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モンスター託児所のジール  作者: ネジマキノ ショウコウ
第三章 竜人族継承問題編
32/80

三十一 それぞれの思惑

アルビオは私を月夜の川べりに連れてきた。穏やかな川の流れに月が写り静かな夜ひときわ目立つ存在となっていた。


可愛い見た目と裏腹に、目つきは先ほどから変わらず恐さがある。この感じは初めて召喚されたアルビオを見たとき以来である。


「邪神に何を言われたのだ?」


まさかそこを突っ込まれるとは思ってもみなかった。


だが、これは明らかに内容を知っている。それを私の口から聞きたいのだろう。


アルビオの前で下手な小細工は無駄なこと。言葉はどんなに飾れても、魂は誤魔化せない。


「困ったら、いつでも力を貸すって言われたんだけど…なぜなったのかは分からないんだよね」


理由は分からない。


ただ、師匠が関わっていることは分かっている。分かるのはそれだけで、私には全く心当たりがない。


師匠の弟子だから?


それなら最初からそうなんだし、出会った当初から力を貸すと言われそうである。


師匠との間を取り持ったから?


だとしたら、もっと早く言われていたはず。


変わったポイントがあるとしたら、全裸のベラが戦闘に乱入して師匠を部屋に連れて行った後である。


二人は何を話したのだろう?そして、師匠はなぜ今も部屋から出てこないのか?


「その言葉の意味、理解…できておろうな?お前は少しずつ近づいておることに」


「近づく?何に?」


私の言葉でアルビオは急に頭を抱えた。何か変な返答をしただろうか?


「愚か者。お前は少しずつ、界を統べる者に近付いておるのだ。…いや、それ以上になりつつある」


そう言えば天界の神も似たようなことを言ってた気がする。でも、そんなもの私にあるわけがない。普通に考えてもエルフが神とかまるで絵本の中の物語だ。


「それ、天界の神にも言われたけど、私は全くそんな気は無いし、別に興味も無いし。私は普通に託児所で平和な日々を送りたいだけ。そういう野心はないんだから気にしなくても大丈夫よ」


本当に心配症である。そんなところも含みでアルビオのことが好きなんだけどね。


「お前がそうであっても、そう思わぬ者の方が多いことは知っておく必要があるな。それだけの力、過去どれだけの者が求めて叶わなかったか。その力を持つ者を無欲と言われて納得する者がいると思うか?」


そう言われても、やはり実感がわかない。


せめて、毎日美味しいスイーツ食べれる力とかなら実感がわくかもしれないが、そうでは無いのでどう答えたらいいかも分からない。


「ごめん、やっぱりピンと来ないから答えようないかな。今はヘキサが悲しまないようにしなきゃって事しか考えられなくて」


私の答えにアルビオは呆れた顔になった。先ほどの恐い目はいつもの穏やかな目に戻った。


「そういうお前だから、皆惹かれるのかもしれぬな」


どうやらアルビオは私の周りに力が集まることにより、余計な問題が起きることを気にしているようだ。


まあ、言われてみたらとんでもない力がここに集まってきてるのは確かだ。


「ありがとう、アルビオ。私はそういうこと疎いから、ちゃんと言ってもらえるのは助かるわ」


素直に喜んだ。


力がどうこうはよく分からないけど、私の事を気にかけてくれる人は増えている。


これは本当にありがたいし、それを裏切らないように気をつけなくてはダメだと自分の戒めにもなる。


「それと…だ」


今度は先ほどの堂々とした感じが消えて、何だか恥ずかしそうにしだした。何なのだろうか?


「あまり…その…邪神と…だ、親しくするのは…何というか…面白くないと言うか…」


どんどん声が小さくなっていく。アルビオが何を言いたいのか全く分からない。


まあ、もじもじしてる姿は可愛いので見てて癒されるのでこちらは嬉しい限りなのだが。


「…我とも…その…もう少し、あそこまでとは…言わぬのだが…」


そんなに言いにくい事って何だろう?私は色々な可能性を考えてみる。


もしかして、アルビオ、ベラと私の関係に妬いてるのだろうか!?


