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はい、こちらダンジョン捜索隊~自分はレッサーパンダだと言い張る相棒の♀タヌキが、うっかり記録用録画を配信してしまった件。  作者: 夢・風魔
7章

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144/180

144:みんなのセンス。

「今日からお世話になるたい」

「んまぁ~っ。お父さん、キツネよっ。喋るキツネ。かわいいわぁ、綺麗だわぁ」

「はぁ~。北海道からトラックで? そりゃまた、長旅だったねぇ」


 二日に渡って捜索隊専属の獣医さんにいろいろ検査をしてもらい、エキノコックスの心配もないと診断。

 だが本部ビルのマンション階に空きがなく、アニマル隊も大勢いることでキツネのスペースも取れないってことでうちに来ることになった。

 サクラちゃんには「レッサーパンダなんてウチ、見たことないけん! ちょ、ちょっとタヌキに似てるからそうかなぁって思っただけばい。だから、ごめん」と話し、和解することになった。

 素直に謝罪されれば、サクラちゃんもそれを突っぱねるわけにはいかない。元々優しい子だし、素直に受け入れてくれたみたいだ。


「それで、お名前は?」

「え? な、名前?」

「おや、名前はないのかい? 動物園ではなんて呼ばれたか覚えてる?」

「おじ様。その子、野生の北キツネなのよ。だから名前がないのね」

「んー、そうかぁ。じゃあ悟」


 父さんが俺を見る。

 この流れは、あの流れか。


「名前、考えてやりなさい」

「やっぱり」

「ん? 何がやっぱりなんだ?」

「なんでもない。はぁ、何か考えとくよ」

「名前! ウチにも名前がつくと? どんなやろ。どんなやろ。うふふ」


 二本の尻尾をぶんぶんして、そんなに嬉しいのか。

 真剣に考えないとなぁ。


 ご飯はサクラちゃんと同じ物でいい。

 ペットショップでの注文量を倍にしないとな。

 寝床はとりあえず、サクラちゃんと一緒。

 父さんが今度、キツネ用のベッドを作ると言っている。まさか自分で設計からするんじゃないだろうな。


「じゃあじゃあ、小物もいろいろ買わなきゃね。ブラシ、必要でしょ?」

「サクラちゃんと共同で使えばいいんじゃないか?」

「何言ってるの悟! ブラシは家族間でも共有しないのよっ。まして女の子なんだから、ちゃんと自分用のが欲しいに決まってるでしょ! ねぇ?」

「そうね。私たちってある時期になったらたくさん毛が抜けるもの。自分用が欲しいわ」

「そ、そうなん? ウチはよくわからんけど」

「「そうなの!」」


 母さんとサクラちゃんに詰め寄られ、キツネの方がたじたじだ。

 こりゃ今度の休みは買い出しだな。






「スキルは変化と、他は?」

「よくわからんと。変化は、なんか出来るようになったけんわかったけど」

「野生だもの、今まで冒険者ギルドにも行ってないんでしょ?」

「え、でも冒険者に言葉を教えてもらったんだろ?」


 と聞くと、キツネが顔を背ける。

 え、違うのか?


「こ、こっそり後をつけてただけなんよ」

「あぁ……教えてもらったんじゃなく、聞いて覚えただけなのか」

「そ、それでウチの名前って?」


 ……キラキラした目で見ないで欲しい。


「キツネなんだし、ツネっていうのはどう? 何かのドラマで見たの」

「な、なんかパっとしない名前やね」


 ツネ……なんかおばあちゃんみたいな名前だ。


「なんかばーさんみたいな名前じゃねえか」


 ブライト……そこは黙っておこうよ。


「そうかしら?」

「ばーちゃん。ばーちゃんなの?」

「お、お姉さんはおばーちゃんじゃないのよ」


 ツララに言われてキツネは耳を垂らしてしまった。

 たぶんツララはおばーちゃんが何なのかわかってない。


「じゃあキネ。キネさんならいいんじゃない?」

「それもばーさんっぽいぞ」

「もう、うるさいわねぇ。ブライトは黙っててよ」


 ツネもキネも、ブライトが言う通りおばあちゃんっぽいと俺も思うな。


「あらあら。悟くん、早く名前を決めてあげないと」

「うんうん。早く、早くっ」


 スノゥまで心配しだし、キツネは助けを求めるように頷いている。

 そう言われてもなぁ。良い案が降って湧いてこないんだよ。


 キツネ……キツネと言えば九尾の狐か。まぁ二本しかないけど。

 妖狐……妖狐ねぇ。

 よう……。


「ヨーコ。ヨーコさんはどうだ?」

「ヨーコ?」

「そう。狐の妖怪、妖狐でヨーコ」

「ヨーコでヨーコ? 何言ってるの、悟くん」

「まぁ元ネタはよくわかんねぇけど、ツネとかキネよりは全然マシだな」


 散々な言われようだな。


「あなたはどうなの? 悟くんが言った名前でよさそう?」

「ウ、ウチ? ウチは……ヨーコ……ヨーコがいい!」

「それじゃあ、決まりね。スキルのことは明日、鑑定してもらった方がいいみたいね」

「鑑定? それって何がわかると?」


 野生だったからか、その辺の事情は何も知らないようだ。

 その晩、屋根裏のシロフクロウエリアでダンジョンのこと、捜索隊のこと、冒険者ギルドのこと、そしてスキルのことをヨーコさんに話した。


 屋根裏はとても……とても寒かった。


名前考えるのって難しいよね。

ブクマ★応援お待ちしております!

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