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はい、こちらダンジョン捜索隊~自分はレッサーパンダだと言い張る相棒の♀タヌキが、うっかり記録用録画を配信してしまった件。  作者: 夢・風魔
7章

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202/220

202:期待じゃなく奇態だよ。

「たむろってるなぁ」

「たむろってるわねぇ」

「たむろってなんなん?」

「群がってるとか居座ってるとか、そういう意味じゃなかったかい?」

「「そんな感じ」」


 岩山の前にストーンゴーレムが十数体いた。

 ストーンゴーレムは三メートル近いサイズでよく目立つ。

 そいつらが岩山をガンガン殴りつけているのが見える。


「あそこか」


 ゴーレムたちの足元に、チラりと見える岩の隙間。岩山の亀裂だ。

 大柄な人でも入れそうだけど、それ以上ではない。ゴーレムは入ってこれないようだし、安全――いや、安全じゃないな。

 よく見るとゴーレムの拳で岩山が削れていってる。


「急いで救出だ。ブライト、中の様子は見たか?」

「いいや。岩山の上も見てみたけど、入口はあそこだけだね。ここからサンタクロースは見えるんだけどなぁ」


 え、見える? いや、俺には見えないんだけど。


「赤い服着た人間の男が何人かいるゼ」

「ヴァイスも見えるのか?」

「お前みえぇーの?」


 見えないよ。フクロウの視力と一緒にしないでくれ。


 はぁ、ということはストーンゴーレムをどうにかしなきゃいけないのか。


「ぶっ飛ばせばいいっちゃ」

「そうね。悟くんがぶっ飛ばせばいいのよ」

「無茶いわないでくれ。ストーンゴーレムだぞ。硬いんだぞ?」

「コンクリートとどっちが硬いの?」


 コンクリートと? はて、どっちだろう。


――[悟くんの拳の方が硬いだろ]

――[だな]


「悟くん、上野ダンジョンのビルを壊してたでしょ」

「ここの適正レベルより、悟の方がずっと上ばい。へーきへーき」

「硬質化すればいいんじゃないかなぁ」

「オレがぶっ飛ばしてやるゼー」


 適正レベル……硬質化……あ、そうか。

 最近なんか、オーランドとか真田さんとか見てたもんだから、自分が戦えることをちょっと忘れてた。


「よし。やるか」


――[ストーンゴーレムに、合掌]






「インパクトォォォッ!」


 三十二階の適正レベルは50にも満たない。ストーンゴーレムは通常モンスターだし、特に強いわけじゃない。硬いけど。

 殴る瞬間、硬質化で拳を固める。

 バキャッと音がしてゴーレムの胴が飛び散った。


「イテテテテッ。破片が飛んで来てこっちも痛いんだけど」

「もう、我慢なさい。がおーっ」

「トオォォォォォル・ハンッマアアァァァァァッ」


 ヴァイスは完全に真田さんの影響を受けてしまったな……。

 ちなみにな、ヴァイス。


「そいつら水以外の属性系魔法、全然利かないぞ」

「ピギャッ。な、なんで! オレカッコよくならないじゃん」

「まぁまぁ。俺がゴーレムを砕くからさ、ヴァイスは核を狙ってくれよ」


 ゴーレムにとって心臓みたいなものだ。形もハート型だしな。

 それを破壊するまで、ゴーレムは粉砕しても元に戻ってしまう。まぁ粉々になると元に戻るまで時間かかるけどさ。


「あ、ほらヴァイス。あれだ。あそこに転がってるピンク色のハート。あれが核だ」

「トオォォォル・ハンッマアァァァァァ!」


 ピシャーっと雷を纏ってヴァイスが飛ぶ。

 なんで近距離魔法攻撃になったんだろうな……。

 猛禽類の狩りのように、足をつき出して核を鷲掴み。

 全身に纏った雷が核を包むと、ぷすぷすと煙を上げて――パリンっとガラスのように割れた。


「よし。その調子で頼むぞ。こっちはゴーレムの体を粉砕しまくるから、核は任せたからな」

「ケッ。任されてやるよ」


 そこからは早かった。俺はゴーレムを殴り倒すだけでいいからな。

 サクラちゃんが威嚇で岩山からゴーレムを引きはがし、俺が殴る。破片が当たって痛い。

 その間にヨーコさんが中へと入り、冒険者の診断をする――という流れだ。


 十分ほどでゴーレムで全て片付け、亀裂の中へと入る。


「う、うわ。本当に素手だ」

「あんなの、素手で倒すとかおかしいだろ」


 お、おかしい? いや素手って言ったって、スキルだし。

 普通。普通さ。うん。

 いやそんなことよりもさ。


「何故サンタクロース?」


 五人パーティーは全員、パーティーグッズが売ってるような店で買っただろう、ごくごく普通のサンタクロース衣装を着ていた。

 特にダンジョン産という感じもないし、なんだったらあちこち被れている。


「い、いや、ほら、クリスマスだしさ」

「クリスマスだからサンタのコスチュームでダンジョンに入らないといけないルールなんてないですよ」

「いや……目立つし……お、面白い、でしょ?」

「全然。面白くないし、バカなんですか?」



――[悟くん、辛辣ぅ]

――[いやでも正論だろ]

――[まぁバカだよな。バカだからコスプレなんだろうし]

――[あれドンッキのサンタ衣装だろww]

――[防御力0www]

――[なんでそれでダンジョン行こうと思った]



「ほら。視聴者もみなさんそう言ってます。あのですね、目立つためにそんな恰好して、万が一命を落としたらどうなると思います?」

「ど、どうって……」

「サンタクロースの恰好した遺体が並ぶんですよ! どんな絵面になると思っているんですかっ」



――[ちょw 悟くんwww]

――[まぁこれも正論なんだよな]

――[サンタコスしたまま遺体で発見されるとか恥ずかしくて成仏できねーわ]



「今回は視聴者の通報で救助に来ました。感謝するんですね。あ、救助費用はしっかり頂きますんで」


 それだけ言うと回れ右して階段の方へ向かう。


「来ないんですか?」


 振り返ってそう言うと、サンタクロース五人は慌てて走ってきた。

 その後、地上に戻って冒険者ギルドまで同行すると、そこでも五人はこっぴどく説教されていた。


 さらにその後――

 サンタクロースのコスプレをしてストーンゴーレムに追いかけられ、捜索隊に救助された奇態の新人冒険者――としてしばらく噂に上るようになった。




*********************

奇態は誤変換ではありません!

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― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です。 そりゃ悟くんも真顔で怒りますわ…自分なら即ビンタして、ベジ○タみたく「ぶっ○されなかっただけありがたいと思え!」ですね(怒) ゴーレムに潰されずに済んだ=死ななかったという幸運に…
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