十二 ピンチの中での希望
驚いた。ホントに次の日の夜、またもや正面から客人のようにやってきたイアラン。
師範には話していたが、こんなに馬鹿正直に来るなんて予想外であった。
仮にもゴッドキラーが一人いるここへ正面から来るのは愚策とも言える。
だが、前回は師匠と師範はイアランの魔物に足止めされた。
その相手は、私がウィン様との戦いで苦戦した鎧のスライムのようなスライムが師範の相手を、ゴーレムが師匠の相手をしていたようだ。
魔法に耐性があるなら、時間稼ぎのできる相手と言えよう。策士としてなかなかのものである。
そして、私にウィン様を当て、ブラービにクアンタを狙わせる。あれはヘキサがいなければアウトだった。目的達成の布石の打ち方は侮れない。
その策士が正面から来るのは今度こそワナがあると思っていい。ある意味その辺はイアランのこと認めている。
「昨日のプロポーズはフラれたけど、頑張って来たよ♪」
迎え打つのは師範と私だが、師範はじーっと私を見る。
「後でちょっと聞かせてくれないか、ジール♪」
バカ!黙ってたのに!余計なこと言うな!師範がニヤニヤしてるじゃない!
「さすがの俺でも君たち二人を相手に勝ち目はないかなぁ。けど、これくらい勝たなきゃ夢になんか届かないからね」
早速イアランは召喚の魔法陣を描く。光と共に現れたのはスライムが二匹。前回のと同じ、いや、そう簡単なものではないと気を引き締める。
「前回より物理攻撃の耐性を増やしている。君たち二人ならこれで時間は稼げる」
スライムが私たちに襲いかかる!私はノイエ・クレイドを発動させる!
「この前より早い!」
素早く跳躍したスライムは帯状になり、私と師範に絡みついていく!
「呆れたもんだ。ゴッドキラーに同じ手で来るのはナメすぎだろ?」
師範は自らの生命エネルギーを収束させ、刃物にしてスライムを切った!
「スパッと切れるブレード!」
師範、名前のセンス、何とかならないのかな…。でもスライムに効いている!
私も負けじと拳を燃やす!
「フランメ・フィスト!」
スライムは拳の熱により焼き切れていく!
「ジール…今のは…」
驚く師範。ちょっと気持ちいい♪
「いや、聞くのは後にしようか。まずはアイツを倒してからだ」
スライムを瞬殺してイアランの前に私たちは立ち塞がる。
「あなたが今回、これで終わりってことはないんでしょ?」
その時である!建物の方から声がした!クアンタの叫び声だ!
「どういうこと!?」
私は慌てて走り出す!しかし、足が地面から離れない!
「これは!」
シンプルだが地面にもう一匹スライムがいたのである!すごく薄くなって、こっそり私たちの足元に忍び寄っていたのだ。
「これくらい!」
私達はまたスライムを瞬殺したが、また別のスライムに足を取られる!
「後少しで終わるから、ここにいて欲しいな♪」
クアンタの声が聞こえた。
「うわぁぁぁー!」
おかしい!クアンタの近くにヘキサがいるのに、クアンタの声だけでヘキサの声は全くしない!
「ヘキサがやられたってこと!?」
いや、それならイアランが時間稼ぎするのはおかしい。ヘキサを倒すくらいの強者なら、クアンタはもう殺されてるはず。
なのにイアランはまだ時間を稼ごうとスライムを召喚してくる。
「くそっ!キリがない!」
倒しても倒しても出てくるスライム。これはシンプルだが効果は高い。
私達は一対一の戦闘では強さを存分に発揮するが、数の消耗戦となると、それを一度に倒す術がない。
「俺のスライムをナメすぎでしょ?数の力はバカにできないってことを教えてあげようか」
このままではクアンタの命を狙っている何かからクアンタを守れない!
私がクアンタの元に行けたらなら!
今度は魔法でも攻撃してみるものの、魔法耐性があるゆえに一掃することはできない!
