自称勇者 第十四部 第四章
一真の祖父の住職……兄でもある浅野志人が話し合いを向こうの皇帝と再度すると決めて強引に話を終わらせた。
私と兄だけでなく、颯真も釈然としない顔をしていた。
一真と一真の父の副住職はそのまま会議室に残って一真の祖父の住職……兄でもある浅野志人と今後の話をするそうだ。
優斗も魔法使いの爺さんも、それで一緒に会議室を出た。
「ぶっちゃけ、話し合いとか出来ると思うか? 」
颯真が単刀直入に聞いてきた。
「現状だと無理だな」
「俺も同意見だ」
私と大翔兄の答えは同じだった。
「そうか……だろうな。そんな話し合いで終わるなら、こんな事になるわけ無いしな。侵略とか無かったはずだ」
颯真がそう切り捨てた。
「まあ、俺も同意見だな。ここまで無茶苦茶になってるのに、今更だと思う」
優斗も苦笑した。
「まあ皇弟が全ての原因らしいから、奴を何とかしないと駄目なんだろうが……それが終われば何とか出来るのではと思うが……」
「まあ、志人兄が話し合いができるって言ってる場合はガチだからな。ただ、志人兄はまわりの思惑とか考えないから。それで、殺されたんだと思う」
「ああ、それは思った。ひょっとしたら、最初にすでに覚醒していたのかな? その関係ですでに皇帝と話していて、それで邪魔に思われて殺された可能性もあるかも」
「それはどうかな? 殺人事件を追っていたんだろ? その辺りは……お前が洗脳した警察官がいたろ? 志人兄の先輩だった奴。そいつの所にテレポートして聞いてみるか? 」
「ああ、忘れていたな。完全に」
私が大翔兄に言われて思い出した。
すでに私の頭にはあの時の事は柴犬のポチの事しか頭に残ってなかったし。
「こう……あれだな。いろいろとちゃんと考えているようで、実はあんたら兄妹は実は何も考えていなくて、場当たり的で実際に適当だよな。本音で言うと……」
優斗が呆れていた。
「いや、まあ、うちはそんなもんだ」
「志人兄だけまともなだけだし」
私と大翔兄がそう苦笑した。
「それなら、兄に聞けばいいんじゃないのか? 一真の祖父の住職になっている兄に。まともなのなら、今回の件にも俺達に真実を話すくらいはするだろう? 」
颯真が厳しい顔で聞いてきた。
「だが、ああいう風に誤魔化しだしたら、何があったか知らんが難くなになるのが志人兄の性格だからな。思い出したくもない何かがあったんだろう」
大翔兄がやれやれと言う顔で話す。
どうやら、颯真には本気で侵略とか言うのに何か闇のようなものがあるらしいな。
そう言うのが許せないらしい。
脳筋かと思えば、この侵略とかに関しては違うんだな。
「まあ、ちょっといろいろあるのさ。異世界に行って何もないわけが無かろう」
またしても、人の心を読んだのが私に魔法使いの爺さんが答えた。
ちょっと、遠回しに言うから詳しくは言いにくい話なのかもしれない。
と思うと、魔法使いの爺さんが頷いた。
こういうあたりは人の心が読めると言うのは便利なのかもしれないが……。
「では、東京へ行こう」
颯真がそう決めたように話した。
「いや、それは良いんだが、結構、これでここから俺達いなくなったら、騒がしくなるんじゃないのか? 」
「それは言えてる」
大翔兄の言葉に優斗も同意した。
すでに先ほどの騒ぎが広がったのか信徒で騒いでる人がいた。
それで、騒いでる信徒さんの前に私が説明するかのように進み出た。
「スキル<教化>……皆さん心配なさらないでください。彼ら暴徒のものどもは大聖聖女如来の御助力で撃退いたしました。すでに問題はありません。落ち着いてください」
私が実は洗脳であるスキル<教化>を込めて皆に話す。
騒いでいた人も段々と静かになっていく。
「それよりも、住職様にも大聖聖女如来様の御加護がありました。そのお陰で撃退できたのです。皆さんは安心してください」
私がにっこり微笑んだ。
つまり、住職がいるだけでも安心できる環境づくりと言うわけである。
実際、加護抜きで兄妹で一番強いのが兄である。
その上で、皇弟とやらが実はクメンとしての兄は現皇帝と皇帝の位を争うくらいの位置にクオでいたらしいから、そりゃ強いだろ。
「なるほど、東京に調査に行った時の為に、我々がいなくても騒がれない環境づくりと言う事か? 」
私の心を読んだ魔法使いの爺さんが頷いた。
私達が配給だのテレポートで運んだり<教化>をあちこちでしたりしてる間、ここが騒がしくなる事が何度かあったらしいから、住職がいれば大丈夫と言う環境づくりは必須だと思われた。
「じゃあ、夕方あたりから行くと言う事だな? 」
颯真がそう囁いてきた。
「ああ」
私がそう頷いた。
大翔兄も納得した。
何だか、颯真は焦っているようにも見える。
脳筋だと思っていたのに、驚いた。
ちょっと、こちらに侵略があってからキャラが変わって無いか?
なんか、皇弟に吹き込まれた結果だろうか?
「いや、さっきも言ったがいろいろあるんだ。だけど、酷いなお前の評価は……」
そう私の心を読んだ魔法使いの爺さんがそう突っ込んできた。
いやいや、颯真のイメージが最初は変な奴だったしな。




