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 第1章 1:村の水源を守れ

 


 フローリア村の朝。

 澄んだ空気と鳥のさえずりで始まる──はずだった。

 だが、川のほとりに立つと、淡い水の色はどんよりと濁っていた。

 村人の顔にも心配の色が浮かぶ。


「水が濁ってきている……。」


 困り顔のレベッカの前に深い紺色のマントを羽織った老人が立っている。


「ギルド長に伝えてくれ。

 誰か、原因を調べてくれませんか?」


 薬師の老人パーソンが訴えるように言った。


 仕事の依頼を受けに来た冒険者を見てレベッカは安堵の表情を浮かべた。


「ギルド長のヴォーイは昨日から不在なのです。

 お願いします、冒険者。原因を調べて貰えませんか?」


 村人に事情を聞き、川上へ向かうことにした。

 道中、川の周囲には落ち葉や枝、時折動物の足跡も残っている。


「鑑定」


 周囲にある落ち葉や枝は素材になるようだ。ギルドで売却できる物と出来ない物が判別できた。

 ギルドで売却できる物は拾ってアイテムボックスに入れておこう。


 夢中になって拾っていたら魔物のスライムや兎に遭遇した。スライムや兎を討伐するとドロップ品が落とされる。このドロップ品も素材としてギルドで売却出来る。

 もちろん、これもアイテムボックスに入れていく。


 そして魔物を討伐すると経験値が加算される。討伐したのはスライムを3体と兎を1体。

 スライムの経験値と兎の経験値がどの位なのかは分からないが、私はレベルが上がった。レベル2になった。

 つまり私はレベル1だったようだ。なるほど。だから“初期装備”だったのか。


 しかし私はこの村に来る前に冒険者として、あらゆる所を旅してきた。レベルもカンストした筈なんだけど……。

 まぁ、良いか。新たな気持ちで再出発!と、考えよう。


 そういえは、私は何故『鑑定』が出来るのだろう?それに、何故アイテムボックスを持っているのだろう?


 そんな疑問も浮かんだが、全部リセットして再出発!と考えれば深く考える必要はない。

 さて。

 水源にたどり着くまで、もう少し素材を採取しよう。


 水源近くにたどり着くと、土手が崩れ、小さな泥の流入が続いていた。


「これは……。

 自然の崩落か、それとも誰かが?」


 観察を続けると、土手の近くに小屋があり、そこから水路に泥を流し込む作業の跡が見つかった。

 どうやら、無自覚に川を塞いでしまった村人の畑の水路だったらしい。


 原因は判明した。

 一度ギルドに戻ろう。


 ギルドではレベッカが安堵の顔で迎えてくれた。

 薬師のパーソンには労いの言葉を貰った。


「改めてお願いします、冒険者。

 川の流れを元に戻すのを手伝ってくれませんか?」


 もちろん、引き受けた。

 村人たちと協力して、土手を補修し、水路を修正する。

 泥をかき出し、川の流れを元に戻す作業は、汗と笑いに満ちた時間だった。


 夕方、再び川のほとりに立つと、水は澄み、光を反射してきらめいていた。

 村人たちは皆、笑顔で手を振る。


「ありがとう、これで安心して水が使えます」


 パーソンに続いて若手の薬士達が深々と頭を下げた。

 その姿に私も気持ちが温かくなった。小さくうなずき、村の静かな一日に心を落ち着けた。


 こうしてフローリア村の水源は守られた。


 冒険者は調査に向かった途中で拾った素材と討伐した魔物のドロップをギルドに売却した。

 この村や国には、いま採取した物以外にも色々と素材があるようで採取したら是非卸して欲しいと頼まれた。


 素材は多種多様あるという。落ち葉や枝、薬草やキノコに、魔物から出たドロップの肉や皮、角や牙・爪・羽・糸……。これらは巡り巡って村や国の繁栄に繋がっていくのだろう。

 私としても売却する事で生活の足しになるので今後も利用させて貰いたい。


『素材の持ち込みありがとうございます。清算は、4,200コインです。

 注文の品はアイテムボックスに送っておきますね』


 ギルドの買い物は直接アイテムボックスに入るらしい。便利だ。

 でも注文の品とは何のことだろう?私は買い物をした覚えがない。


「確認や使う時はステータスを開いてくださいね。所持金の確認とギルドの預かり金もステータスで確認出来ます」


 なるほど。

 頭の中でステータスと思い浮かべるだけでステータスが確認出来た。

 アイテムボックスの中身も見れる。買った物とは……?


 韋駄天(使用回数 10) 100コインを 5 個

 きず薬 100コインを 20個

 回復薬 500コインを 3 個


 結果、所持金……200コイン……。


 4,000コインを使っていた。

 いつ使ったんだろう?と、思いつつ……。深く考えるのはやめた。

 きっと“必要な物”なのだろう。そんな気がする。



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