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はい、こちらダンジョン捜索隊~自分はレッサーパンダだと言い張る相棒の♀タヌキが、うっかり記録用録画を配信してしまった件。  作者: 夢・風魔
6章

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135/180

135:お土産の配給。

「これ、お土産」

「まぁ! ま……悟。なんでお土産がスカーフだったりコートなの?」


 日本に到着して、迎えに来てくれた母さんの車で自宅へと帰ってきた。

 このお土産は、モデルのバイトした先で貰った新作ファッションだ。


「それ、オーランドから。母さんに似合いそうだって言って」

「まぁ! いい子よねぇ、オーランド。あなたに似てちょっと天然だけど」

「……え?」


 俺が……天然?

 そんなバカな。


「父さんにはないのか?」

「父さんにはこれ」


 ひざ掛け。これから寒くなるからね。


 いやぁ、日本に到着して思ったのは、こっちは温かいってこと。

 まぁニューヨークに比べたら、だけど。

 あとは定番のお菓子系だ。

 自由の女神が描かれたクッキー。自由の女神が持っている松明の形をしたクッキー。自由の女神の顔の形をしたチョコ。


「自由の女神だらけじゃない。行ったの?」

「行ってない」

「だろうと思ったわ。いっぱいあるし、お父さんの事務所にもおすそ分けしましょうか」


 そのつもりでたくさん買ってきた。

 あとは明日、捜索隊本部に持って行くお菓子だけど……。


「ツララちゃ~ん、ヴァイスちゃ~ん。ちょっと見ない間に大きくなってぇ」

「えっへん」


 母さんは久しぶりに見た雛たちを抱き上げ、キャッキャとはしゃいでいる。


「フクロウのこと、ネットで調べてみたが。巣立ちが遅いんじゃないか?」


 父さんが俺の側で小声で言った。


「俺もそう思ったんだけどさ、スキル持ちの動物は、その時点で成長速度が遅くなるだろ? 卵の時からそうだったってだけさ」

「あぁ、そういえばダンジョンベビーだったものな。しかし不思議だねぇ。人間の場合は、成長速度に影響しないってのに」


 確かに。俺はダンジョンで生まれたけど、年相応にちゃんと成長している。

 動物だけだ。成長が緩やかになるのは。


「さ、お風呂入って来なさい。夕飯の準備しておくから」


 はぁ。我が家のお風呂。久しぶりだなぁ。

 晩御飯に期待して、今日は普段より少し長風呂をした。

 一ヶ月半ぶりの日本食だ。


 みそ汁飲みたいなぁ。肉じゃがとかいいなぁ。天ぷらも、煮物も、うどんとかそばもいい。ラーメンでもいいな。


 濡れた髪を拭きながらダイニングへ向かうと、テーブルに並んでいたのは……。


「今日は悟が帰ってくるから、奮発したんだから」


 ステーキだった。






「おはようございます。三石、帰って来ました」


 昨夜はステーキ。今朝はサンドイッチ。

 和食を食べられないまま、帰国一日目が終わった。

 出勤して、一階のグッズショップの店員さんたちにもお土産を渡し、待機室へ。


 あれ?


「大塚さん? 正式入社したんですね」

「やぁ、改めてよろしく。ずっとニューヨークだったんだってな」

「はい。向こうでも捜索隊が設立されて、それで道具の使い方とかの講習のために行ってたんです」


 この人は合格すると思っていた。いい人だし。


 いやぁ、それにしても……待機室、狭くなったなぁ。

 今って三十人ぐらいいるんじゃ。

 前は夜勤組も入れてそれぐらいの人数だったのに。


 はぁ。いいなぁ。

 人助けしようって人がこんなにいて。


「なんだ三石。アメリカが懐かしいのか?」

「逆ホームシックかい、三石くん」

「あ、白川さん、赤城さん。久しぶりです。別に懐かしんでなんかいませんよ。ここも狭くなったなぁって思ってたところです」

「あぁ。狭くな。うん、狭くなったよな」

「ははは。社長も戻られたし、後藤さんが待機室の件で掛け合ってくれるはずだ」


 社員が増えるのはいいことだ。

 そう思えば、この狭い状況も喜ばしいんだろうけど。


「ハッハッハッ。悟戻った! 元気だったか! 俺は元気だ!」

「お、ハリーじゃないか。お前は相変わらず元気だったみたいだな」

「オン!」

「暑っ苦しい奴だな、君は。ただでさえこっちはニューヨークより暑いってのに」

「ウゥン。ブライトは寒いのが好きなのか。俺も好きだ!!」


 たぶんハリーは暑いのも好きなんだろうな。


「君はどうせ暑いのも好きだっていうんだろ」

「……好きだ!」


 やっぱり。


「んもうっ。和やかにしてないで、荷物出すから配る準備して!」

「あ、サクラちゃん。ごめん。出してくれていいよ」


 大量のお土産――ほとんどお菓子だけど、空港に行く前にサクラちゃんのアイテムボックスに入れさせてもらった。

 社長から預かったお土産もあって、とてもじゃないけど車じゃ運べないような量だ。

 なんせお土産店の店員さんがドン引きするほどの量を買ったからなぁ。社長が。


 どんどん机の上に並べられていくお菓子の箱。


「全部で六種類あって、ひとり一箱ずつです」

「おい、悟。お前、こんな大量に買って……いくら使ったんだよ」

「いえ。俺が――というか俺とサクラちゃんとブライトとスノゥとツララとヴァイスが選んだものを、社長が社員の数だけ買ってきたっていう……」

「おかしいだろ、あの人」


 俺もそう思う。

 だから帰国三日前に土産店に行って、事前に注文してたんだな。

 売り場の店員はドン引きしてたけど、店長の目は輝いていた。近隣店舗からも在庫をかき集めるって言ってたし。


「お土産は人間用だけじゃないわよ。ここじゃ狭いわ。会議室行きましょう!」

「人間以外のお土産!?」

「え? 私にもあるの?」

「あるわよ。さ、人間以外は第二会議室へいらっしゃい! あ、でも手伝ってくれる人間は必要ね」

「任せて。僕がやろう」


 赤城さんの返事が早い。

 まぁ俺も行った本人だし、行かなきゃならないだろう。


 会議室へと移動すると、種族単位で並んでもらった。

 犬には自由の女神が描かれた犬用クッキー。

 猫には自由の女神がパッケージに描かれた猫缶。

 鳥たちにはドライフルーツだ。


「ウオオォォォォ!」

「なにこの青い女の人?」

「カラフルで綺麗ねぇ~」


 赤城さんから一匹ずつ手渡しされ、みんな喜んでいる。

 鳥たちはさすがに袋を受け取れないから、あとで個別の部屋に置いて行ってやろう。


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