そうならば、こちらとしても色々悩んでしまうが、アルビオもきっと経験したことのない気持ちを持て余しているのかも知れない。


どうしようと悩んでいると、ふとあることを思い出し、私はアルビオに近寄る。


「大丈夫。私もアルビオ様と仲良くしたいと思ってるよ」


私はアルビオを優しく抱きしめた。


ウィン様が自分の感謝をこうやって表していたのを思い出したのでやってみた。


「ど、どうした、んだ、急に」


いきなりのハグで驚いた感じではあるが、アルビオの返事は嬉しそうではなかった。これは失敗したのだろうか?


私は静かにアルビオから離れた。


「あ、ごめん。もしかして気に障ったかな?だとしたら謝るわ。ごめんなさい、アルビオ様」


やり過ぎたんでは?と反省をしていると、アルビオはまた、もじもじし始めた。


「いや、その、我もな…お前が憎くて言ってるわけではなくてな、一応神として…何と言うか、そう、忠告、忠告をしたくてな。その、我は神でもあるが、同僚でもあるしな、その、同僚が何かあっては仕事に…そう、仕事に支障が出るからであってな…」


テレてるのか、困っているのか私にはちょっと分からない。


というか本人が一番どうしたらいいのか分かってないのだろうが、気持ちを持て余しているアルビオはまさに「思春期」であった。


邪神様思春期ヴァージョンだからこうなるのかな?もし、これが幼児期ヴァージョンとかなら気持ちに素直になって感情を表現するのだろうか?


いや、その前に大問題である。


このパターン、昔、師匠たちと旅をしているときに見たことがある。


真昼間から男女が言い合っていた。女性が自分以外に好きな人がいるんじゃないか?と詰め寄っていた。


そのとき、男性はなそっと女性を抱きしめて「僕には君しかいないよ」と言っていた。


その後、女性は男性を抱きしめて仲直りしていた。


でも、今にして思えば本当に男性の言った言葉が本当か怪しいのではあるが…。


そう、その男性の立場に私は今立っている。


そして、誤解しているアルビオに私はハグをした。


いや、何で私は浮気を誤魔化してる立場になっているんだ!?


しかも、相手はどちらも神様。


これは世界をも巻き込みそうな一大事ではなかろうか?


この立場は、きっと誰にも理解されないだろう。


「と、とにかくだ、邪神には気を付けろということだ。その…たまになら…抱きしめても…いい。と、と、特別に許す!」


どうやらアルビオも自分の気持ちに少し整理がついたようである。まあ、ハグも喜んでくれて良かったということにしておこう。


だが、私は何となく浮気する男性の言い訳する気持ちが理解できるという不必要な体験をしただけかもしれない。





「じぃぃぃぃるぅぅぅぅぅぅ!!」


会議していた居間に戻るとイアランが大泣きしていた。泣きながら私に抱き着き必死に聞いてきた。


「ジールって俺のことキライなの!?」


…その展開に似たこと、さっきあった気がします。今度はこっち…ってどうしてなんだ?


