第3章 2:失われた動物の群れを探す
森の静かな朝、冒険者のもとへ村人たちが駆け込んできた。
「羊や鹿の群れの一部が、森の奥へ迷い込んでしまったのです……。
どうか探してもらえませんか」
心配そうな顔にうなずき、冒険者はすぐさま森へ向かった。
森の小道を進むと、草の踏み跡や小さな足跡が点々と続いている。
慎重にそれをたどっていく中、木々の影に小さな子鹿が立ちすくんでいるのを見つけた。
怯えているのか身じろぎひとつしない。
冒険者はポーチから木の実を取り出し、そっと差し出した。
優しい声をかけながら近づくと、子鹿は少しずつ警戒を解き、やがて彼の後ろをついて歩き始める。
折れた枝をどけ、小川を渡りやすい場所を選び、子鹿が安心して進めるように気を配りながら、群れの足跡が続く方へと導いた。
やがて草むらの向こうから、羊や鹿たちの姿が現れた。
迷子だった子鹿は小さく鳴き、仲間のもとへ駆けていく。
群れが無事にそろったのを確認すると、冒険者は動物たちを先導しながら村へ戻った。
村に着くと、村人たちが安堵の笑顔で迎えた。
「本当にありがとうございました……!」
再会を喜び合う人々と群れの姿を見つめながら、冒険者は静かに思う。
「命を守ることは、村の暮らしを支える大事な仕事だな」
その日、森には彼の優しさが生んだ小さな幸せが、そっと息づいていた。




