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自称勇者 第十六部 第三章

「いや、違うから」


 そう住職である志人兄が言うが言い方が微妙だったり。


「やばさは似ていると思うが、何というか、あっちの方がアホっぽいぞ。同じなら邪悪さが足りない」


「まあ、確かに。ちょっと女神は子供っぽいからな」


 などと魔法使いの爺さんと颯真まで言いやがる。


「待て! 私は邪悪か? 」


「結構」


「意外と」


 私に対するあまりの魔法使いの爺さんとかの評価にムカッとして聞いたら、皆がそう言った。


 解せぬ。


「いや、まあ、分かったから。とにかく、しょうがないから中村さんのゾンビ化を一真はしてくれ。仕方あるまい。もし、颯真君が剣聖アウロスとやらを倒すと言うなら、私も手伝いたい」


 住職の志人兄が真剣な顔でそう名乗り出た。


「いや、辞めた方が良いと思う」


「私もそう思う」


「姿は爺さんだが、かっての俺よりは強いはずだ」


 などと私達に突っ込まれたので、志人兄は住職なのに袖をまくって筋肉を見せた。


「いや、そう言う問題でなくて、ちょっとタイプが合わないと思う」


「なんていうか、真正面から戦うタイプじゃないし、えげつない感じは見ててしたし」


 それを大翔兄と私がキツイ突込みで答えた。


 志人兄は真面目過ぎるから手が合わないと思う。


 実際、いろいろと突込みどころが満点のこの寺もベースは祈祷寺として、きっちりと信徒と正面から向き合っている。


 タイプが違い過ぎるのだ。


「それは言えていると思うな。剣聖と言いながら暗殺者的な行動をしてるのに、相手をいたぶり殺すのを楽しむような所がある」


「え? 趣味なのか? 」


 私が魔法使いの爺さんが心を読んで突っ込んできたことは置いておいて、そのまま聞き返す。


「勝ち誇りたいんだな。別の剣聖と戦った時も、搦め手からこのようにやれば弱いものよとかな」


「コンプレックスの塊だと言う事か」


「実はすごく強いんだけど、どこもちゃんとして雇ってもらえなかった宮本武蔵みたいなもんかな? 強いんだけど我が強くてそう言う宮仕えに向いて無くて、風呂も嫌いで身綺麗にもしてなかったから、凄く臭くて異相で自分の武勇を話すときに、その時の傷とかを見せる為に、ズカズカと近づいて臭いのに無理矢理に見せたりとか。相手が顔を背けても、ちゃんと見ろとか言って押し付けるように見せたり。本当は侍大将になりたかったのに、人付き合いが下手過ぎて兵法指南を狙うしかなくなったような……」


「いや、待て。お前……。いや、言われてみれば確かにそんな感じだが、それを同じ感じで剣聖アウロスに言うなよ?  煽るなよ? やばいぞ? 怒らせると際限なしに残虐な事をするからな」


 大翔兄と私の突込みに魔法使いの爺さんが慌てる。


「つまり、人付き合いが円滑に出来ないから、それがコンプレックスなんだな。そして、それを馬鹿にしてたような奴等に報復してスカッと爽やかとか思っているゴミみたいな性格だと……」


 大翔兄がさらに話を進めた。


「いや、ちょっと待て。お前ら剣聖アウロスを倒しに行くときは行くなよ? 激怒するぞ? あいつは激怒すればするほど残忍になるんだからな? いやいや、お前らを連れてったらどうなる事やら」


「多分、言われて切れまくって激怒して無茶苦茶すると思うな」


 魔法使いの爺さんの慌てて突っ込むのに、颯真が笑っていた。


「逆に言うと、そう言う奴って何か心におかしなものを持っていて、すごく大切にしているものとか持ってそうだけどな」


「人質じゃないや、それを奪って脅す訳か」


「隙くらい作れないかな? 」


「いやいや、その剣聖アウロスとやらとお前らは同じレベルの事をしようとしているぞ。真面目な話」


 住職の志人兄が呆れたように突っ込んだ。


「どっちが悪いのか、分からなくなるよな」


「まあ、とはいえ、死者をゾンビにしたり、こちらも一線は超えてしまっているからな。やるしか無いんだけども……」


 優斗の苦笑を、一真がちょっと深刻そうに答える。


 見た目のヤンキーさと違って、意外と僧侶としての考えも持っているらしくて、真面目だから、意外と結構気にしているのか。


 本当はいろいろ葛藤しているのかもしれない。


 大翔兄もそれを感じたのか、一真に優しく話しかけた。


「大丈夫だ。一線を超えても戻ってきたらいい。それでいいんだ。皿に乗ったおかずを床に落としたとしても3秒以内なら拾えば大丈夫な3秒ルールがある」


「それ、外食の超有名なチェーン店でも昔はやってたからな。そこは、かなりの上場企業だから安心の世界標準の納得ルールだぞ」


「そうなのか? とにかく、ちょっと超えたならすぐ戻れば大丈夫だ。大翔兄の言う通りなら、安心の上場企業でも使用するルールだと言う事だし」


「いやいや……おかしいだろ……」


 一真の父の副住職が凄い顔している。


「だが叔母だし」


「叔父だぞ」


 私と大翔兄が一真の父の副住職に微笑んだ。


「颯真、こいつらは連れてったら駄目だ。あの糞女神と同じでやはり煽るタイプだ。こういうのは剣聖アウロスにはヤバい」


「まあ、そうだろうね」


 颯真が笑いながら魔法使いの爺さんに答えた。


「何時までも話が進まないから、いい加減に中村さんをゾンビ化しないと。それと、やっぱりお前達も行くな。怒らせたら意味がない。とにかく、昔の駄目駄目のまんまじゃないか」


 住職の志人兄が深い深いため息をついた。


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