「リーンが酷い事言うんだ!ジールが俺のこと好きじゃないって!!」


普段あんなに冷静沈着なのに、私絡みだとまるで子供である。こういう時はなだめる為にまずは原因を取り除くのが大事である。これは託児所で身に付けたスキルである。


「イアランのこと嫌いじゃないよ」


私の一言でイアランは顔に明るさを取り戻した。


「イアランは大事な『仲間』だと思ってるから、ね」


イアランの顔をちゃんと見て私は答えた。


すると、イアランは先ほどの明るさを一瞬で消し、その場にへたり込んでしまいブツブツ何か言い出した。


「良かったな、大切な『仲間』のイアラン」


鼻で笑いながらリーンはイアランを見た。


「どうせ…俺なんか…」


廃人と化してるイアラン。


おかしい。


こういう時、ちゃんと自分の思いを伝えたら子供は落ち着いてくれるのだが…。


「リーン、イアランはすぐいじけるからからかわないでよ」


どういうやり取りがされたかは分からないが、どうやら少し仲良く?なったようなので少し安心した。


と思った私は甘かったかもしれない。


「そろそろ茶番は終わりにしとけよ、リーン。ここを囮に使うのはやめてくれないか?」


不機嫌を全面に出している師範が竜人族の一人をリーンの前に突き出した。


「リーン様、すみません…。この悪魔に明日の内容の確認をしていたところを聞かれまして…」


そんな話をされてもリーンは「そうか」と一言言うだけで特段慌てる様子はなかった。


突き出された竜人族を押しのけ、師範はリーンの前のテーブルに座る。


師範は椅子に座っているリーンを見下ろした。


「お前ら、リグジャを暗殺する気だろ?そのためにここに部隊を引き連れてきた。そうだろ?囮用の部隊をな」


師範はそれだけ言うとテーブルから降りて外に通じるドアを開けた。


「さあ、帰ってくれ。ここを戦場にするわけにはいかないんでな。何より、ヘキサをエサにしてるところが気に入らないな」


一通り聞いたリーンは無表情で師範の前にたった。


「私たちには後がない。私はどう言われようが目的を達成させる。それが、非難される手段であったとしてもだ」


今度は少し気持ちを落ち着かせることに成功したイアランが椅子に戻って師範の話を引き継いだ。


「だから、ここでしばらく刺客を迎撃して籠城のように見せら必要がある。で、相手が本腰入れてきた時に相手の所へ奇襲をかける気なんだろ?」


全く動揺を見せないリーンに対して、バスタはわずかだがリーンを何度かチラチラ見ていた。


それはバスタの気持ちが表れていた。


どうやら予定していた作戦が師範によって狂わされてしまったのだろう。


「どうする?ここから出て行かないなら実力行使になるが…いいか?」


師範と少し目を合わせたリーンはバスタとブラスの方に向き直った。


「行くぞ、ブラス、バスタ」


意外にもリーンは素直に出て行った。それを追うようにブラスとバスタは未練があるかのように、こちらを見ながらリーンの後を追った。


「まあ、この施設から遠くには行かないだろうな。ここにヘキサがいる以上」


スッキリしないと言わんばかりに師範はドアを勢い良く閉めた。


「リーン姉は?」


私の後ろにいつの間にかヘキサが立っていた。この質問からすると、先ほどのやり取りは聞いてなかったようである。


「出て行ってもらった。ここで面倒起こさせるわけにはいかないからな」


少しヘキサに気を遣ってるものの、師範は不機嫌さが分かるような声で答えた。


「ねえ、私も出て行った方がいい?私いたらみんなもまた危険な目に合う?」


どうやらヘキサは自分のせいで今回のことが起きているのは理解しているようである。


幼いながらも責任を感じているのであろう。泣きそうなのを我慢しているのが分かるくらい目が潤んでいる。


「ヘキサはここにいていいんだよ。私たちがいるんだもん。ヘキサはちゃんと守るからね」


私はヘキサを抱きしめて、頭を優しくなでた。


ヘキサは我慢の限界が来たのか泣き出した。きっと無理をしていたのだろう。私はヘキサが泣き止むまでずっと抱きしめていた。


「だが、敵はここに来るよね?どうする、ジール」


そうである。リーンたちがここを出て行っても次の長が決まるまで敵はヘキサを殺しに来るだろう。


「ねえ、まずはリグシャに会いに行かない?」


私の提案に師範とイアランが「また無茶を言う」と言わんばかりの表情を見せた。


「だって、相手のこと、全くわからないし、もしかしたら話すことで何か道が見えるかも知れないし」


「あのな、会うってどうやってだ?少なくとも相手はビゴル達を捕まえた時点でこちらを敵と認識してる可能性は高いんだぞ?それなのに平和的に会ってくれると思ってるのか?」