油断したわけではないが、数ゆえにたまに攻撃を食うことが出てきた。
というより、スライムの数が尋常じゃない!これ、もしかして百以上いるのではないだろうか?
目の前のスライムに気を取られて、辺りがスライムだらけになっているのに気が付かなかった!
「ジール!このままではヤバい!お前をクアンタの所へ送る!エネルギーの開放を上げろ!」
私は10%開放をする!それを見た師範がスライムをなぎ倒し私の側に来た。
「腹に力入れろ!」
…まさか!?
と思った瞬間、師範の拳が私の腹部をとらえる!私はクアンタのいる部屋へ吹き飛ばされた!
「…っかは!…師範、確かにそれが早いけど…」
建物にめり込んだ私は体制を立て直し、急いでクアンタの元に駆け寄った。すると、クアンタにハエのような虫が取り付いている!
ヘキサはその横で…痺れているようだ!
「そういうことか…相変わらず姑息なマネするわね」
私はその虫を蹴り飛ばす!
「大丈夫!クアンタ!」
「俺よりヘキサが刺された!助けてやってくれ!」
私は急ぎヘキサの側に駆け寄り解毒の魔法をかける。どうやら毒は大したことない…というより竜人だから大丈夫だったのかもしれない。
これは私の油断だ。ヘキサが近くにいればクアンタを守れると思った私の甘さからの失態である。
「これで終わるわけないよね…」
と私がヘキサの解毒をしてると後ろから衝撃を受けた!
「なっ!?」
あからさまに何かに打撃を受けた!これは思ったより効いている。少し頭がクラクラした。
「今度は…ん!?」
奇妙である。
誰もいない。
確かに打撃は受けた。
「これは一体…」
次にクアンタが吹っ飛ばされる!壁に激突して口から血を吐いている!
「何!?何なの!?」
敵はいる。だが見えない。いや、見えている?それとも何かを見落としている!?
ヘキサの解毒を終わらせて、クアンタの元に駆け寄る。
だが、側面からの打撃でクアンタの元に行く前に横っ飛びに私は飛んでいく。
「ぐふっ!」
壁に激突して私は思わぬダメージを受けた。
やはりどこにも誰もいない。
だが、狙撃とか、遠距離からの魔法ではない。近距離打撃の感覚。一体どういうことなのだろうか?
「おい、ジール!俺の回復はいいから…敵の正体を暴け!このままだと全滅だ!」
クアンタの言う通りである。敵が分かれば攻撃の方法も考えられるが、見えない敵にはどうしようもない。まずは敵を見つけなければならない。
「バカジール!よく聞け!少なくとも相手は歩いていない!足元の破片は全く動いていない!」
確かにこれだけ建物が壊れると床には小石や木材の破片が飛び散っている。それが動かないということは透明とかではない。
しかも、地面に足を付けてないで移動していることになる。
となると…上!
「やっぱりそういうことね!」
天井に張り付いてる爬虫類のような生き物。リザードマンのように見えるが、長い舌を出している。これで打撃を繰り出していたようだ。
「文字通りナメられたものね」
ネタが分かれば大したことはない。私は飛び上がり爬虫類の魔物をぶん殴りにかかる!
「甘いなぁお前」
相手の言葉で「まさか!」と思うものの、もう止まらない!
私の拳は爬虫類の魔物に届く前に何かに引っかかり失速し止まってしまう。
「く、蜘蛛の巣!?」
爬虫類の魔物はニヤリと笑う。
「終わりだ、小娘」
まさに蜘蛛の巣に絡まった獲物のように拳が抜けない!しかも、もがけばもがくほど糸が絡まり、身動きが取れなくなる!
ただ、気になるのはこの糸、この爬虫類の魔物が出してるものではない!
