自称勇者 第十六部 第二章
「ゾンビ化のスキルがいくつか増えていてな……」
一真がそう私達に話してきた。
まあ、私もいろいろとスキルが増えているから、恐らく一真も増えているのだろう。
パーティーになっていると、何かを倒したりするたびに、皆に等分に経験値みたいなものが配分されてレベルが上がる。
ゲームみたいなシステムになっているわけだが、颯真が頑張るので知らんうちにドンドン上がっていくのだ。
そういや、魔法使いの爺さんも結構頑張っているものな。
非常にありがたいシステムだと言える。
何もしなくても上がっていくのだ。
昔、〇〇〇〇〇とか言う奴で子の位置にいるものが働くと、その成果配分があって働かなくても金が入るとか言う夢のような話があったな。
殆どねずみ講だけど。
「いやいや、何の話を考えているのだ? 」
「別に私の思っていることに突っ込まなくても良いのだが」
「お前さんが一番異様な事を考えているからだぞ? 頭に皆の思考が流れ込んできた時に頭に残るんだよ」
そう魔法使いの爺さんが愚痴ると、住職の志人兄が凄く深いため息をついた。
「また、つまんないことを思ってるのかよ」
「変わらねぇな」
一真と優斗がそう突っ込んできた。
「いやいや、立場は変わらないだろ? 働きアリの法則みたいなもんだ。2割が良く働いて、6割が普通に働いて、2割が働かないと言う奴だ。うちの場合は颯真が良く働いて、魔法使いの爺さんが普通に働いて、私と大翔兄と優斗と一真は働かないで成果を分配されているからな」
「え? 俺、あんだけテレポートして物を運んだりしているのに? 」
大翔兄が私の言葉を聞きとがめて突っ込んできた。
「いやいや、テレポートとかは経験値にならんだろ。相手を倒していないのに」
「ええええっ! 」
大翔兄がショックを受けた。
「一応、大翔さん殴ったりして倒したりしてるじゃないですか」
「仮面ライダーのおやっさんみたいなポジションだな」
優斗が庇った話をしたら、一真がダメ押しした。
「……おやっさん……酷くね? 」
「いや、まあ、通常の戦闘員ですら人間の三倍の能力だからな。それを倒すんだから達人なんだろう。全然スペックは分からんのだけど」
などと仮面ライダーオタクだった住職の志人兄が慰めか良く分からんことを話した。
懐かしいと言えば懐かしい話だが、そうか、転生したおかげで最初の仮面ライダーから見てるんだな。
まあ、良いんだけど、息子の副住職の一真の父と孫の一真が凄い嫌そうな顔をしているのだが。
「ほほう、仮面ライダーが好きなんですか? 」
「ああ、仮面ライダー響鬼あたりから見て、転生したもんで初代からコンプリートした」
などと颯真が嬉しそうに聞くから困ったもんで、住職の志人兄がちょっと鼻息が荒く頷いた。
颯真もそういうのが好きそうだもんな。
「うちは無理矢理、見せられてたから……」
などと一真がぽつりと話す。
確かに、普通はおやっさんなんて知らんわな。
「何の話だ」
魔法使いの爺さんがついていけないように聞いた。
「まあ、特撮オタクの話だ。気にするな」
「分からん話は突っ込みようがないからなぁ」
そう魔法使いの爺さんが困ったように呟いた。
そうか、戦前からだから仮面ライダーとか知らんだろうしな。
「敢えて言うなら黄金バットみたいなものだ」
仕方ないので私が説明する。
志人兄がヒーローオタクだったせいで、ひねくれてた私は元祖を調べて突っ込んでいた。
黄金バットは昭和5年である。
多分、この手では一番古いはずだ。
「なるほど」
「紙芝居で見ていたのか? 」
「昔にな」
「紙芝居のヒーローだからな。黄金バット」
「あのさ。そろそろまともな話をしようよ」
呆れた顔で副住職の一真の父が突っ込んできた。
後で一真に聞いた話だと、仮面ライダーとかヒーローものを見せられるのに閉口して住職の志人兄の息子の副住職の一真の父はそういうのが嫌いなんだそうな。
「ああ、じゃあ。ゾンビのレベルが違うのが作れるみたいなんだ」
そう一真がそう話す。
「ワイトキングとかつくれるのか? ゾンビ系の神官のモンスターとか作れるならそれは凄いな」
大翔兄がそう突っ込んだ。
「いや、ハイグレードゾンビだって」
「え? 何、それ? 」
「ハイグレードなゾンビと言いたいのでは? 」
大翔兄の突込みに一真が困惑していた。
「何というか、本当にセンスがないよな。スキルのネーミングに……」
優斗が呆れる。
「ずれているんだよな。女神のスキルの名前のセンスが……。変なネーミングばかりだし……」
そう私が呟くと、住職の志人兄が悲しそうな何とも言えない顔で私を見た。
それで私がはっとする。
「待て待て待て待て待て! 志人兄っ! なんだ、その悲しそうな目は? 」
「ああ、気にしないでくれ」
「いやいや、違うだろ? まさか、あの女神っ! 私なのか? 」
私が実は恐れていた言葉を吐いた。
身内だと言うと女性は私しかいない。
この世界で何か将来的に起こって、異世界に飛ばされると言うのは考えられることだった。
「だが! あんなのが! あんなのが! 私であるわけ無いではないかっ! 」
私が自分の存在をかけて叫んだ。
いくら何でもセンスが悪すぎる。
私はもっともっとずっとマシなはずだ。
心が叫んでいた。




