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73/133

73:視聴者参加型捜索開始。

 ドローンを飛ばして貰った結果――やっぱりだ。

 ドラゴンが通れそうな通路が二ヵ所あった。その先に進んでもらうと、これまた同じような広い空間を発見。

 更に奴が通れそうな通路も続いていた。


『カーブしているので、もしかすると数カ所の巨大な空間があって、それをぐるりと一周出来るように通路で繋がっているのかもしれません』

『それ以外にも普通の広さの通路もありました。そっちはドラゴンが通れない広さです』

『ギルドで購入する地図にも、それっぽい空間はありますが、ここまで大きくありません。まぁ尺の問題もあるかもしれませんが』


 資料には、アイス・ドラゴンは右上に出現しているとある。

 体が大き過ぎて他の場所へは行けない――そう思い込んでいれば、他の通路や部屋へは無警戒で入ったかも。

 だけど奴は移動が出来た……とするならば。


「普通の広さの通路もあったと言ってましたね」

『横幅五メートルぐらいのね。見たよ』

「もしかするとどこかの横穴に入り込んで、ドラゴンが暴れたせいでオブジェが倒れたりして道を塞がれたとか。そういう可能性ありませんかね」

『ど、どうですかね? あ、後藤さん。今三石くんが――』


 後ろで話す声が聞こえる。


『悟、俺だ。可能性はある。その階層の天井にある氷柱は、奴が暴れると落ちてくるんだが、落ちた氷柱は奴を倒すまでそのままになってるそうだ』

「倒さなきゃリセットされないってことですね。森田さん、鈴木さん。ドローンを飛ばして、塞がった横穴を探してください」

『わかった。視聴者も張り切ってるところだよ』


 視聴者? え、なんで?


――[っしゃー! 見つけるぜぇ]

――[ドローンが二機しかないな]

『視聴者の皆さん。これよりドローンに搭載されたカメラを全て稼働させます。正面、左右、後ろの計四つのカメラがありまして――』


 え。カメラそんなに点いてた?

 ってか視聴者に話しかけてる? え?






――[四方向のカメラ映像を見て、それらしいものを探せってことか]

――[ドローン二機はそれぞれ別方角に飛ばすんだな]

――[うおおぉぉぉ。どこもかしこも氷で見にきぃー]


 二機のドローンをそれぞれ別方向に飛ばし、通路、開けた空間をくまなく探すことになった。

 俺たちもただ待っているわけじゃない。徒歩で探せるところを探す。


『悟。オーランドにドラゴンを殺すなと伝えろ。直ぐにだ』

「はいっ。オーランド、そいつを倒さないでくれ!」

「え? どうして?」


 オーランドは剣を抜き、今まさにドラゴンを斬ろうとしていた。


「ここは大型ネームド出現時に、形を変えるタイプのダンジョンだ! もし変わっている部分に捜索者がいたら、倒した瞬間に道が塞がれて圧死するかもしれないんだ!」

「あぁ、なるほど……じゃあ僕が相手をしている間に、サトルが探すのか?」

「そうだ。だから殺さないでくれ」

「わかった。じゃあ軽く相手してやるだけにする。でも急いでくれよ。強い奴を倒したくてウズウズしてるから」


 物騒なことを言うなよ。


「絶対に倒すなよ! 絶対だからな!」

「なんだか倒せって言われている気がする」

「倒すなって! ぶん殴るぞっ」

「ごめん。じゃあ倒してよくなったら言ってよ。僕はここで遊んでるから」


 ドラゴン相手に遊ぶなんて、レベル196でもなきゃ言えないセリフだ。


「任せたからな! ブライト! 上から誘導してくれっ」

「あいよっ」


 急いで探さないと。


――[探せ探せぇー!]

――[氷の向こうが透けてみえねぇかな]

――[氷柱が通路を塞いだのなら、それっぽい所探すだけじゃん]

――[だよね。そんなに難しくないと思うけど]

――[でももしブレスで通路の入り口が氷漬けになってたら?]

――[いやなフラグ立てるなよ]

――[でもブレスならある程度時間が経ったら消えない?]

――[普通は消える。けどドラゴンの魔力が込められてたら消えない]

――[え、マジ?]

――[マジ。海外のダンジョンでそういう例がある]


「後藤さん、ドローンの方は?」

『まだそれらしいものは見つけていない。お前たちはドラゴンの攻撃を避けつつ、その空間を探せ。無茶だけはするなよ』

「しませんよっ。サクラちゃん、俺の肩に乗って。ここを探す。ブライト、壁際を重点的に!」

「おうよっ」

「サクラちゃん、ドラゴンの動きを見ててくれ。オーランドが相手にしているけど、巻き込まれたらひとたまりもないからね」

「わかったわっ」


 オーランドは防戦に徹してくれている。だがドラゴンはそんなのお構いなしに暴れ回っていた。

 こんなことなら戦闘開始前に引き留めておくんだった。まぁ無理だったけど。


 とにかく探そう。氷柱――氷で塞がれた通路がないか。

 どこか壁に穴のようなものが見えないか。

 どこかっ。


――[魔力だ! 魔力探知できないか!?]

――[フィルター機能使えない? そういうアプリあったじゃん]

――[あったあった! スキル使って詐欺する奴を炙りだすための]

――[後藤さん!]


『何? 魔力フィルター? 魔力込みブレスで氷漬けされてるかもだって? ……あり得るな。やれ』

『了解しました。魔力フィルター起動――』


 ん? 何か動きがあった?


「後藤さん?」

『あぁ。視聴者が言うにはな、魔力が込められたブレスで道が塞がってるんじゃないかって。だから今から魔力フィルターを使って捜索する』


 魔力……そうか。溶けずに残っているから余計に見つけにくくなっているのか。


「僕のサーモセンサーは魔力は見えないからなぁ」

「あんたのは熱しか感知出来ないものね」


 魔力感知でもあれ……ば……ん?


「ブライト……サーモセンサーだ!!!!」


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