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66:売上個数ランキング。

 ポップアップショップのオープン四日目。

 週明けの月曜日ともあって、開店前から並ぶ客はさすがにいなくなった。


「というよりね、ネット通販が始まったのよ」

「え、ネットで販売までするのか?」

「そりゃするわよぉ。週末の三日間、あれだけ人が来てたじゃない。遠くに住んでる人なんか、なかなかお店までこれないでしょ?」

「僕ならひとっ飛びだね」

「その割にロシアからは飛行機で来たじゃない」

「……上空を警戒。ヨシ!」


 いやもう会社に着いたんだから下りてこいよ。


 それにしても、グッズなんてそんなに欲しいものだろうか。

 父さんと母さんもサクラちゃんやブライトたちのグッズが欲しいって言ってたし。

 父さんなんか来たいって言ってたしな。

 まぁ通販出来るなら、それで買えばいいだろう。


 ロビーに入ってショップの前を通る。

 なんか張り紙が……売上ランキング?


「あ、三石さんおはようございますっ」

「あ、おはようございます。まだ八時前なのに、もう出勤されているんですね」


 ショップの開店は十時から。開店準備にしては早いと思うんだけど。


「商品の補充とか、あとこれの作成とかで」

「張り紙の?」

「はい! 見てください、三石さん。三日間で売れたグッズを、種類別にランキングにしたんですが」

「まぁ! 悟くん、みてみて。私と悟くんのツーショットが一位よ!」

「二位は僕ら三人のアクスタ。だが三位は僕の家族ショットだね!」


 ……何故。

 社長命令でエース組と俺もグッズになったけど、俺の表情が硬いからって撮影は中止になったはずなのに。

 これ、撮影に疲れて眠ってしまったサクラちゃんを抱っこしていた時のヤツじゃないか。

 いつの間に撮影されていたんだ……。


 そう言えば撮影班の人が「いい写真撮れましたよ」とか言ってたっけ。

 これのことだったのか!?


「ふふ。特に女性客なんかが、もう必ずってぐらい買っていかれてましたよ」

「そ、そうなんですか……」

「三石さんの笑顔に癒されるみたいです」


 俺の笑顔にヒール効果が?

 そんなスキルを手に入れた覚えはないんだけどな。


「ねぇ店員さん。毎日たくさんの人が来てたけど、売り切れたりしないの?」

「そうなの、サクラちゃん。私もねぇ、他のポップアップショップで何度かバイトしたことあるんだけど、絶対売り切れるグッズが出てくるの。でもね、ぜんっぜん売り切れないのよ、ここは」


 つまりそれは、他のポップアップショップと比べて売り上げが悪いってことなんじゃ。

 アニメやアイドルでもないのに、そんな売れるもんじゃないんだよ。


「聞いた話だと、生産ラインは二十四時間フル稼働なんだって。ダンジョン産アイテムで生産速度も通常の三倍。自動運転制御だから労働者の負担も少なく、製造エラーもほとんど出てないって。さすがATORAねぇ」

「凄いのねぇ。そんな所にもダンジョン産アイテムが使われてるなんて」


 グッズ生産にまでダンジョン産アイテムを!?

 ってことはダンジョン産アイテムの技術研究所が、製造機を作ったのか……。

 最先端技術の無駄使い過ぎだろ。






「なんだ三石。今日は下の手伝いにいかないのか?」

「客の数も減るだろうから、もういいそうです」


 三日もこっちの仕事を休んでいたんだ。そろそろ待機モードに入らないと。


「よっ。一位」

「三石くん、一位おめでと~」

「実は私も買っちゃった~」


 何を?


「俺もサクラちゃんとツーショットのグッズ作ってもらえばよかったなぁ」

「竹田くん、通信スタッフじゃない。誰もわかんないわよ」

「いやいや。縁の下のなんちゃらで、案外モテたりするかもしれないじゃないっすか」


 グッズを作ったらモテる?

 モテてどうするんだ。

 なんかすれ違う人みんなから弄られる。

 早くランキング入れ替わってくれないかなぁ。


 待機ルームでこの三日間の出動件数やその内容を聞いていると、さっそく呼び出し音が鳴った。

 といっても赤城さんチームのスマホからだ。


「北区の地下六十三階か。しっかり準備をしていかないと」

「今日中には帰ってこれないだろうな。六十階から六十三階に移動するだけでも、丸一日だし」

「階段のところで救助要請出してくれてればいいんだけどね」


 六十三階か……。冒険者レベル100はないと厳しい階層だ。

 下層に行けば行くほど、そこで狩りをする冒険者もベテラン勢になってくる。

 危険も増すけど、ベテランともなれば備えもしっかりしている。

 下層からの救助要請や遭難者捜索依頼の件数は、上層と比べてかなり少ない。


 ただ要請が来た場合、捜索が困難で危険を伴なうことは容易に想像できる。


「気を付けてください、赤城さん」

「あぁ。秋山さんたちは新入社員の研修で出ているし、次に要請が来たら三石くん、頼むよ」

「はい。三日間不在でしたし、しっかり働かせていただきます」

 

 そうか。新入社員が六人入ったから、チームの再編成をするって後藤さんが言ってたな。

 新しい人だけを同じチームにするわけにはいかないから、能力値なんかを見て分散させるって。

 そのうえで今までより一チーム増やすって。


 うちはどうなるのかな。

 サクラちゃんとブライト、そして俺。

 みんなバラバラになったりするんだろうか……。


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