もいない、このままじゃ祭りができない!」
調べてみると、彼らは祭りの安全祈願も兼ねて「川辺の古いほこらの掃除」に向かったらしい。
街道沿いの休憩所には、慌てて置き去りにされた荷物が散乱していた。
痕跡を追い、簡単な探索を重ねて川辺へ向かうと、ほこらの向こう岸から声が聞こえた。
「助けてー!
橋が途中でガラガラって崩れちゃってさ!」
「飾りつけは終わったんだけど、帰れなくなっちゃって!」
準備隊は無事だったが、渡る手段を失って立ち往生していた。
冒険者は“スキル”を使い、壊れた橋を修理する。
その間、準備隊はのんびりと雑談……。
「あなた、かなり器用ね」
「よかったら祭りにも参加しない?」
橋が直り、全員が無事に町へ戻ると、祭りの準備は一気に進み出した。装飾を手伝い、演奏の音合わせを聞きながら、町は少しずつ華やいでいく。
その日の夜。
灯りがともる通りの一角に、冒険者の名前が書かれた提灯がそっと飾られていた。
派手な英雄譚ではないけれど、人と自然、そして町の日常を支える確かな一日だった。
「メリークリスマス!冒険者!」
赤い服を着たレベッカが声をかけてきた。
私は久々にギルドにいるようだ。
「昨日と今日はクリスマスイベントが発生してますよ!」
また、よく分からない事を言っている。
でも、きっと私ではない誰かは意味を分かっているのだろう。




