秋
女ごころってやつが、全くもってわかりません。
なのでバイト先の女の先輩の、最上由萌先輩に相談してみたんです。
友達の話なんですけどって、いかにも自分じゃないアピールしながらさ。
そしたら、そもそもタラシって言ってくる時点で、そのこは彼にヤキモチやいてるよね?っていうんですわ。
でも告白したら、いい加減にしなってブチギレされたっていうと、え?みたいな顔をして、考え込んだ。
何度も告白してフラれてる?とか?って言われて、即答で
「いえ、初告です!」
とこたえた。
「じゃあ…その女の子にずっと彼氏がいるとか?それ知ってて告白したんだ⁉︎」
って、閃いたように先輩は目をみひらいた。
彼氏…
「あー、彼氏か。でも仮に彼氏ができたとしたら、その幼馴染にはタラシとか言ってこないですよね?どうだっていい存在なわけだし…」
「そうだねー…、うーん…この幼馴染拗らせ事件は、謎が深そう。お役にたてなくてごめんね。じゃ、わたし交代の時間だからあがるわ。頑張って!」
と、先輩はオレに微笑みエールを送ってくれた。
あれ?
いま、頑張ってってオレに言った?
…
ま、いっか。
それにしても、あの恋愛偏差値が高そうな先輩でさえ、お手上げってことは…
オレは、なおさらお手上げやんけ…
この際、店長に相談…したところでどうしようもないか…。
困ったオレは、毎日悩んだ。
そして夢花のクラスの、夢花と仲がいい友達に相談しようと試みた。
相澤綾紀さんと、冬根美優さんに。
でも…夢花がこちらをにらみ散らかして、話しかけられてませんでした。
そして、メッセージが夢花から届きました。
(なに?わたしに対する嫌がらせなわけ?)
と。
どういうことですかね?
(意味がわからない)
と、すぐさま送るも無視…
いやいや…
嫌がらせ受けてるのってさ、オレやんけ?
好きな人から、いきなり嫌われるってさ…
なんならタラシって…
もう直接対決するしかなくない?
どの季節が正解なんだよって。
…いや、自分で謎解きしなきゃやっぱりダメかな…。
春も夏も秋も冬もダメ…
えー…
どういうことー?
でもさ、夢花は春が好きなんでしょ?
春…に近い季節は、やっぱり秋なんじゃね⁉︎
秋で正解なのか⁇
オレは、秋が好きって言えばやっぱりいいんだよね?
もう一度、秋って言おうかな…
今度は…ほんとにこれ一択でガチで秋の収穫祭まで待つか?
よし‼︎
そうしよう‼︎
でも、とりあえず宣言しなきゃだ。
朝、家から出てくる夢花を待った。
すると、夢花が玄関から不機嫌そうに出てきた。
「なんで、いるのよ…」
って、呆れ顔で。
だからオレは、まっすぐ夢花をみて
「オレ、もうさ秋一択に決めました‼︎」
って宣言したんですよ。
そしたら夢花は、
「もうさ、好きにすれば?でもたぶん受け入れてもらえないよ。タラシなんか」
って冷たく言いましたね。
「え、どういう意味?」
「タラシは、嫌われるってこと」
「なんでだよ?夢花は、季節の神さまなわけ?それとも春の精霊なの?」
と、思わず聞いた。
オレの質問に夢花は、
「は?ほたるは、アホとタラシのハーフだよね」
と、呆れてスタスタ行ってしまった。
アホってことは…
秋、不正解…確定。
やっぱり果物持参じゃないとダメでしたか?
「果物あればいいー?」
と、夢花の後ろ姿に叫んだ。
すると夢花が振り向いて、
「そんなことしても無理だと思うし、わたしは、応援しないから」
って言われました。
応援?
なんですか?
秋好きになるには、応援が必要だと?
そんな話…聞いたことねーぞ?
あ、友達に聞いてみるか。
早速朝、友達に聞いてみた。
季節で一番どの季節が好き?と。
すると、春かなぁって返ってきました。
「え、それって…誰かに許可もらった?」
と、真顔で聞くと友達は、そんなわけねーだろって笑った。
なんでオレは、夢花から許可がおりないのだ?
幼馴染は、特別なのか?
季節特別制度?
そんなの…聞いたことないぞ?
なので、やっぱり夢花に廊下であったときに、
「オレ、秋一択だから‼︎」
って堂々宣言した。
すると、なぜかその隣にいた夢花の友達の相澤さんが
「ごめんなさい」
って言った。
ええええええーっ⁉︎
なぜに友達が…
なぜ、夢花の友達がオレの秋好きを拒否ー⁉︎
わからなすぎる…
あなたは、秋の精霊ですか?
こんなあっちこっちに精霊っているの?
てか、秋好きを拒否されるって…
続く。