こたえあわせ
オレは、謎解きができたので急いで夢花の元へ向かった。
夢花は、まだあの遊びをやっていたんだ。
てか、みんなの名前がドンピシャすぎて驚く。
早く夢花に誤解を解かなければ。
慌てて夢花の家に行くと、夢花のおかあさんが玄関から出てきた。
「あの、夢花は…夢花さんっています?」
オレの言葉に、少し困った表情をする夢花のおかあさん。
?
困り顔のおかあさんは、
「夢花ね…実は今日デートなんだって言って出かけちゃったのよ。ごめんなさいね」
と、申し訳なさそうに謝った。
…
デ…デート⁉︎
一足遅かったー…
「あー…そうなんですね、わかりました。」
「ほんとにごめんね」
…
ごめんなさいと謝る、申し訳ない顔のおかあさんをみていると、オレがおかあさんに告白して、フラれたような感覚に陥るのは、なぜだろう。
こちらこそ申し訳なくなる…
おかあさんは、なんにも悪くない。
悪いのは、謎解きが遅かったオレだ。
そして、夢花には相当酷いことをオレはしてしまったんだ。
せっかく…せっかく夢花は…
いまさら遅すぎた…
夢花は、もう彼氏ができてしまった…
そりゃそうだよな…
こんなふざけた幼馴染、捨てられて当然だ。
そりゃ、ポニーテールぶん回してお怒りになるよなぁ。
トボトボと家に帰り、頭を抱えた。
部屋でいまさらだけど、落ち込んだ。
その日の夜、夢花に携帯で連絡した。
(明日、話があるんだ)
って。
(へぇ)
と、すぐさま返ってきた。
彼氏ができても、きちんとオレに返信してくれるんだ。
夢花…
優しいな。
次の日は、日曜日だったので夢花の家にお邪魔した。
でも、夢花の部屋のドアはしまっていた。
まるで心をとざしたみたいに。
なのでオレは、ゆっくりと夢花の部屋の前に腰を下ろした。
そして…
夢花の部屋の前で、オレは謎解きをした。
「夢花、聞いてほしい」
「うん、何?」
「夢花、オレ…いまさらだけど、春も夏も秋も冬もどうだっていい。単刀直入に言うと、オレが一番好きなのは、夢花なんだ。ずっとオレは夢花一択で好きです。今まで春とか夏とかって、ずっとどの季節が好きかって思ってたけど、そうじゃなくて、夢花は名前遊びしてたんだね。オレずっと勘違いしてたわ。今まで嫌な思いさせてごめんなさい」
と、きちんと謝った。
すると、夢花の部屋のドアが静かにひらいた。
正解ウェルカムでドアオープンか?
「えっ?そうなの?」
「…うん」
「わたし、ずっとほたるから嫌がらせ受けているのかと思ってた。」
…ですよね。
「マジでごめん」
「そっか…。わたし、ちゃんとほたるが好きって言えばよかったね。でも、恥ずかしかったからさ…」
「うん…オレがまさかハルだったなんてな。てかさ、できすぎじゃね?は《・》やさきほたるとかさ、あ《・》いざわあやきさんとかふゆねみゆさんって…なんなら、も《・》がみゆも先輩とかさ…オレ、モモ好きとかほざいてたし…マジやらかしたわ」
「たしかにね。よっぽどわたしのこと嫌いって言いたいんだなって思ったわ。告白してすぐ、オレは好きじゃないとか、なんならあきとか、ふゆ、ももが好きとか言い出すし、そのわたしの友達となんかコソコソ話出すし…ブチ切れ寸前だったよね」
「はい、すみません」
「でも、もういいよ。無意識だったみたいだし。わたしのこと好きって言ってくれたし」
「あー…、うん。でもさ、もう遅いよな」
…
「…わたしも、ほんとはまだほたるが好き」
「え、でも…彼氏…」
「いないよ?」
「昨日デートしたんじゃないの?」
「あ、それは友達とデートね。女友達だよ」
「じゃ、じゃあ、オレたちってまだ間に合う⁉︎」
「うん。たぶん…」
恥ずかしそうに夢花は、頷いた。
「たぶんってなんでだよ」
「だって…わたし、ほたるに冷たい態度とってたから…だから…」
「それは、そもそもオレのせいだし。夢花、オレはそんな夢花も大好きだよ。」
「ほたる…」
夢花は、瞳をウルウルとしだした。
「夢花、夢花のポニーテールぶん回すところめっちゃ好きだよ」
「ほたるのバカァ」
フフ
夢花の髪をそっとなでて、夢花にキスをした。
春の嵐は、いつのまにかおさまっていたのでありました。
おしまい♡