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自称勇者 第十五部 第三章

「逃げた方が良く無い? 」


 私が大翔兄に聞いた。


「向こうは拳銃の引き金引くだけだし、テレポートでこちらが逃げるのと、どちらが速いかな? 」


 大翔兄が大量の警察官に拳銃を向けられて呻く。


「魔法で何とかならんの? 」


「わしの場合、魔法自体で皆への攻撃は何とか防げるが、詠唱に時間がかかるので無理じゃ」


 などと魔法使いの爺さんが呻く。


「お前達はあの化け物どもの仲間か? 」


 何かあったらしくて、奥から偉いさんらしい人が出てきて叫んだ。


 多分、警視長か警視正か知らんけど。


 バッチがキンキラキンだから、そうなんじゃないかと思うだけだが。


 皆が殺気立っているのが分かる。


 まあ、警視庁がここまで壊されてたらそうなるか?


「答えろ! 」


「いや、その化け物達と戦っているものです」


 などと言わなくても良い事を大翔兄が答える。


 いやいや、化け物は化け物として下手したら我々も同じように扱われるのでは無いかなと思うのだが。


「そいつ、大学空手で有名な浅野大翔です」


「ああ、昔、練習で会った事あります」


 顔見知りがいたらしくて、ますます逃げれなくなった。


 やばいな、そう言うの想定して無かったわ。


 大翔兄は結構、有名だもんな、伝統空手で……。


「お久しぶりです」


 などと大翔兄が頭を下げる。


 知ってる人が結構いるようだ。


 何度も何度もいろんな人に大翔兄は頭を下げていた。


「あちゃぁ」

 

 優斗も顔をしかめた。


 これでは密かに偵察の意味すらない。


「とにかく、そっちの異様な剣を持ってる奴は剣を降ろしてくれ」


「そうしないと拳銃を降ろせない」


 などと大翔兄知っている警視庁の人がそう声をかける。


 だが、颯真は<忘却の剣>を降ろさずに構えた。


「おいおい! 剣を降ろしてくれ! 」

 

 兄がちょっと慌てていた。


 結構顔見知りがいるので、困るのだろう。


「いや、見ている奴がいる」


 そう颯真は呟くと、あたりを伺った。


 どうやら誰かを警戒しているらしくて、拳銃を構えた警察官達は相手にして無いようだ。


「困ったな。ちょっと、待ってくださいよ。剣をすぐに降ろさせますから」


 と大翔兄が慌てて、知っている警察官の方に頭を下げた。


 そうしたら、抱いていたポチがしっぽを丸めて怯えて震え出した。


「どうした? 」


 私がポチを撫でた。


 その瞬間に何かの衝撃破のようなものが走る。


 警官の何人かがスパッと言う感じで真っ二つになった。


 誰か斬っている。

 

 そして、それは間違いなく颯真を狙って斬りつけていた。


 颯真がまれにするように剣戟を飛ばしているようだった。


 それを颯真が受け止めた。


 いや、受け止めれなくて跳ね飛ばされるように衝撃を流した。


 そんなの初めて見た。


「嘘だろ? 」


 魔法使いの爺さんがそれで呻く。


「伏せてくださいっ! 」


 大翔兄が叫ぶが、攻撃をこちらからかと思った警官が狂ったように拳銃を撃ってきた。


 弾丸が肩をかすめて出血しながら、優斗が伏せる。


「速っ! 」


 すでに私と大翔兄が伏せていたので、肩を抑えながら私達を見て叫んだ。


 魔法使いの爺さんはちゃっかりと自分だけの防護陣を敷いていたらしくて、拳銃の弾を受けても平気らしかった。


「ちょっと、中村さん! 撃つのを止めてください! やっているのはこっちじゃないです! 敵の襲撃です! 」

 

 大翔兄が知ってる人の中で一番偉いらしい人の名前を必死に叫んでいる。


 だが、颯真への敵の攻撃は続いていて、それで次々と巻き添えで警察官が血まみれになっていた。


 突然に魔法使いの爺さんが防御しているはずなのに、伏せた。


「いや、伏せなくて良いんじゃないの? 」


 私がそれで突っ込んだ。


「いや、逃げた方がよく無いか? 」


 真顔で魔法使いの爺さんが私に言う。


「いや、颯真君は戦ってるぞ? 」


 大翔兄がそう魔法使いの爺さんに突っ込んだ。


 だが、珍しく颯真が苦戦している。


 剣が敵の攻撃で弾かれているのだ。


 その余波で半分だけ残っている警視庁の建物が少し崩れてくる。


「何なの? 何なの? 」


 優斗がパニックになっている。


「どう言う事なんだ? 」


 中村さんという、さっき大翔兄が話していた警察の偉いさんらしい人が転がるようにしてこちらに来た。


 その身のこなしから、その人は相当強そうだった。


「いや、うちの颯真君、多分、この国で一番に今回の敵を倒していて、それで相手が目の敵にしてるんです」


「マジか? 」


 大翔兄の説明を聞いて中村さんが一緒に颯真を見るが、剣を受けるのが精一杯で、そのおかげであまり強そうに見えないかもしれん。


 真面目な話、剣の振りを見るといつもと同じくらいの達人の域だけど、それを超える攻撃を受けてるらしい。


 珍しく、ボロボロだ。


 致命傷は受けて無いが、とにかく攻撃を受けるたびに颯真が左右に思いっきり振られている。


 多分、敵の攻撃を受け流している結果、そう言う動きになっているのではないかと思うのだが、良く分からん。


 とにかく、警察官達も敵のやばさが分かったのと、拳銃の弾を撃ち切ったのもいて、皆が伏せだした。


「逃げよう」


 魔法使いの爺さんが真顔だ。


「何なんだよ! この状態は? 」


 大翔兄が困り切ったように聞いた。


「颯真を待っていたらしい。どうやら、敵についたようだ。最悪だ」


「いや、だから爺さん。ちゃんと説明してくれないと分からないんだが」


「剣聖アウロスだ。あんな異様な攻撃の仕方は奴しかしない」


「え? 」


 それは女神の世界で最強でやばい奴で、颯真の師匠だった男の名前だった。

 

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