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はい、こちらダンジョン捜索隊~自分はレッサーパンダだと言い張る相棒の♀タヌキが、うっかり記録用録画を配信してしまった件。  作者: 夢・風魔
7章

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212/219

212:エディは多才。

 入り口まで引き返した俺たちは、転移装置を使って地下百階へと下りた。


「え、最下層!?」

「そう。で、ここに隠しダンジョンがあるんだ」


 え……最下層が百階なのに、隠しダンジョン?

 隠しダンジョンって、比較的規模の小さいダンジョンにあるって印象だったけど。


「ビックリだろう? ボクも驚いた」

「え、驚いたって、じゃあお前は知らなかったのか?」

「ボクだけじゃない。みんな知らなかったんだ。ジャックのギルドの連中以外ね」


 あぁ、つまり西区の隠しダンジョンみたいに、それを見つけた人が他に情報を流さなかったってことか。

 まぁアメリカでランキング一位が所属するギルドだ。自分たちだけで攻略出来ると思ったんだろう。

 それだけの実力はあったはずだから。


「悟たちにはまずここで、レベル上げをしてもらう。ここは適正が150なんだ」

「……え、150……」

「あ、ほら来たよ。じゃ、頑張って」


 そう言ってオーランドはアウトドアチェアを広げて座り込んだ。リュックからお菓子も出してる。

 寛ぐ気満々かよ!!!!!






「はぁ、はぁ……きっつ」

「あはは。お疲れさん」


 オーランドめ、笑ってるけど顔は無表情だ。

 夕方までミッチリとモンスター狩りをやらされ、くたくたになって帰宅。


「お、帰って来たか。どうだった?」


 こちらはニッコニコ顔でエディさんがやって来る。


「疲れました」

「地獄よ!」

「ウチ、もう寝たい……」

「羽根が禿げるかと思ったよ」

「本物の羽根じゃねーだろ、親父」


 更に、あんだけ頑張ったのに冒険者カードを持って来ていないことに気づいて、数字上のレベルが上がってないっていう。

 普段は捜索隊の制服のポケットに入れてあって、今回の出張時にちゃあんと持って来てはいたんだ。いたんだけど、鞄に入れっぱなし。

 もちろん、全員分だ。


「また明日頑張ろう」


 サラっとオーランドが言う。


「明日はブルックリンのダンジョンへ行こう。あそこは百八十二階まで探索されててね。ここからヘリで五分だから近いしね」


 そのヘリは誰が操縦するんですか。






「ヒャッハーッ。しっかりシートベルト締めろよっ」


 エディさんだった。

 なんだろう、この不安。


 しっかり食べてしっかり寝て。翌早朝に叩き起こされると、そのままヘリに乗せられ今は空の上だ。


「食事は向こうについてから摂ろう。ダンジョン傍に、サンドイッチが美味しい店があるんだ」

「こんな時間から開いてるのかよ」

「問題ない。四時から営業してる。ダンジョン通いの客が多いからね。予約もしてあるんだ」


 え、予約制の店?


「着陸するぞっ」

「え、もう!?」

「五分って言ったじゃないか」


 そうだけど……こんだけ近いなら、ヘリに乗る必要ないんじゃ?

 と思ったけど、窓から下を見るとなんとなくヘリを使った理由がわかった気がする。

 俺が自転車通勤するのと同じだ。

 もんの凄い渋滞している。こういうの、ラッシュアワーって言うんだっけ?


「凄いわねぇ。車だらけだわ」

「なんか黄色い車、多くない?」

「あぁ、あれはねヨーコちゃん、タクシーだよ。日本のタクシーは白や黒だけど、アメリカはほとんど黄色なんだ」


 そういえば映画でも黄色いタクシーはよく見るな。いや、黄色しか見ないのか。


 ダンジョンの入り口を囲むように、コンクリートの建物がある。その上がヘリポートだ。

 

「近くのビルの屋上も、ヘリポートとして利用出来るんだ。予約制で金を取られるがな」

「乗せ下ろしだけだと650ドル。駐車したままだと一時間1000ドルなんだ」


 千……十五万近くも取るのか!?


「というわけで、俺は操縦だけだ。戻って来たら電話しな」


 俺たちがヘリを下りると、エディはそのまま飛んで行った。

 で、誰か来て、その人にオーランドがお金を払っている。

 ダンジョン上のヘリポートも有料か。

 渋滞しても車で来た方がよくないか?


「じゃ、百五十階に行こうか」

「待て。適正レベルいくつだよ」

「190」


 殺す気だ!?


「ちょっと待ってろ、オーランド。みんな、こっちへ」


 うちのメンバーを集め、オーランドから離れる。

 そこで作戦を伝えた。


「わかったわ」

「ウチらのためやけん、頑張るばい」

「命あってのものだねだしね」

「ケッ」


 作戦決行。


「オーランド、お願い」

「サ、サクラちゃん? ボクにお願い? なにかな」

「私……レベル120だもの。レベルに合った場所がいいわ」

「ウチなんてやっと100ばい。適正190の所なんて言ったら、死んでしまいっちゃ」


 サクラちゃんとヨーコさんは、お祈りポーズで目を潤ませる。

 オーランドは口元を手で覆うようにして二人を見た。


「うっ。親父、オレはもうダメだ」

「ヴァイス!? あぁ、昨日の百五十階での戦いで、お前は傷ついていたんだな。かわいそうな僕の息子。チラッ」


 チラって言うな。


「ヴァ、ヴァイス! 大丈夫か、ヴァイス病院に行くかい? 獣医の知り合いならたくさんいるよっ」

「130……の所なら、生きていけ、る、ケッ」

「130だね。わかったよ! みんながそれでいいなら、そうしようっ」


 よし。訴えかけ作戦成功。


 したはずなのに。


「さぁ、ここは百三十階だよ」


 130は130でも、適正レベル130ではなく、百三十階の方だった。


「なぁオーランド。ここの適正レベルは?」

「150だよ」


 この日もまた、俺たちは地獄のような特訓を強いられるのだった。



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