私は周囲を見回す。
やはりいた!蜘蛛の魔物!つまり…コイツが私を捕食するというとだろう。
「そのマジックスパイダーは糸に魔力を込めて巣を作る。ゆえに簡単に切れない糸で相手を絡めて捕食するというわけだ」
通りで、先ほどから拳に炎の魔法をまとわせようとしても消えるわけだ…。
「さて、私の任務であるハーフデビルを殺すとするか」
今度こそヤバい!蜘蛛は私に近づいてきてるし、爬虫類の魔物は壁伝いにクアンタに近づく。
クアンタはダメージで動けなくなっている!
だが、こういう時、今回もまさに救世主となってくれた。
爬虫類の魔物は思わぬ飛び蹴りをまともに食い、壁に叩きつけられる!
「クアンタに手を出すなー!」
飛び蹴りを決めて鼻息荒くヘキサがクアンタの前に立ち塞がった。ホント頼りになる可愛い子♪
だが、私は楽観視できない。この蜘蛛の糸を何とかしなくてはならない。
そういえばさっき師範が生命エネルギーを剣のようにしていたっけ。
「確かこんな感じで…」
師範ほど長くないが、できた!早速試しに糸を切ってみる。
切れた!
魔力が糸に込められたとしても、生命エネルギーには関係無いのだ!
「流石に殴りたくないから…足技『旋風』」
蜘蛛を文字通り一蹴する。
「これで終わり…だよね?」
師範のことも気になるが、とりあえずクアンタの回復である。
その前にヘキサに向かい親指を立ててウインクした。それを同じように返すヘキサ。やっぱり可愛い♪
クアンタのダメージは想像以上であった。
回復魔法ですぐに回復されないほどにダメージを受けている。ノイエ・クレイドを発動している私ですら吹っ飛ばされたのだから、当然と言えば当然である。
「あーあ、マジックスパイダーもアサシンリザードもやられたらか。まあ、相対範囲内かな」
あり得ない。今、師範と戦っているはず!なのになぜ、この声がするのだろうか!?
「イアラン、どうしてここに来れるの?」
師範がイアランを逃すはずはない。だが、ここにいるイアランは…。
「君に興味があったから色々調べたんだ。どうすればそんなに強くなるか…ってね」
イアランが私の視界から消えた!
かと思えばヘキサが壁に激突する!
「ヘキサ!」
やったのは…イアランである!イアランの蹴りがヘキサを壁に吹き飛ばしたのである!
「ちょっと!女の子蹴るなんて最低じゃない!」
だが、イアランは私の言葉を聞くでもなく、体の調子を確認してするように自分の体を見回している。
「なかなか使えるな、これは。これから強化する奴らにはこれも装備させるかな」
私はクアンタの回復を終えるとイアラン目掛けて走り出し、拳を構えた!
「拳技 『大筒』!」
見事にイアランを拳で撃ち抜…けない!いや、これは…!
「スライムの鎧の応用さ。俺をスライムで作ったんだ。当然強化している。まあ、俺本体の魔力無しだとこの強さ出さないけどね」
つまり、スライム分身ってとこか。ホント、スライム好きだなぁ…と呆れてる場合じゃ無い。
少なくともヘキサへの攻撃を見た限り、弱いわけでは無い。
問題は気配が目の前の一体ではないこと。少なくとも他に三体はこの部屋にいる!
「後欠点は常に魔力を注がれてるから魔力の感知には引っかかるとこだね。今クローンスライムはここに四体いるから気をつけてね♪」
物理も魔法も効きにくい、しかも物理攻撃力が高い敵四体はちょっとキツイかもしれない。
仮にヘキサが加わっても数で負ける。もし、互角の戦いをすれば、その時点でクアンタを守れない。
見事に勝つ道を作って挑んでくる。ホント、敵ながら感心する。
「ジール、君を殺したくはない。頼むからクアンタを引き渡してくれないか?」
こんなことを言うってことは、自信があるのだろう。
少なくとも、物理や魔法が効きにくい場合、その耐性を圧倒的に上回る攻撃を繰り出すしか無い。
となると…20%開放しかない!