師範の言うことは最もである。


誰かが竜人族と知り合いでもなければ、住んでるところも知らない。早速手詰まりである。


「ヘキサ、竜人族がどこに住んでるか分かる?」


とりあえず可能性があるところに聞いてみた。


「雪の降る寒いところだよ」


まあ、予測してた通りではある。世界地図や地名はまだヘキサが学んでないのは日頃の言動で察することはできた。


だが、ヒントは出て来た。


寒い地域は多いが、雪の降る地域は限られる。まあ、それでも範囲は広いのでもっと絞る情報が欲しいところだが、ヘキサからはこれ以上は無理だろう。


「イアランは何か知らないの?」


「そうだな。時間をくれるならエアマスに頼むところだが、そんなに時間は無いか。寒い地域はこの世界の四分の一を占めるし、簡単にバレないように結界は張っているだろうし」


珍しくイアランが頭を抱えている。それだけで難易度が高いことが分かる。


リーン達に聞きたいが、そうなるとリーン達に協力を要請されそうだし、まだ何か隠していそうなリーンに頼み事をするのは、その後はどう利用されるかによってはヘキサに危険が及ぶ。それは避けたい。


「竜人族の場所のいそうな所は知っている」


まさかの声は師匠であった。ゆっくりと師匠は居間に入ってきて椅子に座る。


少しふらついていており、やっと起き上がったという感じである。…首に赤い斑点があるが大丈夫だろうか?何かの病気なのだろうか?


「えっと、ゼフィ、ツッコんでいいのかな?」


イアランは苦笑いをしている。そこに師範が「もう言うな」と一言でイアランは「はいはい」で何か納得しているようであった。


私だけ取り残された感じである。


師匠は咳ばらいをすると説明を始めた。


「昔研究したことなので今もそうかは分からないが、竜人族が人間に見つからずに住める場所は二か所しかない」


師匠は魔法で世界地図をテーブルに投影し、まずは一か所目を指さした。


「一つはオジオンの真北にあるミオン山脈の八合目のトアーク高原」


そして次に指を動かす。


「もう一つはオジオンの北西にある方位磁針が効かない森、スカールの森。」


私はちょっとやめようかな?と思ってしまった。


ミオン山脈は神の住む山と言われているカール山がある所である。


人はまず登ることどころか、切り立った山肌ゆえに上に行けない。登山家がチャレンジするものの、登っている途中で鳥の魔物のエサとなる。


未だかつて誰も登れてない山が連なる山脈。


遠くから見ると山頂付近にまっ平なところが見えるので、そこをトアーク高原と命名しているだけで、そこに本当に高原があるかは誰も知らないのである。


一方、スカールの森は人食い森と言われている。


一度入ると二度と出てこれないのがスカールの森。


方位磁針が効かないのと、年中霧がかかっており、太陽の位置が分かりにくい。何よりその霧で一メートル先が霞んでいる。


そこで自由に動けるのは視覚以外が発達した生き物や、帰巣本能を訓練で強化された動物くらいである。


確かに竜人族は文献だと人間より感覚が鋭く、多少の悪天候でも普通に行動できるし、生命力が強いので数日飲まず食わずでも戦える。


人間には無理な環境と言える二つだが、竜人族が隠れるにはもってこいの場所である。


「二手に分かれるか?それは避けたいとこだけどな」


師範が言うのは最もである。


私たちの目的は竜人族を見つけるだけではない。リグシャと話すことである。今の状況から言えば手厚く出迎えてくれてもてなしてくれるなんてありえない。


戦闘が避けられない以上、戦力の分散は避けたい。


それに、ミオン山脈とスカールの森はすぐに行き来できる場所でない以上、助けに行きたくとも行けないのである。


「そうだ!ヘキサ!ヘキサの住んでいたところ、外には何が見えたの?」


わずかな可能性をヘキサに賭けてみた。地名は分からなくとも、見ていた景色は分かるはずである。


「うんとね、湖と森。森の端まで行くのはダメって言われていたよ」


ということは、スカールの森ということだろうか?


