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はい、こちらダンジョン捜索隊~自分はレッサーパンダだと言い張る相棒の♀タヌキが、うっかり記録用録画を配信してしまった件。  作者: 夢・風魔
7章

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214/221

214:ニコール。

「しつっこいわね。だからモテないのよ!」


 角を曲がる前、そんな声が聞こえた。そして角を曲がるとこちらに背を向け、指をパチンと鳴らす女の人の姿が。

 途端、ドォォーンっと前方が爆発する。


 爆破系スキル?


「はぁ……もう、ここどこよ!!」


 どこって、階段からまだそんなに離れていないんだけど。


「Hi、ニコ」

「っんっひぃぃーっ!? だ、だだ、誰!?」


 金髪を乱し、彼女が振り向く。


「オーランドオオォォォォォォ」


 片手をあげて挨拶をするオーランドに向かって、彼女が駆け出す。

 やっぱり友達?

 走ってきた彼女は、そのまま――そのまま――何故かオーランドにラリアットポーズで迫った。

 オーランドは左に体を捻って躱す。


 友達じゃ、なさそうだ。


「チッ」


 え? 今この女の人、舌打ちした?


「Why are you here!?」

「I came to search」

「Who?」

「You」


 英語での会話が始まってしまった。

 足元を見ると、サクラちゃんが何かを取り出し、ヨーコさんに渡している。そのヨーコさんはスマホを二人に向けていた。

 翻訳機か。


「サクラちゃん。俺の分もある?」

「もちろんよ。はい」

「ありがとう」

「ブライトとヴァイスも、はい、どうぞ」


 サクラちゃんやヨーコさん、ブライト、ヴァイスはヘアバンドに翻訳機が取り付けられている。

 サクラちゃんが二羽にヘアバンドを付けてやった。フクロウって左右の耳の位置が違うんだよな。


「なんであなたが私を探しに来たのよ!」

「ボク、捜索隊だから」

「はぁぁぁ? 捜索隊ぃぃー? なにそれ」

「ダンジョンで遭難した人や助けを求める人を、探して助ける仕事」

「……私は遭難したんじゃないわよ!」

「いや、迷子になってるだろ? 君の所のギルマスが捜索願出してるよ。いったい何日迷子になっているんだ、君は」

「キアヌが!? 何日って、知る訳ないでしょ。ここじゃ昼も夜も関係ないんだし」

「時計があるだろ」

「ないわ」

「スマホは」

「忘れたわ」

「君はバカなのか?」

「バカって言ったわね! バカっていう奴がバカなのよ!」


 ……なんだろう。この状況は。

 物凄く、仲が悪い?


 だけど俺やオーランドと同じだと言うが、彼女はなんというか……普通だ。

 何がどう普通かっていうと、表情が豊かなんだ。


 俺やオーランド、真田さんは表情の変化があまりない。

 感情がないわけじゃなく、感情を顔に出すのが下手というか……とにかく、表情があまり動かないんだ。

 だけど彼女は違う。コロコロと表情が動いている。

 とてもダンジョン・ベビーには見えないな。


 ん?

 オーランドがこっち見てるな。助けてくれってこと?

 でも要請の電話を受けたのはオーランドだし、俺はその内容もわからないしなんとも言えない。


「オーランド。とりえず捜索隊のニューヨーク支部に電話したらどうだ? 要請が出ていることが本当だって、わかってもらえるだろうし」

「それだ! 悟、君は冴えてるな」


 いや、別に普通のことだから。

 オーランドが急いで電話をし、更にその電話を彼女に代わった。


「え……もう一週間? そう……一週間……どおりで、お腹空いたわけだわ。えぇ、大丈夫。食事は六日分持ってきてたから」


 一週間も潜ってたのか!?

 アイテムボックスのスキル持ちだろうか?


 彼女はスマホを切ると、それをオーランドに返す。それから――。


「お腹空いたわ。何か持ってる?」


 そう尋ねてきた。

 で、オーランドは俺を見る。


「サクラちゃん、非常食あったろ?」

「えぇ。悟くん用のならたくさんあるわ」


 お、俺の……し、仕方ないか。

 サクラちゃんに総合栄養食のチョコ味を出してもらい、それを彼女へと差し出した。あと飲み物も。


「ありがとう。ところであんた、誰?」

「あ……えっと、俺は――」

「ボクの親友」


 バッと横から出てきたオーランドが、いつになく胸を張ってそう言った。


「ほんとに?」


 何故か彼女が聞き返してくる。


「まぁ……はい」

「ふーん……オーランドに親友がねぇ」

「羨ましいだろ、ニコール」


 彼女が口を閉ざす。

 その間に非常食をモリモリ食べ、ようやく口を開いた。


「ぜんっぜん、別に!」

「羨ましいくせに。ニコも友達いないもんな」

「い、いるわよぉ。友達ぐらいいるわよ」

「ちなみに、サクラちゃんもヨーコさんもブライトもヴァイスも友達なんだ」

「だ、誰!? え? あんた友達そんなにいるの!? 誰!」


 オーランドがサクラちゃんたちを指さす。


「サクラよ。よろしくね」

「ウチはヨーコばい」

「僕はブライトだ。よろしく、お嬢さん」

「ケッ。オレはこいつの友達じゃねーぞ」

「友達じゃないって、オーランド。っていうか、また動物なのあんた?」

「彼は人間だよ」


 俺は人間です。


「そうね。人間の友達はひとりってことね。フッ」

「チッチッチ。勘違いしているねニコ。ボクの友達はまだいるんだ! な、悟」

「え、誰のことを言っているんだ?」

「真田だよ、真田!」


 あぁ、真田さんね。まぁいろいろとウマの合う友達って感じだったな。



「確かに真田さんとは友達と言える仲だったな」

「ほらみろ! 二人だ、二人! 羨ましいか」

「う、嘘……信じられないわ! あんたに友達なんて。キィーッ、悔しいっ。ヤケ狩りよ、ヤケ狩り!」


 あ、ちょっと! 捜索依頼だされているんだから、狩りに行かないでくれぇーっ!

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― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です。 オーランドの知人だからって事はないんでしょうけど、想定以上に濃いキャラの人ですなぁww まぁ悪人ではなさそうかな?アホの子だけど(笑) それでは今日はこの辺りで失礼致します。
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