「それを『はい、わかりました』って言うと思ってるの?少しは相手のことを考えろって言ったでしょ!」
あまりあのハイテンションをイアランに見せたく無い気もするが、そんなこと言ってられない!クアンタを守るためにはやるしか無い!
私は大きく呼吸をする。生命エネルギーが少しピンク色になる。前回15%を克服しただけあって、思ったより生命エネルギーの色は薄い!
「行くよ!イアラン!」
一体目は一蹴りで原型が吹き飛んだ!20%、もしかして10%の倍どころではないかもしれない!それ以上に体が軽い感じがする!
両手に生命エネルギーの刃を作り次のイアランもどきを切り刻んでいく!
蹴り倒した一体目は復活しない!つまりこれで倒せるということだ!
「おいおい、そんなの反則だろ!どこまで強くなるんだよ!」
イアランの悲鳴のような声を無視して二体目も撃破!どうやらイアランはノイエ・クレイドをナメていたようだ。
しかし、三体目の時、体に違和感を覚えた。おかしい、体が重い…。
「な、何なの…お、おかしい…」
重い体を無理やり動かし三体目を撃破する!だが、思わず膝をついた…。
「何なの!?…これ…」
「やっと効いてきたか。さすが想定より時間がかかったよ」
…毒?いや、それなら解毒魔法で…解毒できない!何なの、これは…。先ほどの虫の者とは違う!
「一般的な解毒魔法では解毒できないだろ?」
見るとヘキサやクアンタも苦しそうである。この部屋に何かを仕掛けているようだ…。
「このスライムは体から特別なガスを発生させている。吸うと痺れるガスさ。だから俺の近くでの召喚はできないんだよね」
そうか!私のノイエ・クレイドの時の深い呼吸、解放%を上げるときの深い呼吸、私は誰よりもこのガスを吸ったということになる。
「君はそのオーラを発動するとき、大きく呼吸をするのを見て今回の作戦を思いついた。君を傷つけずに勝利するために最善の策だと思ってね」
生き残ったクローンスライムはゆっくりとクアンタの所へ向かう。
もう体が動かない…かと言ってノイエ・クレイドの解放を更にしても呼吸をしなくてはならない。
何か…何か手はないのか!
必死に解毒をしてみるが、やはり変わらない。魔力だけ無駄に消費をする…。
動いてよ!体のどこでもいいから少しは動いてよ!
当然、どこも動くわけはな…いや、まさか、これ、何!?
師匠がくれたローブに付いている銀の三角の装飾品が五つ浮いている!
「何これ…」
冷静になれ。これをくれたとき、師匠はこの装飾品について何か言おうとしていた。それが、浮いている。今私は解毒の魔法を使っていた…。
魔力!?
試しに魔力を装飾に込め、動くように念じる。するとスーッと横に動く。
次にファイヤーボールを放つイメージで魔力を送り込む。すると、装飾は赤く輝きだす。
「何となく…分かってきた…」
これは魔力で動きや属性を与えられるもののようだ。つまり…炎の属性を与えて、魔力をありったけ込めて動かせば!
「師匠…ちゃんと説明…してよね…」
装飾は弾丸のようにクローンスライムを貫く!しかも貫いたままターンをして更に貫く!
「これは…魔操石!まだこんなものを持っていたのか!」
貫通したスライムの傷は熱で溶けていて再生が遅れている!これなら体が動かなくても意識があれば攻撃ができる!
「ジールの魔力が高い分、これは厄介だな…」
先ほどと比べ、クローンスライムがドロドロになっている。かなりのダメージを与えてるようだ!
「…シュテル…それがその、装飾の名前…でいいかな」
この装飾の名前が分からないので勝手に名付けることにした。説明しない師匠が悪いということにしておこう。
シュテルは何度もクローンスライムを貫いて原型を保てなくなるくらいにまで私が止めるまで攻撃を続けた。
「まあ、ここぞという時に役立った…から…師匠に…感謝かな…」
この痺れはどのくらい持続するのかも分からない。
ただ、私を傷つけたく無いと言うことなら一時間程度だろうか?
