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はい、こちらダンジョン捜索隊~自分はレッサーパンダだと言い張る相棒の♀タヌキが、うっかり記録用録画を配信してしまった件。  作者: 夢・風魔
7章

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218/219

218:早く人間になりた〇

「ところでニコちゃんは、どうして01ダンジョンを攻略したいの?」

「え? んー、うちにキアヌがね――、ボスのことね。そいつが、ある情報を仕入れてきたの」

「情報って、なんなん?」


 ニューヨークに来て約一カ月。俺たちのレベルは190になっていた。

 が、ここから急にレベルが上がりにくくなっている。

 ブルックリンダンジョン地下150階の適正はレベル190。

 ここでの狩りを止め、百五十一階に移ってみたが、ここは普通の迷路タイプの構造だ。一度に何匹も相手をすることがあまりなく、効率が悪い。

 だからって次のオープンフィールドは百六十階。ここの適正レベルは205。

 ちょっと行ってみたが、恐ろしい眼にあった。

 能天気なオーランドも「ちょっとマズいね」という判断で引き返し、百五十五階でレベル195まで上げることにした。


 食事休憩の時、サクラちゃんたちがニコールに01ダンジョンを攻略する理由を聞いていた。

 たしか彼女はロスにあるハンターギルド所属だと言っていていたけど、なんでわざわざニューヨークに?


「01ダンジョンにはね、何でも願いを叶えてくれるボスがいるのよ」

「え……えぇぇぇ!?」

「な、なんでニコがそれ知ってんの?」

「なんでって……ん? サクラとヨーコも知ってる? もしかして二人は!!」


 ど、どういうことだ? 誰も口外していないはずじゃ?

 いあ、勝手にそう思っていただけかもしれないけど。


「もしかして二人は、人間になりたくてボス攻略に挑もうとしているの!?」

「「違うわよ!」」

「え、違うの? じゃあ、どうして二人はそのことを?」

「ニコ。その話、どこで聞いた? キアヌはなんて?」


 よこから割って入ったのはオーランドだった。

 俺たちはオーランドから聞き、オーランドはランキング一位のジャック本人から聞いている。

 その場にいたのは主治医とトム、エディとオーランドの四人だけだったと。


「看護師よ」

「看護師!? でもその場に看護師なんてっ」

「病室なんだから、カメラがあるに決まってるでしょ。でもその看護師が映像を削除してるから、他には知られてないと思うけど。やっぱりあんたたちも願いを叶えるってボスが目当てなのね」


 病室の監視カメラに映っていたのか……。そりゃあ重篤患者の場合は、常に見ている必要があるだろうけど。

 でもなんでその看護師、映像を……。


「あの、ニコール。その看護師は何故映像を削除したんだ? あと、そのことを何で君のところのボスに?」

「その看護師、キアヌの大ファンなの。で、キアヌに気に入られたい一心で情報をくれたみたい。知ってる人が少ないからこそ、情報って価値あるものだからね」

「ファ、ファン!?」

「それで、そのファンの看護師さんはどうなったん?」

「どうもしないんじゃない? だってキアヌはその看護師の顔すら知らないし、名前だって知らないもの。メールで画像と一緒に結婚して欲しいとか子供は何人欲しいとか書いてたわよ」

「「こわっ!!」」


 思わず俺たち全員が叫んでしまった。

 階段にいるからモンスターは反応しないが、階層にいたら絶対引き寄せてただろうな。


 情報ひとつで相手に結婚を迫って、子供の妄想までするなんて……その病院、大丈夫なのか?


「それで、ニコはキアヌの指示で来てるんだろう? キアヌは何をお願いするつもりなんだ」

「これまで確認されている全てのスキル書」

「ずいぶん欲張ったね」

「各百個ずつよ」


 欲張り過ぎじゃないか?


「その願いは後回しにしてくれないか」

「は? なんでよ。あんたは何をお願いする気なの?」

「ボクじゃない。悟の願いを叶えるんだ」


 オーランドがそう言うと、ニコールがキッと俺を睨んだ。


「正直ね、キアヌの願いなんてどうでもいいの。私が私の願いを叶えたいから。だから悟、あんたにも譲らない」

「ごめん、ニコール。俺もどうしても譲れないんだ」

「でもでも、ボスを倒せば願いは叶えられるんでしょ? ニコちゃん、最初に悟くんの願いを叶えてあげて。ね?」

「そうたい。次はニコの願いを叶えるために、ウチらも協力するけん」

「嫌よ。だって01のボスって、三ヶ月に一度しか現れないんだもの」

「ええぇぇー!?」


 ずいぶんと周期が長いな。

 いや、でも俺たちの目的は隠しダンジョンの方のボスなんだけど。


「オーランド。01の隠しダンジョンって、最下層のボスを「倒して開くかどうかもまだわかってないんだよね?」

「うん。トムが時々病院に行ってくれてるけど、話そうとしないって」

「隠しダンジョンがあまりにも過酷で、他のハンターが行けば死ぬだけ……だからかな」

「トムもそう言ってた。これ以上犠牲者を出したくないと思ってるようだよ。ジャックの所のギルドも口を閉ざしたままだしね」


 やっぱりか。情報の独占じゃなく、その恐ろしさを知っているから話せないんだろうなって思ってはいたんだ。

 どうしたら教えてもらえるのか。


「ニコちゃんのお願いって、今すぐじゃなきゃダメ?」

「悟のは今すぐがいいと。ニコ、お願い。すっごい大事なお願いやけん」

「わ、私だって大事なものよ! ずっと……ずっと子供の頃から願ってたものなんだから!」


 ニコールが子供のころから願っていたこと……なんだろう?


「ニコールさん。俺からもお願いです。三石さんの願いを叶えさせてください」

「さ、真田……みんな……みんな私の味方をしてくれないのね」

「味方です! 三石さんの願いが叶ったら、その後君の願いを叶えるために、何カ月でも、何年でも協力するよ!」

「な、何年でも!?」


 真田さん……俺を優先させるために、ありがとうございます。

 もちろん父さんの体がよくなったら、俺も――。


「まっ」

「ふふふ」

「必要ないんじゃないかしら」


 ん? うちの大人な女性陣が一体何の話をしているんだ?

 必要ないって、何が? 




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