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はい、こちらダンジョン捜索隊~自分はレッサーパンダだと言い張る相棒の♀タヌキが、うっかり記録用録画を配信してしまった件。  作者: 夢・風魔
6章

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129/180

129:だが断る。

「サトル。一緒に行かないか」

「断る」

「……何故?」


 何故かって? 自分の胸に聞いてみろ、オーランド。

 捜索隊独自アイテムの使い方の説明をしたり、応急処置の仕方を教えたり。連日、講習会を開いたらまた一週間の休みに入った。

 その初日。

 ギルド『ブラッディ・ウォー』のビル内にあるカフェで朝食を摂っていると、オーランドが来た。

 即答だ。断るに決まっている。


「オーランドと一緒だと、命がいくつあっても足りないわ!」

「そうだそうだ! 僕らはお前と違ってか弱いんだぞっ」

「か弱くはないわ」

「うん。か弱くはないな。僕が悪かった」

「父ちゃん虐める、めっ!」


 頭を上下に振って威嚇しているような仕草をするツララ。

 オーランドは何故かそのツララを撮影していた。


 ちなみに、先日のダンジョンでの一件――野郎に抱っこされるより、女性に抱っこされた方がいいねってヤツ。

 黙っといてやろうと思ったら、サクラちゃんの方が話してしまった。

 だがスノゥは表情を変えず「私もよ」と。


 ヤキモチを焼かないのかと思ったが、人間の女性は浮気相手にならないらしい。

 うん。まぁ、そうだよな。うん。


「君たちは何か誤解している」

「何かって、何だよ」

「今日は資源の採掘班の護衛で、新しいダンジョンの十二階に行くんだ」

「「だったらそれを先にいえよ」」


 俺とブライトが同時にツッコミを入れる。

 肝心な部分を言わないで、何でも何もないだろう。


「だから行こう」

「なんで「だから」が続くのかは謎だけど、まぁやることもないしいいけど」

「よし。サクラちゃんとブライトの昼食は用意してあるよ」

「俺のは?」

「……え?」

「いやいい。自分で用意するから」


 何事も動物優先なんだよなぁ、こいつ。

 カフェの人に頼んで、ホットサンドを用意してもらった。それをサクラちゃんのアイテムボックスに入れてもらう。


 そこから車でダンジョンまで移動。


「あれ? エディさんも一緒なんですか?」

「あ? 俺いちゃダメ? ダメなの?」

「い、いや……いいんですけど」


 この人、ギルドの副マスターだったじゃん。そんな立場の人でも護衛依頼を受けるのかなって思って。

 あと、ダンジョン行くのにリムジンってどういうことだよ!






「いやぁ、便利だなぁ。オートマッピング」


 エディさんはそう言いながら、俺が右手に持つ紙を覗き込んだ。

 ここのダンジョンは、まだ地図が作られていない。

 まぁ生成されて一ヶ月にも満たないダンジョンだし、当然と言えば当然だ。


 それでも十二階に資源があることがわかったのは、ビルが突き刺さっていたからだとも言える。

 ビルの窓からアッサリ見えたからだ。資源用オブジェが。

 そしてビルのおかげで階段を探さなくても、楽に下の階に行けるっていうね。


 という話をすると。


「よく考えろ、サトル。転移装置を置けば、どっちの方が楽になると思う?」

「……あぁ、そうですよね」

「そうそう。それまで俺たち採掘班は、非常階段を上り下りしなきゃならないんだ」


 そう話すのは『ブラッディ・ウォー』の資源採掘班だ。

 アメリカじゃ、資源の採掘・回収もハンターに任せてある。まぁ正しくはハンターギルド、だけど。

 採掘班の中にもスキル持ちいて、だけど戦闘スキルじゃない人たちだ。それとは他に、スキルを持たない人も所属していた。

 採掘された資源は国や企業が買い取ってくれる。

 ここが日本との違いだ。


 日本の場合、採掘した資源は一度国が買い取り、種類によってはそこから企業に売却される。

 採掘スタッフは国の下請け企業みたいなものだ。冒険者も資源を拾ってくることがあって、それはギルドが買い取り、まとめて国に送るそうだ。

 冒険者ギルドの職員の話だと、買取価格はそう高くはないという。


 まぁ資源の買取価格が上がれば、光熱費の値段が今より高くなるから仕方ない。

 ただ、企業が直接買えるようになれば少しは安くなるんだろうけどなぁ。


「ねぇ。ここでは何が採れるの?」

「あぁ。それを今から調べるんだ」

「「え……」」


 知らないで採掘しに来たのか!?


「おっと。モンスターだぜ」

「片付ける」

「待ちな、オーランド。せっかくだ、サトルに俺のスキルを見せてやろう」


 そういえば、彼のスキルのことは何も知らないな。

 オーランドは回復が出来る魔法剣士タイプだけど。


 黒人でスキンヘッド、筋骨たくましい肉体。

 イメージとしては格闘タイプ!!


「さぁ、行こうか。出てこい、ロック・エレメント」


 エディがそう言って壁に手を着く。

 その壁から現れたのは、岩で出来たゴーレムだった。


「よぉし。蹴散らせ!」

「ゴッ――」


 ゴーレムが岩の拳を振ると、襲ってきたモンスターは吹っ飛んでしまった。


「っしゃー! お、逃げるのはなしだぜ。――ロック・バレット!」


 長細い岩が宙に現れ、モンスターに向かって飛んでいく。


 魔法タイプか!?

 あの筋肉はなんのために!?

 


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― 新着の感想 ―
スキンヘッドのムキムキが無駄なゴーレム使いww 流石多様性の時代www.
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