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はい、こちらダンジョン捜索隊~自分はレッサーパンダだと言い張る相棒の♀タヌキが、うっかり記録用録画を配信してしまった件。  作者: 夢・風魔
7章

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207/219

207:明けましておめでとうございます。

「明けましておめでとうございます」

「おめでとう……って悟、眠そうね」

「うん。調べものと考え事してて」

「んもう。ミイラ取りがミイラにならないでよ」


 救助する者が救助されるハメになるなよって意味だ。

 大丈夫。仕事モードになったら数日寝なくても平気だから。


 オーランドから聞いた、願いを叶えるボスについてネットを調べまくった。

 が、「あるらしい」「あったらいいな」なレベルの記事しか見つからない。

 美味しい報酬だから、知っている人が公表していないのか。それともこれまで見つかっていないのか。

 もしくは、ランキング一位だって人が情報を偽っているのか。


 いろいろ考えてたら明け方になっていた。


「悟くん。オーランドに会いに行ってみたら?」

「サクラちゃん……」

「あら、アメリカに行くの? いいんじゃないかしら」

「母さん。父さんがあんな状態なのに行けるわけ――」

「悟。お父さんは大丈夫。あなたがやりたいことがあるなら、それを止めたりしないわよ。あなたには、やりたいことをやって欲しいの。お父さんだってそう思ってるわ」


 それはわかる。自分のせいで俺に何かを我慢したり、諦めたりするなってよく言ってたし。


 でも、アメリカに行く理由を聞いたら止められるんだろうな。


「じゃ、会社行って来るよ。帰りに父さんとこ寄ってく」

「あらそう? じゃあ退勤前に電話してくれるサクラちゃん、ヨーコちゃん。お願いね」

「「は~いい」」


 なんで俺に言わないの?






「あけましておめ――「出動だ、三石」あ、はい」


 元旦早々、救助要請かぁ。まぁ毎年恒例だけどね。


 ハッピーニューイヤー!

 と叫びながらダンジョンに飛び込む人たちがいる。スキルを持ってないorまだ入ったことのない人たちだ。

 酔ってる場合がほとんどで、質が悪い。

 

「入口に職員を常駐させる小屋はまだないからなぁ」

「それまでは人を立てるしかないんだけど、酔ってるから言うこと聞かないし」

「そうなんだよ。実際、昨日の二十二時頃からギルドの職員とうちとで五人ぐらいが交代で見張ってたんだけどな」


 一組の対応をしている間に、別の酔っぱらい集団が入って行く。

 ゲートを兼ねた小屋、年末前に完成すればよかったんだけどなぁ。


 酔っ払いの救助のために現場ダンジョンへと急ぐ。

 ダンジョンを囲む壁のところでは、うちの社員のギルド職員さんが何人もの酔っ払いを押さえるのに必死になっていた。

 揉め合う人たちを横目に、それーっと中へ入ろうとする人がいる。

 見た目からして、冒険者じゃない。


 まったく――あ、まだ仲間がいるのか――ん?


「何やってんだよあんたら! 正月早々、捜索隊のみなさんの手をわずらわせるな!」

「そうだっ。バカしてダンジョンに入って死んだらどうすんだっ。誰があんたらの死体か片付けると思う? 捜索隊の人か、もしくはモンスターだぜ。ぼりぼり貪り食われていいのか!」


 お、や?

 これまでにない展開だ。一般の人が酔っ払いを止めようとしてくれている。

 なんかちょっと、嬉しいな。


 何人もがそう言って酔っ払いを止めようとしてくれた。

 周りの野次馬からも「やめろ」や「酔ってダンジョンに入るとかダサぃ」「勝手に死ね」というような声が飛び交う。

 一斉に責められて少し我に返ったのか、酔っ払いがそそくさと人込みを掻き分け消えた。


「あの、ありがとうございます」

「え? あ、ああぁぁっ。お、お疲れ様っす、悟くん」


 ……誰?

 手を差し出されたので思わず握ってしまった。


「お、俺、スキルは取れなかったけど、応援してますっ」

「あ、ど、どうも。じ、じゃあ、中に入った人たちを探しに行ってきます」

「いってらっしゃい!!」


 だ、誰だっけ? どこかで会った人だったかな。


「ふふ。よかったわね」

「あ、うん。サクラちゃん、あの人たち見たことある人?」

「え? ううん、知らないわ」

「ウチも知らんばい」

「僕も知らない」

「知らねー」


 誰、なんだろう。


 ダンジョンに入って、とりあえず冒険者じゃなさそうな人、ふらふらしている人に声を掛ける。

 中には冒険者に引きずられて戻って来る人もいた。


「お疲れ様っす。あ、新年あけましておめでとうございます」

「おめでとうございます。珍しいですね、一階にいるなんて」

「いやぁ、正月三が日って、バカが多いって聞いたもんで」


 彼らは名前こそ知らないが、今年――いや去年から冒険者になった人たちだ。春のパトロール時期に一、二階でよく見かけたパーティーだから覚えている。

 夏には七階に下りてるって話を本人たちから聞いたし、一階にはもういないはずなんだけど。

 そっか。酔っ払いの救助をしてくれていたのか。


「奥にはいってないっすよ」

「他の通路にも俺らみたいな新米冒険者が陣取ってるんで」

「本当に!? いやぁ、助かるよ。毎年、酔っ払って中に入った人が大怪我するとか、中には亡くなる人もいたりで大変だったし」

「へへへ」

「でも、新米とはもう言えないだろう。五階より下に行ってるんだし」

「いやいや。三月末までは新米っすよ」


 頼もしい新米だ。きっと彼らは今年一年で更に成長するだろう。

 捜索隊の世話になることも、きっとないと思う。

 ぜひ最下層まで無事に到達して欲しいな。


 最下層――ここの最下層には隠しダンジョンがある。

 隠しダンジョン、かぁ。



作中元旦!

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