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みてる

 夢花が最近遊んでくれない。

 

 

 なので、仕方なく委員会の仕事を頑張った。

 

 …いや、そこは普通に頑張るだろってことなんですけどね。

 

 放課後、一年生の委員会の皆さんで花壇の植え替えをしてございます。

 

雪音ゆきねさん、その苗はここで。あ、垣根かきねさんのその花きれいだね。」

 とか言いながらさ。

 

 

 そしたら、ポニーテールをぶん回しながら夢花が歩いてきましてね、オレをキッて睨んだんです。

 

 

 で、携帯を取り出して誰かに何かを送信したっぽい。

 

 その送信してるところをオレに見せてきました。

 

 夢花とオレは、数メートル離れてて…

 

 オレの視力は、そこまでよくないのでいまいち見えなかった。

 

 

 しかし、委員会の作業が終わって携帯をひらくと、夢花からなにやら送られてきていた。

 

 

 時間的に、さっき夢花がオレに携帯をみせてきた時間と、近いな。

 

 あ、あれはオレに送ったってことだったんだな。

 

 ごめんね、とかかな?なんて携帯をみると…まさかの…

 

 

(クソタラシ‼︎)

 

 と送られてきていた。

 

 

 タラシ?

 

 クソ?

 

 え?オレはただ…一生懸命に委員会の仕事をしていただけなんですけど⁉︎

 

 

 てか、まだ怒ってたんかい⁉︎

 

 夢花は、ほんとになにに怒っているんでしょうね?

 

 

 帰りに、オレは夢花の家に寄り道した。

 

 夢花のおかあさんに家に入れてもらって、夢花の部屋の前にきた。

 

 ドアがしまっていたので、ドア越しに話しかけた。

 

「なぁ、夢花…なに怒ってんだよ」

「は?自分の胸に手を当てて考えなよ」

「うーん…思い当たる節がない」

「そうだよね。タラシだもんねー」

「え、オレタラシじゃなくない?」

「いや、タラシすぎて、タラタラ垂れてるわ。キショいからもう帰って。わたしお風呂入るし」

 

 

 お風呂入るんじゃ、仕方ないか。

 

「じゃあ、帰るね」

「うん、床拭いといてね」

 

 …

 

 ⁉︎

 

 一瞬、ほんとに垂れてる?って思って床見ちゃったわ…。

 

「なんも垂れてねーから」

「ふーん…てか、まだいるんだ?お風呂覗く気?」

「いや、帰るよ。じゃあな」

「な」

 

 …短い挨拶だな。

 

 まぁ、無視とかされるよりも全然いいけどさ…。

 

 

 てかさぁ…タラシってなんなんだよ?

 

 オレは、夢花ひとすじだろうに…

 

 好きとか本人に言ってないけど…さ。

 

 

 

 次の日、学校に行こうと玄関を出ると同時に、

「げっ…」

 っていう声がした。

 

 これはもちろん夢花の声です。

 

「なんだよ、朝はおはようだろ。カエルにでもなったのか?」

「やだ、タラシ族じゃない。」

「いや、だからオレ…タラシじゃないって」

「昨日、花壇で花を植えながら会話に花を咲かせていたじゃありませんか?花だけにはなはだしいわね。」

「え…そんなつもりじゃ…」

「タラシの変態添えだわ」

「なんで変態も添えた?」

「だって、昨日わたしがお風呂入ろうとしたら部屋覗きに来たじゃない」

「あー…あれはタイミングが。てか、部屋で服…脱いでいくの?」

「靴下はね」

「なんだよ、靴下ならいいじゃんか」

「でました。生脚見せてください発言」

 

 …

 

「いや…ごめんって。」

「あー、降参ってことね。今日は、これで勘弁してあげるけど、次は手加減しないから」

 

 夢花は、ポニーテールをぶん回し先に行ってしまった。

 

 

 降参って…なんなんだよ?

 

 というか…そもそも季節の話から拗れたよね?

 

 なら、おとなしく春が好きって言い直せばいい?

 

 …いや、それも遅いよな。

 

 そもそも今度は、タラシって言って怒ってるし。

 

 なんなら変態疑惑まで勃発してきたし…  

 

 オレは…

 

 これからどんどん、幼馴染の怒りの沼に埋もれるんじゃね?

 

 これは、早く沼る前に抜けださないとです。

 

 しかし、どうやって?

 

 

 そもそも沼に片足が突っ込まれつつある状態…

 

 

 えーぇー…

 

 わかんねぇよ…

 

 沼から抜け出す方法って、どうすりゃいいん?

 

 

 まさか幼馴染の沼に溺れるなんて…

 

 

 昇降口で、オレは大きなため息をつきながら靴を履き替えた。

 

 

「どうしたのー?朝から元気ないね?」

 

 ひょっこりと顔を出したのは、同じクラスの桜田さくらださんだった。

 

「あ、桜田さん…おはよう。ただの寝不足だから大丈夫」

 と、一生懸命な笑顔でこたえた。

 

「え、寝不足なの?少しは寝たの?」

「うん、八時間くらい」

「あはっ、それは寝不足じゃないじゃない」

 ペシっとオレの腕を軽く叩いて笑う桜田さん。

 

「だよなー」

 って、オレも笑ったんだけど…一瞬でその笑顔が凍りついた。

 

 

 だって…

 

 昇降口の奥の方から、夢花がめっちゃすごい顔で、こっちをみてたからさ…。

 

 そして、オレに気づかれた夢花は瞬時にいなくなってしまった。

 

 なんか…

 

 みてはいけないものをみてしまった感…

 

 それは、夢花も同じ気持ちだっただろう。

 

 みてしまったよってさ。

 

 てか、なんであんなこっそりこっちみてたんだよ…

 

 なんなんだよ…夢花。

 

 オレの観察でもしてんのか?

 

 まさか…

 

 人間観察日記とかつけてないだろうな…

 

 

 夏休みの宿題にそれだすんじゃねーよな…

 

 …

 

 

 

 続く。

 

 

 

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