第3章 3:湖の水位を調整する
雨の多い季節。
村の外れにある湖は水位が上がり、村や周囲の農地に影響を与え始めていた。
少し成長して探索者となった冒険者は、村の研究所に呼ばれる。
迎えたのは、学者であり研究所の主任でもあるクリスキンだった。
「湖の様子を総合的に確認してほしい。
水位の調整だけでなく、水質や浅瀬の環境、生き物たちの様子も見てきてくれ」
冒険者はうなずき、湖へと向かった。
湖畔に立つと、増水した水面に夕陽が揺れ、穏やかな風が吹き抜ける。
まずは堰や小さな水路を確認し、慎重に操作して水の流れを整えていく。湖の水位は次第に安定し、村への影響も抑えられそうだった。
ひと息ついた冒険者は、そのまま湖畔を歩きながら調査を続ける。
水温計で水温を測り、水の透明度を確認。浅瀬の砂を少しすくい上げ、粒の大きさや色を観察した。
ふと視線を上げると、水面近くで一羽のカモがこちらをじっと見ていた。
「……あれ?」
次の瞬間、冒険者に向かってよちよちと近づいてくる。
思わず身構え走り出すと、驚いたカモはぴょんと湖に飛び込み、水面に波紋が広がった。
その様子に、思わず自分でも笑ってしまう。
湖畔には、どこかほのぼのとした空気が漂っていた。
調査の最後は、木陰に腰を下ろし、湖に集まる鳥たちをスケッチする。
水位が落ち着いた湖は穏やかで、美しい水面をたたえていた。
作業を終えて村へ戻ると、村人たちは安心した表情で日常へと戻っていった。
研究所で報告を受けたクリスキンは、満足そうに微笑む。
「素晴らしいよ。
君のおかげで、湖の管理も生態の理解も一歩進んだ」
冒険者は静かにうなずいた。
「自然の力は大きいけれど、少し手を貸せば共存できるんだな」
湖と生き物、そして人々。
そのすべてと向き合った一日は、自然との調和を学ぶ大切な経験となった。




