五十 手にしたもの
イアランがまさかの苦戦を強いられていた。
バスの召喚したナイトゴーレムは決して大きいわけでも、魔法を使うわけでもない。
ただ、全身がミスリルという魔法の金属でできているだけ。
ただ、魔法が効かなくて、並の攻撃では傷一つ付かないだけ。
ただ、肉食の獣の数十倍早く強いだけ。
ただ、それが二十体いるだけ。
それはまさに悪夢である。
「あの頃の私とは違うんだって。イアランのスライムしか使えない進化してない召喚術じゃないって」
ブフォブフォと下品な笑い声を辺りに響かせるバス。余裕の笑みはまさに醜悪。パンパンに膨れ上がった頬を揺らし嬉しそうに笑う。
「お前…このゴーレム、誰にもらった?お前の頭と魔力では決して作れない逸品だ。どんな卑怯な手を使ったんだ?」
話の最中もナイトゴーレムがイアランにミスリル製の剣を振りかざしてきている。それを身体強化魔法を駆使しながら避けていくイアラン。
正直話にならない。
スライムでバスを何度か攻撃するものの、全てナイトゴーレムが防いだ。
まるで、あしらっているような動きで防いでいるイアランだが、決して余裕は無い。
「卑怯?私は君ほど卑怯なことはしてないって。君は私にどれだけ酷い事をしたか覚えてないだろって」
必死に攻撃をかわしているイアランをあざけ笑うかのようにバスは歩いて建物の入口を守っている私に近寄って来た。
「なあ、君はイアランの恋人だろって?」
私が答えようとすると「まあ、イアランにたぶらかされた女だろって」とブフォブフォ笑い出した。
「イアランを助けたいなら『私をバス様の奴隷にしてください』と全裸で土下座したらナイトゴーレムをとめてもいいぞって」
そう言うと本人は華麗になのかもしれないが、子供でももっと飛べるような距離をジャンプして私の目の前に着地してキメポーズを取った。
「イアランは昔、私の惚れた女を横取りしたって。許せないって!だから、イアランの女を横取りするって!今決めたって!」
そう言うとバスは私の手を取り引っ張った。
当然、反射的に蹴飛ばそうとした。
しかし、その瞬間、私とバスの間に一体のナイトゴーレムが割り込み、私の蹴りを体で受け止めた。
「私を傷つけるのは不可能だって。このナイトゴーレムがその身に代えても私を守るって!」
少しだけ生命エネルギーを解放していたおかげで足に怪我はなかったが、とても痛かった。少なくとも、本気でやらなくては勝てそうにない。
私は生命エネルギーを50%開放する。生命エネルギーはキレイな白色。いつの間にか思った以上に扱えるようになったというのが、現在のわずかな救いであった。
「イアラン、加勢するわ!」
私は手始めに目の前にいるナイトゴーレムをぶん殴ってみた。
「…いっっったぁぁぁぁい!」
拳を思わず抱え込んだ。手の甲が赤黒くなっている。
「バカだって。ミスリルを素手で破壊するとかできないって。それくらい子供でも分かるって」
ブフォブフォと笑うバス。その顔はまるで私に同情するかのように憐れみの表情をしていた。
「毎夜やり過ぎて頭がバカになったんじゃないかって。大丈夫だって。私は優しいから、そんな中古品でも遊んであげるって」
回復魔法で拳を治す。このまま殴ってはダメだ。
私はフランメ・フィストを発動させる。
「すげー!拳が燃えてるって!」
驚くバスを気に止めることなく、再びナイトゴーレムをぶん殴る!
しかし、私の拳はまたもや傷一つ付けられなかった。
「魔法耐性もあるミスリルに魔法で攻撃って…バカだって!」
笑い転げているバスにムカつくが、最悪な状況ゆえにそんなことで心を乱している場合ではない。
視界の端に見えるイアランも辛そうで、何とかスライム弾でナイトゴーレムを吹き飛ばして敵を近付けないように距離を取りながら戦っている。
だが、数が多いため、さっきより傷が増えている。
「よそ見禁物だって!」
私の背中に衝撃が走り地面に這いつくばってしまった。起き上がろうとした瞬間、再び背中に衝撃を受け押さえつけられた。
「ナイトゴーレムに踏みつけられてみじめに地面とキスする体験はなかなかできないって♪」
どうやら私の背中をナイトゴーレムが足で踏みつけているようだ。悔しいが生命エネルギーの解放を上げても踏みつけている足の力に勝てない。
少しずつナイトゴーレムが私の背中に載せてる足の負荷を上げてくる。このままではマズイ!
