213:四人目の?
「い、一週間で、レベル160……早くないか?」
「悟。君は少し勘違いしているんだ」
「え、勘違い?」
オーランドに引き連れられレベリングをした俺たちは、一週間でレベルをプラス30近くあがった。
「レベルっていうのは、どれだけ経験を積んだかだけで判断されているわけじゃないんだ。それだとカード申請しないまま狩りをしている人は、後になってカードを作った場合、実力があるのにレベルだけは低いままになってしまうだろう?」
「ま、まぁ、だからほら、高レベルモンスター倒した時に、一気に経験値入って来るじゃないか」
「そうだね。でもそれだけじゃないんだよ。その高レベルモンスターをコンスタンス倒していると、獲得経験値に補正が入るんだ。そのカードが示しているレベルと、得た経験値から推測される討伐モンスターのレベル差が大きいほど、補正も大きくなる」
ハンターカードと冒険者カードの仕組みが同じならね――とオーランドは付け加える。
同じはずだ。この手のカードは呼び名は違えど、世界共通の仕組みになっている。
だから国外のダンジョンへ出稼ぎにいくスキル持ちがいるんだ。
レベル差のあるモンスターを倒せば、当然、もらえる経験値量も多い。だからレベルが上がるのが早い。
そう思ってた。それだけじゃなかったんだな。
「というわけで、明後日から百五十階へ行こう」
「……この前、百五十階の適正レベルが190って言ってたよな」
「うん。君たちのレベルが平均して175になったら、百六十階だ。そこからはボクも参戦するよ」
とオーランドがどこか嬉しそうに話す。
ここまでオーランドは、ほぼ見ているだけだった。俺たちが倒したモンスターの経験値こと魔素を取り込まないよう、ハンターカードもわざと持って来ていない。
そんな彼が参戦する。
つまりそれは――
「オーランドの適正狩場に私たちを連れて行く気なの!?」
「ヤバい奴ばい」
「の、望むところさ」
「ケッ。レベル200まで上げてやるぜ!」
「ヴァイス、出来れば220以上になって欲しいな」
「オォー!!」
ヴァイスはやる気十分。でもブライトは、ちょっとやけっぱちな感じもする。
俺は……目的はひとつだ。
父さんの体を戻してもらう。そのために頑張るだけだ。
強くならなきゃクリアできないなら、強くなるしかない。
強くならなきゃ父さんは救えないし、何より……一緒に来てくれるみんなのことも、守れないのだから。
「とは言ったけど、やっぱりキツい」
二日間の休みを経て、やってきましたブルックリンダンジョン百五十階!
ここはオープンフィールドなのもあって、前後左右、四方八方からモンスターが襲って来る。
通路タイプだと前後だけ気にすればよかったぶん、オープンフィールドよりも楽だった。
「普段、ウチらオープンフィールドは走り抜けとったもんね」
「そうね。人を探すのが優先で、モンスターを倒すのは二の次だったもの」
「普通なら無視しても追いかけられて、結局挟み撃ちにされたりするんだけどね。君たちは機動力高すぎパーティーなんだよ」
と、ここでも戦闘に参加しないオーランドが、ズボンのポケットに手を入れたまま話す。
適正レベル190なんだよ! 少しは手を貸してくれたっていいだろっ。
ハイ・ヒールならするよ。
って言ったけど、ハイ・ヒールが必要な場面は一度もなかった。
まぁかすり傷でもハイ・ヒールされてたんだけどさ。
「Hi。うん、うん。わかった。ちょうど百五十階にいるし、向かうよ。こっちには捜索のプロもいるしね」
ん? オーランドの電話……捜索?
「百四十七階に行こう」
「……捜索依頼?」
「ソロで潜った奴が五日経っても戻ってこないって」
ソロで百四十七階に!?
いや、でもオーランドみたいにレベル200もあればソロでも行ける、のか?
上り階段へ戻ってから転送装置で百四十七階へ。
ここの適正レベルは百六十八ぐらいだという。
あぁ……なんか穏やかに狩れる。しかも通路タイプだ。四方を気にし過ぎなくていいから安心だ。
「捜索対象は? ハンターレベルとか」
「172だって」
「ソロだと結構ギリギリ、かも?」
「ここはオープンではないから、行けるよ。ボクは155からソロでここに来てたし」
おかしいだろ、お前。
浅い階層だと適正レベル=ソロでもなんとか攻略可能レベルとして見られるが、深くなるほどそれはパーティーであった場合に置き換えられる。
ソロだとプラス5から10はあったほうがいい。むしろプラス15以上でもいいぐらいだ。
適正よりマイナスでソロる奴がいるとは……。さすがオーランド。
「あと、探す相手はボクも知ってる奴だ。同期だよ」
オーランドの同期?
同じ年にハンターになった知り合いとか?
じゃあ絶対に見つけ出さないとな。
「騒がしい奴だから、きっとすぐ見つかるさ」
いやいや、相手はソロ適正に見たないレベルの人なんだろう?
急ごうとか、なんかもっとないのか?
「オーランド、急ぎましょうよ」
「友達なんやろ?」
「違うよ」
「即答だぜこいつ。ケッ」
即答しやがったよ。
「でも大丈夫。あいつは強いよ。だって――」」
百四十七階を小走りで進むうち、奥の方で爆発音が響いた。
「ボクや悟と同じだから――」
オーランドや俺と同じ……まさかダンジョン・ベビー!?