「どうやらミオン山脈みたいだね」


イアランが私の考えを否定する意見を出してきた。しかし、今のヘキサの言葉でどうしてミオン山脈なのだろうか?森ならスカールの森と思うのだが。


「ヘキサ、行こうと思えば森の端に行けたのかい?」


イアランがヘキサに質問する。


「行けるよ。だって森の端、家から見えたもん」


それを聞いたイアランが説明を始める。


「ヘキサが森の端が見えるってことは、仮にスカールの森なら相当大きな建物でない限り森の端は見えないし、そんな大きな建物なら森から離れたところからヘキサの家が見えるはずだ。なのにそんな話は聞いたことが無いし、そんな簡単に竜人族の住処が見つかってるなら、竜人族の文献はもっとあるはずだ」


イアランが地図でミオン山脈を指さす。


「ミオン山脈のトアーク高原だと面積は小さい。ここに森があるなら、そんなに大きな建物でなくても森の端は見える。それに、ヘキサが行けそうだから禁止されてると考えればこのくらいの広さじゃないかな?」


確かにここに大きな建物があったとしても、ここを上から見える場所は無い。ゆえに森より少し高い程度の建物はあっても人には分からない。


「ただ、どうやって行くか?だな。飛翔魔法で行くと魔力が無くなって真っ逆さま。転送魔法で竜人族は移動しているだろうけど、俺たちはそこに転送しようとしても結界で入れないだろうからね」


再び手詰まりである。


こうなるとやはりリーンにに頼るしかないのだろうか?


「一体何の会議してるんだ?ほどほどにして寝なきゃ戦う時全力

出せないぞ」


風呂上りなのか、ほのかにシトラスの香りがするウィン様が笑顔で入って来た。


「それが、ちょっと…」


私はウィン様に事情を話した。


「そうか。じゃあ明日行こうか」


私の説明が悪かったのだろうか?まるでウィン様には私たちの悩みが通じてないようであった。


「ポジティブなのは良いと思いますが、ウィン様、そこに行くのにどうしようかと悩んでいるんですよ」


改めて要約して説明をし直す。だが、ウィン様は何を言ってるの?みたいにきょとんとしていた。


「だから、明日行けばいいんじゃないのか?私はそこに行けるからな」


全員がウィン様の言葉でウィン様の顔を見た。


「行けるって…どうして行けるんですか!?」


私の質問に相変わらず清々しい笑顔を私に向けてきた。


「昔、地上に来た竜人族の戦士と意気投合して招かれたことがあってな。その時、竜人の大将に剣を習ったことがあったんだよ。それ以来、客人として入れるようにしてもらったんだ。まあ、今でも有効かどうかは分からないが、大丈夫とは思う」


この人は本当にスゴイ人である。まあ、剣術修行で行ったというところはウィン様らしいとも思えた。


それと同時に、昼間、ビゴルと互角に戦えたのは相手の剣術に見覚えがあったからかもしれない。


「それってかなり昔の話だと思うけど…大丈夫?」


イアランが少し意地悪そうに聞いた。失礼な奴!と私が睨むとイアランがすぐにしょげた。


「竜人族は約束を破ることはしない。少なくとも剣を交えた私はそう思う」


イアランの意地悪な質問にも変わらずの笑顔で答えるウィン様。ホント、イアランもウィン様の良いところを少し見習ってほしい。


「じゃあ、行くメンバー決めないとね。ここもヘキサがいるから戦力を残しておきたいし」


悩む私たちにまたもやウィン様が提案をした。


「ティゴに頼むのはどうだろうか?彼女は優秀だし素直でいい子だ。任せられると思う」


ここにいた誰もが「素直でいい子ではない」と思ったであろう。でも、ウィン様にとってはそう思えるらしい。


まあ、ウィン様にハグされて少し心を開いてくれてたしね。


「ティゴには『困ったことがあったら助けなくもない、事と次第によってはだがな』と言ってたからな」


ウィン様、事と次第によってをポジティブに考え過ぎでは?きっと、またとんでもない…いや、待てよ、今なら竜人族を研究し放題だよね、ここ。


「それ、アリですね!」


私もウィン様賛同する。


「では明日行ってみよう。懐かしいから私も少しドキドキしているよ」


これで、道は見えた。後はどうなるか、行ってみての出たとこ勝負である。


私は希望を胸に、食事と風呂を済ませ寝床に入った。


ただ、この時、この作戦が思いもよらぬ方向に行くことをこの時は誰も予測できていなかったのであった。


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