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109/133

109:勝ち確。

 な、なんだ? 誰かの魔法スキルか!?

 それにしても……タイミングが良すぎる。


 お、俺のスキル?

 さっき富田さんが、あのスケルトンはユニークモンスターだって言ってたし。

 まさかスキルが覚醒……した?


「さ、悟、今のはなんだ?」

「後藤さん。今のは……なんでしょう?」

「なんでしょうってお前」

「さっきユニークモンスターを倒したんです。もしかしてスキルを手に入れたのかも」

「な、なんだと!? よ、よし、もう一度やってみろ。今度はちゃんとサソリの腹の下を狙えっ」


 やってみるしかない。

 えっと……拳を地面に突き立てるのか?

 あとイメージも必要なんだろう。

 さっきは尖ったドリルが地面から何本も突き出していた。

 けどドリルのサイズが一メートルぐらいだったか……あれじゃあサソリの腹に届いても、ひっくり返すことは出来ない。


 なら。

 ドリルは一本でいい。その分長くなれ!


「ウオオオォラアァァァァッ!!!」


 ドンっと地面に拳を打ち立てる。

 一瞬、ずんっとした振動を感じ、それからイメージ通りのドリルが――生えた。

 ただ、イメージと違ったのはその後の。


 サソリをひっくり返すはずだったのに、サソリの腹に突き刺さってしまった。

 その結果、サソリは体が斜めに傾いたまま固定。


「……ちょ、ちょっと予定とは違ったが、腹が出てることに変わりはねぇ。みんな、殴れ!!」

「「お、おぉー!?」」


 ま、まぁいいよね。足元に拳を叩きつけるより縦になってる分、殴りやすくなるはず。


「オラオラオラオラオラァッ!」

「無ぅー駄無駄無駄無駄ぁ!!」


 十数人が一斉に殴り始めると、殴るための場所がなくて傍観することになってしまった。

 腹が丸見えになったことで、遠距離スキル持ちも一斉に攻撃しはじめる。


「三石、スキル効果が切れそうだ。もう一発打てっ」

「あ、はい。じゃあみなさん、少し下がってくださいね」


 オラオラ無駄無駄していた人たちが数歩後退する。

 それとほぼ同時に、岩ドリルが消滅した。


「ウオオオォォォッ!」


 で、もう一度ドリルを生えさせる。

 このスキル、最初は一メートルぐらいのドリルが数本生えて来た。で、今は大きなのが一本と、イメージ通りに形というか本数や大きさを変えられている。

 イメージで変えられるなら、あの複数バージョンの展開図を変えて……は、範囲にならないか!?


 範囲。

 範囲!!


 ざ、雑魚モンスターで試したい。範囲になるのか試したい!?


 そ、それじゃあ、まずは縦一列!


 ドカんと拳を打ち付ける。

 ドンッ、ドンッ、ドンッと、ドリルが一列に並んで生えて来た。


 ん? これ、一斉にじゃなく一本ずつ時間差で生えてくるのか。

 ウェーブみたいな感じかな。

 ドリルの本数は――今は五本だ。大きさは一メートルほど。

 ちょい短くすれば?


「っせい!」


 ドカンと拳を地面に打ち付けて――あ、六本になった。

 今度は縦じゃなく横。

 おぉ! なんか壁みたいにできるな。

 一本目は地面に打ち付けた拳の位置から、一メートルほど離れた場所にドリルが生えてくる。そこから横にって感じで生えてくるけど、横をイメージしたら左右同時に二、三本目、四、五本目が生えてきている。


 ドリル! ドリ……微妙な範囲だな……。

 一本につき一体ぐらいしか突き刺せないし、本数も少ない。ドリル同士に隙間もあるし、躱すのも簡単そうだ。

 ドリルの長さを短くすれば、足に突き刺さる程度。まぁ小型モンスターなら一撃で倒せるだろう。


 でも長さを短くすると本数が増えるって……もしかしてドリルに使っている岩の総面積が固定なのか?

 だったら細くすれば――。


「――くんっ。悟くんってば!」

「え? サクラちゃん。あ、あれ?」

「サソリが死んだわよ! 私たち、スタンピードのボス討伐に成功したのよ!」

「え、サソリ……あ」


 あ、れ……いつの間にかサソリがひっくり返っていて、その腹にはいくつもの穴が開いていた。

 その穴から黒い煙がのぼっている。死んだ証拠だ。


「やったぞーっ!」

「スタンピードのボスを倒したぁぁぁぁっ」

「あとは雑魚を一掃するだけだ! 最後まで油断しないで、気合入れていけぇーっ!!」

「「おおぉー!」」


 雑魚の一掃……スキルの能力を知る機会だ!


「悟くんあのね、私ね」

「サクラちゃん。俺、スキルが増えたんだ!」

「そうなの!? 私もなのっ。それにいろんな人がスキルに覚醒したのよっ」

「え、いろんな?」

「そうなんですっ。俺も新しいスキルを手に入れたみたいで」


 嬉しそうに話すと富田さん。


 もしかして……富田さんの『幸運を手繰り寄せ』スキル……なのか?

 

 そういや、ブライトがスタンピードのボスを見つけたってタイミングに、富田さん、俺たちと合流してるよな。


 ……この人のスキル、恐ろしいレベルで幸運を手繰り寄せてる気がするんだが!?

 あぁ、もうこの一掃戦、負ける気も、犠牲者を出す気もしない。


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― 新着の感想 ―
また【JOJO】の人がいたぁ~!!( ; ロ)゜ ゜
富田さん…さらわれたりするヒロイン枠になりそう
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