「ジール!」
イアランからの声の後、私の背中から負荷が消えた。イアランから援護があったようだ。
私は急いで距離を取る。
「運がいいって。でもね、解決にはならないって」
このバス自体は大したことはない。だが、そのバックにあるオジオンの強さの断片でこれだとするなら、このバスを倒せたとしても次が来る。こんな局地戦での接戦での勝利は何の効果もない。
「せめて白銀竜の覇気が使えたなら…」
自分の右手を見る。傷は回復はしているものの、まだ痛みが残っている気がする。
願っても白銀竜の覇気は出てこなかった。
最近、非力な自分に腹が立って仕方がない。
リッツの時もそう、モトラの時もそう、私は全く何もできていない。いや、余計なことばかりして…現に今は私よりイアランの方が戦えている。
私はたった一体のナイトゴーレムにすら苦戦している…情けない自分に嫌気がさした。
「もう…どうでも…」
私は言葉を言い終わる前に背中から消えた負荷の元になっていた足が私に振りかぶられた。
ナイトゴーレムの渾身の蹴りを頬に喰らい、私は建物に激突した。我ながら油断しすぎだと呆れてしまう。
「おいおい、ナイトゴーレム、顔はやめろって。美人に苦痛を与えて楽しんでいいのは私だけだって!」
バスの怒声にナイトゴーレムは頭を下げた。実に従順である。
そんな様子を見ながら私は何か策が無いかと考えるが、思いつかない。
悔しいが、魔法も効かない、拳も意味を成さない、武器もない。
せっかくティゴやイアランが私の治療のために尽くしてくれたのに…。
「おい、生きてるかって」
バスが私に近寄り頬をパシパシ叩く。虚ろな目で私は目の前の醜悪な生き物を見た。
「お、生きてる生きてるって。もらったゴーレムだから加減するのが大変なんだって」
バスはナイトゴーレムに指示を出し、私を肩に担がせた。固い感覚が私の胸を押しつぶす。
「待って!指輪をあげるからジールを放して!」
私とバスは声の主を同時に見た。
そこには指輪を高々と掲げ、バスを睨みつけるルージュがいた。
「おい、勝手に出ていくな!お前はまだ寝てろ!」
後ろから慌てた様子で追いかけてくるティゴが叫んだ。
だが、ティゴでも魔法攻撃主体なので、来たところでこの戦況が変わる気はしない。
それよりバスだ。
バスはニタァと笑みを浮かべ、跳ねるようにしてルージュに近付く。
「犬娘ぇ、いい子だって♪さあ、指輪をよこせって♪」
指輪を取ろうとするバスの手は空を切った。ルージュはすぐさまバスの背後に回り、首元に自分の爪を軽く当てる。
「あの兵隊を止めなさい!」
予想外の行動にバスは「ひぃぃ」と絞り出す声を出す。
「わ、分かったって。言う事を聞くから爪を立てるのをやめろって」
怯えた声でバスは「攻撃、止めだって!」と叫んだ。すると、ナイトゴーレムはネジの切れたぜんまい仕掛けのおもちゃのように止まった。
私を担いだナイトゴーレムはっ担いだまま止まっていたので、何とか腕をほどき、下りて脱出した。
「よくやった!その廃棄肉を拘束してやる!」
ティゴはマジックロープでバスを縛った。「ぐるぢい」と叫んでいたが、お構いなしだ。
思わぬ逆転劇に私は腰が抜けてへたり込んだ。
「よかった…」
気が抜けたのか、ルージュもその場にへたり込んでしまった。
そんな私たちに鬼気迫る声でイアランが叫んできた。
「おい!バスから離れろ!そいつはそんな拘束くらいじゃダメだ!そいつの特技は召喚じゃなく…」
「格闘だって」
バスは縛られた体を器用に回転させ、ルージュを蹴り飛ばした。ルージュは正面から建物に激突し、気を失った。
「残念だったって。イアラン、もっと早く教えてあげなきゃダメだって♪」
そう言うとバスはマジックロープを強引に引きちぎった。
「このくらいじゃあダメだって。ま、指輪からやって来たのはラッキーだったって♪」
バスはその巨体がウソのように素早い動きでルージュの元に移動した。
「バカがね、私の見た目で油断してくれるんだって。だから楽なんだって♪」
そんなバスの後ろからティゴがライトニングアローを放つ。しかし、バスは指で挟んで光の矢を投げ捨てた。
「うるさいガキだって。お前なんか魔法さえ何とかなればザコだって」
一瞬であった。
ティゴの真横に現れたバスは子供相手とは思えない容赦ない拳を顔面に叩き込んだ。ティゴの鼻から鼻血が噴き出た!
