自称勇者 第十四部 第三章
クメンの転移後の報復が始まり、世界は無茶苦茶になった。
時間転移もするので先回りで相手を攻撃できる。
訳が分からない状態になった
何しろ、クオの現皇帝が産まれる前から戦闘を仕掛けた。
殺しても殺しても、死んでなくて時間転移と異世界転生をする。
いろいろとやばい事が起こった。
……兄の表情を見るとこれが何か恐ろしい出来事だったらしい。
どうやら、兄は今回が初めて殺されたのでは無いなと私はその表情から直感的に思った。
「は? 今回が初めての死んでの転移では無いの? 」
ああ、しまった。
魔法使いの爺さんが心が読めるせいで全部話してしまった。
言うか? 普通。
だが、一真の祖父の住職……兄でもある浅野志人は酷く狼狽を一瞬した。
やはりそうなのか?
「何かやっちゃったと……」
言わなくてもいいのに大翔兄が傷を抉る。
無意識だが、それはいつも兄弟でいる時に非常に良くある事であった。
「察してくれ」
ぽつりと重々しく一真の祖父の住職……兄でもある浅野志人が呟いた。
「何をやったの? 」
ウキウキとした顔で大翔兄が聞く。
基本的に大翔兄は昔からやっちゃいけないなと言われるとやってしまう方だった。
だが、一真の祖父の住職……兄でもある浅野志人が無言で、パンと両手で皇弟の顔を挟むようにして固定した。
必殺の<拝み固め>である。
しかも、スキルとして行っているので強力だ
「お前は人が嫌がっている事を根掘り葉掘りするなと死ぬ前に何度も説教したよな! どうして治ってないんだ? ああ? 察してくれって言っているだろう? ああ? 」
ギリギリと頭蓋骨の顎のあたりが締め付けられるような音がする。
困ったものだ。
「大翔兄さん。駄目だよ。察してあげないと。何か凄い嫌な事があったんだよ。志人兄さんには……。そんな感じじゃないか? 見たら分かるでしょ。多分、皇帝だよ。さっきの話から類推すると皇帝と何かあったんだと思う。妙に気安いし……ひょへっ! 」
「お前も納得したように相手の傷口を探る様な癖は早く治せと言ったはずだよな……」
今度は一真の祖父の住職……兄でもある浅野志人が今度は私にギリギリと<拝み固め>をした。
ううむ、スキルとして来ると結構痛い。
「いや、まあ、兄妹としての習慣をやられると息子の私は複雑なのですが……」
「孫はもっと複雑だし……」
一真の父の副住職と一真が深刻な顔して突っ込んできた。
まあ、自分の父親が目の前のガキと兄妹とか知ると嫌だよな。
ぶっちゃけ、私は一真の父の副住職の叔母って事になるし。
「まあ、叔父さんと呼んでくれれば良いですよ」
ここで思った事をストレートに出すのが大翔兄らしい。
今までバイト先の雇用主としてちくちく嫌味を言っていた一真の父の副住職が真っ暗な顔で俯いていた。
「ちょっとは察しろと言っただろうがぁぁぁ! 」
「ふごぉぉぉぉぉぉぉぉ! 」
一真の祖父の住職……兄でもある浅野志人が大翔兄を<拝み固め>
で決めた。
今度は全力らしい。
痛そうだぞと。
「そう言うのは後にして、どうするんだ? 今後は? 」
颯真が真顔で聞いた。
「ああ、皇帝と話し合いをするルートは持っている。女神の言う魔王と魔物の侵略ならば、こちらは関係なしだし始末するだけで良いと思う。魔物と組んでいるのは恐らく皇弟で皇帝とは関係ないのだし。だから、魔物とかだけは始末を続けてくれ。クルトルバの民とクオの方は皇帝と話し合うつもりだ」
「話し合う? 」
颯真が少しピクリとした。
「大丈夫だ。彼はちゃんと話ができる」
一真の祖父の住職……兄でもある浅野志人がそう断言した。
自信がありそうだ。
「ならば、最初からあんたが話をつけていたら良かったのではないか? 」
颯真が遠慮なしに突っ込んだ。
少しむっとしたようだ。
侵略と言うのに何かトラウマを抱えてそうな雰囲気だ。
「実は話し合いはしていた。だから、今回は皇弟の暴走で間違いないと思う」
と一真の祖父の住職……兄でもある浅野志人と皇帝は随分と信頼し合っている感じだった。
あれ?
まさか、ボーイズラブ?
などと私がそう思った。
なんで思ったのか良く分からんのだが、そう言えば寺の僧侶とかは未だにあるとこだとあるみたいだし。
「ボーイズラブって何? 」
そうしたら、余計な事を魔法使いの爺さんが私に聞いてきた。
心が読めるのも良し悪しである。
「お前はお前はお前はっ! あああああああっ! 」
一真の祖父の住職……兄でもある浅野志人に再度<拝み固め>をされた。
「ほげげげげげげっ! 」
私はギリギリと顎のあたりを挟まれて宙吊りになってプラプラしていた。
スキルと渾身を込めた<拝み固め>であった。
これはひょっとしてと疑念を抱くに充分な話であった。
事故ではあるのだろうけど……。
まるで、誰ぞがネットの坊さん達が書き込む愚痴サイトで大きな寺の修行僧さんの愚痴で自分達が寝てるたびに寺の顧問の坊さんに掘られる話をしていて、笑って読んでいたら、知ってる寺の住職さんとこの話でしたみたいな恐怖。
恐ろしや。