この痺れを何とか浄化しなければ、またイアランが別の魔物を召喚してきた時対応できない。ここはまず、痺れの軽減方法を探さなくてはならない。
そんな時間、当然イアランは私に与えてくれない。今度はスケルトンナイトが召喚される。一体どれだけ召喚できるのか見当つかない。
敵ながら優秀な召喚士だと思う。
あの程度、普通なら瞬殺だが、今は動けない。再びシュテルを起動させ、迎撃に向かわせる!
だが、今度はゴーレムが現れ、シュテルの攻撃をその身で受け止める。
確かにシュテルは素晴らしい武器だが、複数同時に攻撃すれば威力が落ちる。ゆえに倒せない可能性もでてくる。
「本体を…何とかしたいけど…師範、苦戦してそうだしなぁ…」
それでも諦めずにシュテルで攻撃を続ける!
だが、倒してしも倒した分だけまた敵が現れる。ここまで用意されてはもう、打つ手が無い。
誰か助けてほしい。クアンタを助けて欲しい。私はもう願うしかできない!
「よく頑張ったな、ジール!」
声の方を見る!戦場に一人の影。その影は大きな剣を持ち、敵をなぎ払う!
「私が来たからもう、大丈夫だ!」
この声は…私は泣いてしまった。嬉しさと緊張の糸が切れて泣いてしまった。
そう、こんな大きな剣を二本、自在に操る人は一人しかいない!
「ウィン様!」
何とか体を起こす…が、ウィン様に違和感が…。
「ウィン…様?その姿…は?」
確かにブラービの姿では無い。
ブロンドのキレイな髪だし、尖った耳、そこは間違いなくエルフでウィン様なのだが…。
「この姿か?説明は後だな。まずはここを一掃してしまうから、待ってろ」
いや、一掃…って、どう見ても子供になってませんか、ウィン様!
あのバスターソードが身の丈の三倍ほどに見える。身長も私よ低く、あのふくよかな胸は無く、少しの膨らみになっている。
人間なら十歳から十二歳くらいだろうか?女の子の体が変化を始める年頃くらい。
だが、その華奢な体に反して動きは以前のウィン様と同じ。
早く、強く、しなやか。
伝説の通り、舞を舞っているようである。
「どうした?まだまだ私は物足りないくらいだ!もっと来てもいいんだぞ!」
全ての敵を倒し、剣を消すウィン様。まさに無双である。
「ジール、大丈夫か?」
ウィン様は私を抱え起こす。そして、解毒の魔法をかけてくれた。
「ウィン様…この痺れは…」
「大丈夫だ。安心しろ」
信じられない。少しずつ痺れが取れてくる!
「この毒は普通の解毒ではなく、回復も混ぜて使う方がいい。魔法で解毒しつつ、身体の治癒能力も回復させると痺れは消える」
ウィン様の言う通り、しばらくすると痺れは完全に消えた。
「昔、これに似た経験をしたからな。何事も知っていると役立つものだな」
ホントにウィン様は頼りになる。
「向こうも決着が着いたみたいだな」
ウィン様が外を見ている。
そうだ、ウィン様が帰ってきたと言うことは、当然師匠も帰ってきたということ。そうなると、師範も師匠と共に戦っていたのだろう。
そうなれば、勝敗は決まったようなもの。
師匠の敵の分析は他に見ない凄さを持つらしい。師範はそれを自分のことのようによく自慢していた。
となると、二度目の対戦となるイアランに勝ち目はないはずである。
「ウィン様!クアンタとヘキサをお願いします!」
今度こそ…イアランとの戦いに決着を付けなくてはならない!これ以上、変なものを召喚される前に本体を叩かなくては!
私はシュテルをローブに戻し、イアランのいるところへ跳躍する。
この、無駄な戦いを終わらせるために。