「詠唱無しで魔法が使えなくても、使う瞬間硬直するからスキだらけなんだって」
ティゴは地面に叩きつけられ、動かなくなった。それを見たイアランがこちらに来ようとしたが、ナイトゴーレムが行く手を阻んだ。
「さて、指輪はどこだって」
バスはまるで包装紙を取るかのようにルージュの服を引きちぎり脱がしながら指輪を探し出す。
「貧相な体だって。もう少し大人の色気があるなら、私の奴隷にしてやっても良かったって」
私はルージュには悪いと思いながら、全く動かないティゴの元に駆け寄った。
「行かせないって」
そんな私の前にナイトゴーレムが立ちふさがった。その後ろのティゴがかすかに痙攣していた。これは危険な状態である!
「チェックメイトだって。南部制圧部隊隊長のバス様に逆らったのが運の尽きだって」
ブフォブフォ笑うバス。実に耳障りである。そのふざけた笑いに私の苛立ちが頂点を迎えた。
「うっさい!どけろ!」
私の中で何かがキレた。
感情任せに放った拳がナイトゴーレムの胸に大きな風穴を開けた。
それを見ていたイアランとバスが「へ!?」と同時に声に出した。
「バス、私、今忙しいの。ティゴを助けたら相手いくらでもするから待ってなさい!」
私に睨まれたバスは「赤い目…」と言って固まっていた。
どうやら今の私の目は赤いらしい。まあ、どうでもいいけどね。
ティゴの元に駆け寄ると急いで回復魔法をかける。口から泡を吹いて青い顔をしていたティゴの顔に血の気が戻る。
「どうやら、普通のエルフじゃなさそうだって。これは本気でやらないと」
バスは最後までしゃべれなかった。
私の拳をまともに顔面に受け、ぶっ飛んだ。鼻血と涙を出しながら苦悶の表情で転げまわる姿は見ているだけで不快に思えた。
「ご、ゴーレムども、あのエルフを半殺しにしてやれって!」
バスの号令でイアランと戦闘してたナイトゴーレムが全て私に向かってきた。
だが、今回はまるで羽虫を叩き落すようにナイトゴーレムを潰していく。
「17,18、19…終わり♪」
たった一分。
全く面白みがない。そして自分の力に驚く。
「ねぇ、バス。あなたはこれより楽しませてくれるんだよね?」
自分では無表情のつもりだったが、バスから「え、笑顔がこわいですって」と気の抜けた声が聞こえた。
「これなのかな?アルファが言ってた『まあ、その見返りがないわけでもないからね』ってやつは?」
自分の手を見ると不思議な色のオーラが出ていた。
淡い黄色。
白銀竜の覇気の銀色でも、生命エネルギーの危険領域を表す桃色でもない。
だが、このオーラは…両方感じる。その上、何か別のものを感じる。不思議な感じのするオーラである。
「ジール後ろだ!」
イアランの声で振り向くとナイトゴーレムが増えていた。
今度は先ほどの倍の数がこちらに特攻してきていた。バスが召喚したのだろう。
「ねぇ、バス。これ、面白くなかったら…次はあなたが相手してね♪」
私はバスにとびきりの笑顔を見せた。その笑顔にバスは…顔が青ざめていた。カワイイ私の笑顔に対して実に失礼なヤツである。
「二分で終わるかな?三分かな?」
またもや羽虫を叩き落しように数体倒す。
するとナイトゴーレムは部隊を四つに分けて波状攻撃をしてきた。ヒットアンドアウェイで私の体力を削る作戦に出たようである。ゴーレムにしてはしっかりとした戦術である。
「堅実な戦い方だけど…残念ね」
私は五星の夜衣を身に付けた。何だか今までよりしっくりくる気がする。
「シュテル」
私の声で私の五星の夜衣から銀星が私を囲むように銀色の石が浮遊する。
