自称勇者 第十五部 第一章
私達は兄のテレポートで警視庁に向かう事になった。
優斗と魔法使いの爺さんは最初は凄く一緒に行くのを抵抗していたが、最終的に結局一緒に行くことになった。
顔は凄く嫌そうに歪んでいた。
一緒に行きたくないと言うのがありあり現れていた。
「わしは行きたくないんじゃがな、だが、もはや颯真だけでなく、この兄妹がすることが不安すぎて……」
「そうそう、思いっきり不安なんだよね。やる事が……。ついていかざるを得ないのか? そもそも、ここの住職さんのお兄さんについてきて貰った方が良いのでは? 」
「おお、確かに」
魔法使いの爺さんと優斗の心が一致した。
それだけ、自分達だけでついて行きたくないんだろうと思われた。
「いや、ここの住職はあの話が本当だとしても、どうもはっきりしないだろ。お前の兄だから言いにくいんだがな」
そう颯真が私を見た。
そんな心づかいが出来ると思わなかった。
「単純に敵にとやり合う時のストッパーになりそうなんで関わらせたくないだけじゃろ」
私の心を読んで魔法使いの爺さんが颯真の事を身も蓋も無い感じで囁いた。
なるほど戦闘狂ってのは相変わらずか。
「あちらの世界はこちらで言う話し合いで平和とか殆ど無いからな。純粋の武力と武力の削りあいだ。そんな世界で揉まれたらそうなるのも仕方ないだろう。わしは昭和の初期のころまでこちらにいて親が百姓やってたからな、まだそう言うのは近い世界だったからな。現代のこのヌルヌル社会から行けば性格は当然に変わる……」
魔法使いの爺さんがそう私に話す。
「いやいや、漁師とかなら分かるが、そんなに百姓って昭和の初めでやばかった? 」
横で兄が魔法使いの爺さんに聞いた。
「漁師はヤバいのは分かるが、百姓だろ? 」
漁師さんは意外と某最強と言われた喧嘩師のヤクザを殺したりとか、たまに最強説でネットでも話題になる。
実際、板子一枚下は地獄と言う言葉があるように死と隣り合わせの仕事だし、そんな仕事で気性も荒いのも多いだろうし、酷い話だが悪い事をしようと思えば、荒れた海に人を落としておいて事故に出来るのはやばい……船長の権限が大きいからだが、まあ、普通はしないだろうけど……。
「いや、そうか、知らんか。昭和の初期くらいまでは江戸時代の流れを汲んでいて、水の取り合いで村同士で殺し合いになる風習が意外と田舎は残っていての。結構、やばかったんだ」
「み、水争い」
「おお」
私と兄が初めて聞く話で驚く。
なるほど、干ばつとかになれば水を自分の水田に入れれるかどうかは大きいからな。
そういうのがあるんだ。
「まあ、だいぶ、そういう争いは減ってたけど、そう言うのは確かにあったから。んで、鍬とかで戦う時もあるから、そりゃあ人も死ぬ。今の時代からしたら百姓ってイメージだと自然の中で頑張っている優しい人みたいなイメージみたいならしいから、逆にわしらはびっくりするからの」
「恐ろしいな、日本」
「まあ、戦国時代とかは農民は副業のように戦争に行くからな。戦功をあげてもでかいし、略奪とか出来るし、降伏した相手は捕虜として売るし、死んだ兵士の武器や甲冑は剥いで売れるしな。甲斐とか収穫があまりない国だと戦の方が田畑の収入より大事な時があったらしいし」
私の呟きに兄がそう話す。
そういえば、合気道の源流の大東流合気柔術とかは元は甲斐の武田家とかに伝わっていた技だったらしいし。
昔は日本の場合は家で武術とか言うのは秘匿して、外に教えるなんて事が無い世界だったとか。
反対に中国などは金持ちが身を守るために、大金を支払って、その秘匿された武術を習ったりという世界だったそうな。
だから、そら格闘術の技を知っている方が強いのは絶対にある。
「という事で、昔は結構やばかったのよ、百姓も。それに比べたら、今は身近で人殺しとか普通には無いからな」
「いや、あってたまるか」
魔法使いの爺さんの話に私が突っ込んだ。
「いや、ヤクザの抗争が盛んだった時に、俺の中学校の年食った先生が広島に遊びに行ったら、目の前のおっさんがヤクザだったらしくて、頭を拳銃で吹き飛ばされるの見て、一年くらい肉が食えなかったって言ってたけど」
「いや、そう言う話はもういいだろ? 行くなら急ごう。時間がもったいない」
延々と続く話に颯真が少しイラっとしているせいか、優斗が横から突っ込んできた。
行く気満々である。
「仕方ないな。とりあえず、警視庁というのはこれか? 」
などと兄がごそごそと本を出してきて、見せた。
警視庁の写真が載っているので持ってきたんだそうな。
武術系の雑誌で特集があった時のものらしい。
なぜ、警視庁が特集されているのか分からんが、警視庁出身の選手がいたとかで載ったとか。
「いやいや、行った事無いの? 」
優斗が凄い顔で突っ込んできた。
横で颯真も顔が引きつっている。
「無いよ。当たり前じゃん。兄貴はあるかもしれんが、俺は無い」
そう大翔兄が胸を張った。
「いや、やっぱり住職さん呼ぼうよ。颯真。これは頼りないだろ? 」
そう魔法使いの爺さんが意を決したように突っ込んできた。
「いやいや、頼りないは酷いな」
などと大翔兄も愚痴るが、自信が無いから、任せろとは言わないようだ。
それを言うと、私も変わらんが。
「さっきも言ったが、俺は住職がお前達の兄だとしても、いろいろと何らかの経緯があるようだから、全面的に信頼するのは躊躇している」
颯真が非常に率直的言う。
「まあ、行かなくていいとしか言わないと思う」
私も率直に話した。
「それが正しいんじゃないか? 」
などと身も蓋も無い事を優斗が言うが颯真は無視をしていた。




