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はい、こちらダンジョン捜索隊~自分はレッサーパンダだと言い張る相棒の♀タヌキが、うっかり記録用録画を配信してしまった件。  作者: 夢・風魔
7章

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198/223

198:表情筋

 ガチャ三昧の翌日。オーランドと別れた後、社長から電話がかかってきた。

「奴が来たぞ! 俺も暇じゃないんだからな!」とだけ怒ってガチャ切りされた。

 あいつ……社長がいる本社ビルに行ったのか……何をしたんだ。


 お昼にはまた何食わぬ顔をして捜索隊の社員食堂にいた。

 何故か朝には持ってなかった大きなキャリーケースがある。


「何が入ってるんですか、オーランド」

「真田。これはお土産だ。知り合いのお子さんへのお土産と、ボクへのお土産」

「……トムさんやエディさんへのお土産は?」

「え?」


 いや「え」って言うなよ。買って帰ってやれよ。


 そして次の日。アルジェリアから日本に到着した時にはリュック一つだったのに、日本からアメリカへ帰国するときにはキャリーケースが二つになっていた。

 ひとつは本部ビルから帰って来た時のもの。もうひとつは昨日の午後に買ったというガチャを入れたもの。


「ガチャが入ってる方のケース、隙間だらけじゃないのか?」

「そうなんだよ。何か入れるものがあればいいんだけど」

「空港でギルドのみなさんにお土産を買ってあげたらいいんじゃない?」

「……何を買ったらいい?」

「おやつよ。おやつがいいに決まっとるばい」


 うんうん。無難なところでいいんだよ。


 今日は後藤さんが休みにしてくれたので、空港までオーランドを見送りに行く。

 その空港でギルドへのお土産を買い漁るオーランド。いや、サクラちゃんとヨーコさん。

 二人は首から【入場許可】と書かれた名札をぶら下げている。

 スキル持ち、さらには捜索隊社員ということでの特別許可だ。これがあれば空港内を人間と同じようにうろつける。まぁ飲食店付近はご遠慮ください、になっているけれど。

 その二人が、あれもこれもとお菓子を持って来る。

 サクラちゃんはわりと人間のお菓子でも食べるけど、ヨーコさんはほとんど食べない。

 完全に「箱のデザイン」で選んでいるようだ。


「これっ。これカラフルで綺麗ばい。こっちはかわいい。あとこれは小鳥の絵が美味しそうでいいけん、これも買っとき」

「ギルドって何人いるの? え? 百人ぐらい? じゃあひとり二個ぐらいしかないわねぇ」

「あんまり買ったらお金がなくなるやろ、オーランド」

「お金は気にしなくていいよ。1000ドルでも10000ドルでも使っていいから」


 いや使い過ぎだって。どっかの社長みたいなことすんなよ。

 あ、こいつも一応牧場経営の社長なんだっけ?

 これだから社長って生き物は。


「やぁやぁ、探したぞガキども」


 後ろから聞きなれた声がして振り向くと、社長と金森さん、あと知らない人がいた。知らない人はダンボール箱を台車に乗せている。


「ったく。出発ロビー前で大人しくしているのかと思ったら、こんな所で土産漁りとはな。買うなら事前に買っておけ!」

「あなたも空港でお土産を買い漁っていたのでは?」

「金森。過去のことは振り返るな」

「振り返れよ」

「あの、社長……どうしてここに?」


 そう尋ねると、社長は台車に乗せられたダンボールをポンポンと叩く。


「土産だ、持っていけ」

「土産? 何が入って――「こ、これは!?」ぐふっ」


 オーランドに押しのけられた。何をそんなに興奮しているんだ。


「ま、まさか……十二月十五日から受注受付開始の、クリスマスバージョン!!」

「え? ほ、本当ですか? え? それをお土産? え?」


 真田さんまで興奮し始めた。

 クリスマスバーション?


「あぁ~。この前撮影したヤツね」

「なんかいっぱい着せられて、大変やったばい」


 ん?


「いや。これは試作だけしてボツになったヤツだ」

「シ、シャチョー。それってまさか、世に出回ってないグッズ!?」

「感謝しろ、クソガキ。だから仕事中に押しかけて来たり電話すんじゃねぇー!」

「試作で百個ずつ作っています。転売しないというお約束でお譲りしますので、お知り合いに配る際にはその旨、しっかりお伝えください」

「も、もちろんっ。もちろんですっ。転売した奴がいたら、ボクがダンジョンの中で葬ります」


 葬るな!


 オーランドはその場で箱を開け、グッズの入った袋を開け、二つずつ取り出す。


「真田。これは君のだ」

「オ、オーランド……ありがとう。ありがとう」


 オーランド……お前……案外いい奴だな。


「悟、君の分――「いや、いらないから。ダンボールの蓋、どうやって閉じるつもりなんだ」――あ」

「心配するな。ガムテープならある」


 どんだけ用意がいいですか、社長。

 しかも元々ダンボールには若干隙間があり、買ったお菓子のお土産も入れてガムテープで蓋がされた。

 残りのお菓子はお店が用意してくれたダンボールに詰め込まれ、こちらもガムテープを張って台車に乗せる。


「荷物の手続きをしてこい。台車は返してもらうぞ」

「Yes!」


 スキップしながらオーランドが荷物の手配に向かう。


「あのダンボールの山……あっちの空港からどうやって持って帰るんだろうな」

「もう、仕方ないわねぇ~……あ、もしもしエディ? そう、サクラよ」


 またエディ氏に電話してる……。

 オーランドの荷物が多いから、トラックで迎えに行ってやってとか言ってる。

 いや、さすがにトラックはいらないと思うよ。

 隣でヨーコさんが「バスでいいわよ。バス」と。

 まぁ……トラックよりはバスかな?


「手続き終わった。じゃ、出発ロビーの方に移動するよ」

「あぁ。気をつけて帰れよ。あとエディさんに謝っておくんだぞ」


 だから首を傾げるなって。


「助けが必要だったら、いつでも呼んでくれ」


 ……はぁ。なんだかんだで頼りにはなるんだよなぁ。


「まぁ、そん時はよろしく頼むよ」


 そう言うとオーランドは、満面の笑みを浮かべた。


 無表情だと言われがちな俺たちダンジョンベビーだけど、表情筋がないわけじゃない。

 感情表現が下手くそで、よっぽど心を動かされないと顔に出ないだけだ。


 つまり今、オーランドはめちゃくちゃ喜んでいるってこと。

 よろしく頼むって言っただけで、そんな喜ぶなよ。

 こっちまで表情筋が動くだろ。


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