「ライトニングアロー」
私は自分の周りに光の矢を数十本ほど作り出した。それを見てバスが笑い出す。
「バカだって。ミスリル製のナイトゴーレムに魔法は効かないって」
そんなバスを無視して私はシュテルを私の前に展開した。
「シュテルを通せばライトニングアローより強そうだから…ゴッドスピアかな?」
放たれたライトニングアローは展開されたシュテルの間をくぐると光が強く太くなった。
ゴッドスピアとなった光の槍が…ナイトゴーレムを串刺しにしていった。
「な、何で魔法が効いてるんだって!?」
慌てふためくバス。それを見て少し考えてみて、出た答えをそのまま言ってみた。
「固くして、太くしたから突き刺さったのかもね♪」
正直理由は分からない。でも、本能的にできそうだと思っただけなのだ。
「いや、それ、おかしいだろって!」
盛大なツッコミを入れるバス。だが、魔法は効いている。それが現実である。
次々に放たれるゴッドスピアに朽ち果てるナイトゴーレム。ちょっと退屈である。
「もう出せないの?いくらでも相手してあげるのに♪」
鼻歌混じりにゴッドスピアでナイトゴーレムは全滅してしまった。
「次、バスが相手してくれるんだよねぇ♪」
再び優しく微笑むのだが、バスはこともあろうか失禁していた。何かを言おうとしてるのだが私には「はぅ…はぅ…」しか聞こえない。
私は優しくバスの顎を撫でた。
「さて、私の質問に答えてくれるわよね?」
震えて動けないバスに私は「答えてくれるわよね?」と強めの口調で問い詰めた。すると、暴風にあおられて振り回されている雑草のように必死に首を何度も縦に振る。
「ありがとう、バス。人間素直が一番だよね?」
再び動かないバスに「ね!」と言うと再び首が取れそうなくらい首を縦に振る。
「じゃあ聞くね。どうしてオジオンはルージュの指輪をそこまで欲しがるの?」
目が泳ぐバス。これは知っている態度である。
「バス、私は拷問は好きじゃないのよ。でもね…」
私は耳元である一言をつぶやいた。
「そ、それだけはご勘弁をって!!言いますって!言いますからって!」
私は快く返事をしてくれたバスの背中を優しく撫でた。
「私、ウソは嫌いだからね」
一言釘をさすと「ウソつきません!」と上ずった声で答えてくれた。
「その…指輪にはですね、最強の獣人王を復活させる力があると言われてまして、獣人族の中の代表の三人が持っているんですって」
「最強の獣人王?」
私は話を聞きながらルージュの回復をしつつ、自分のローブをかけてあげた。その時意識を取り戻したルージュも起き上がりバスの話に耳を向けた。
「最強の獣人王は膨大な魔力を持っていて、その最強の獣人王から魔力供給させることで今の家畜エルフからの供給以上に強い魔力を扱えるのでは?と言われてるんですって」
エルフを家畜呼ばわりしているので「もう一度そういういい方したら覚悟してね!」と睨むと、再びバスの股から液体があふれ出ていた。
バスの話にルージュが「最強の獣人王様の言い伝えはリッツの牢で話した奴だと思う」と自信なさげにだが答えてくれた。どうやらバスはウソをついているわけでははなさそうである。
「じゃあ、オジオンは今いくつ指輪を持っているの?」
黙ってしまったバスに「忘れたのなら思い出させてあげようか?」と言うとあっさり「一つ」と答えてくれた。
「つまり、ここ、託児所に追い込んだ部族の指輪を一つ手にしただけか」
いつの間にか近寄って来たイアランが答えた。
そう言えばそんなこと言ってたっけ。ここに獣人族を追い込んでこの託児所を攻める口実にしたと。
「じゃあ、あと一つはどこにあるか分かってるの?」
首を横に振るバス。やはり獣人族を見つけるのはオジオンでも難しいらしい。
ここで私たちが取る道は二つ。
指輪を防衛しつつ、オジオンの指輪を奪還するか?まだ見つかってない獣人族と合流して指輪を守るか、である。
指輪をもって逃げることもできるが、それはオジオンとの戦いを先延ばしするだけで解決策にならない。
だが、どちらも簡単な作戦ではない。
「獣人族の保護をすべきだな」
意識を取り戻したティゴが意見を述べた。
「少なくとも指輪を持つ部族を二つ見つけたオジオンだ。あと一つも簡単に見つけるだろう。それなら指輪を奪われるのを阻止すべきだな」
ティゴの意見にイアランも「それしかないか」と同意した。
「さてと、方針も決まったことだし、このバス、どうするかな」
私が悩んでいるとバスが必死にイアランに呼びかけた。
「イアランって。一緒に宿屋のお姉さんの風呂を覗いた仲だろって。スカートめくりもいい思い出だろって。それに」
バスはイアランの拳を喰らい気を失った。そして、バツの悪そうな顔で私を見て来た。
「む、昔の話だからね!最近そんなことしてないからね!ホントだからね!それに、こいつの言ってた好きな子の横取りとかしてないし、付き合ってもないし、こいつの思い込みだからね!」
慌てるイアラン。そんな怪しい言い訳をしている相手と私は今朝、キスしようとしてたのかと思うと少し後悔してしまった。
「い、今はジールしか見てないからね!」
一瞬の沈黙。
しまったと慌てるイアラン。
「違う!覗いたとかじゃなくて、ジールに一途ってことだから!そういうことは絶対してないからね!」
この天才は何でこういうことについては子供のようなのか分からない。
まあ、現行犯ではない以上、今咎める気はないけどね。
「お前はガキか。同じゴッドキラーとして恥ずかしい」
吐き捨てるよに言うティゴ。だが、ここでティゴに「あなたも子供だ」とツッコむのはやめておこう。
「あの…指輪を持つ部族、私なら見つけられるかもしれません」
じゃれ合いに遠慮気味に割って入るルージュ。だが、今とても大事なことを言ってくれた。
「ホント!?」
私に気圧されてしまったのか、少し引き気味に「うん」とルージュが答える。
「じゃあ、ルージュと行ってこい、ジール」
さらっと押し付けるように言うティゴ。イアランが「俺が付いていく」と言うとティゴが顔面をグーで殴った。
「お前は『包魔石』を作らなきゃならないだろうが!何のために私が手伝ってると思ってんだ!」
納得した。どうしてティゴがここにいるのか。そう言えばリッツもイアランの包魔石の事を聞いていた。
「オジオンを追い詰めるために必要だと意気込んでいただろ!」
さらに蹴飛ばすティゴ。転げるイアラン。
「だって~、ジールとルージュだけだと…」
「バカかお前は?かすかな意識の中で見ていたが、ジールより私たちの方が戦力的に心配なほどだろうが!」
確かにバスのような強力な戦力が攻めてくればここが危険になる。それをどう防ぐかも課題だ。
「それについては対策はある。気にせず行っていいぞ、ジール」
自信を持って答えるティゴと対象に「行かないで…」と女々しい顔をするイアラン。だが、そんな顔されてもさっきのやり取りのお陰でこっちには未練は一欠けらもない。
ルージュはちょっと寂しそうにしてたのはなぜだろうか?
「じゃあ、ティゴ、任せるわ。指輪を持つ部族を守ってくるわ!」
私は準備を整えると、ルージュと共に指輪を持つ部族を探しに旅立つのだった。




