自称勇者 第十四部 第二章
「今の段階では言えないんだね」
父がそう話す。
「では、話せるようになったら聞くよ。……でも、どんな姿でも生きていてくれてありがとう」
母はそう泣いた。
それでしんみりしたが、一真と一真の父の副住職は困惑した顔のままだった。
そうして、父母は兄の言葉の察してくださいを理解したのか静かに自分たちのあてがわれていた部屋に戻った。
「まあ、今の状態でいろいろ言われても分かんないだろうしね」
それを大翔兄が見送った。
「まあ、いきなり、こんな爺が息子ですって言われても混乱するし。時間を置いて話した方が良いだろう」
一真の祖父の住職真世である兄の浅野志人はため息をついた。
「じゃあ、ぶっちゃけ話をしていいよね。志人兄の大変さは察するとして、死んだ場合には時間の転移だけでなく、ひょっとして世界もまたぐのか? 我々が死んだ後の転移は? 」
私がそうずばりといきなり聞いた。
そしたら、一真の祖父の住職真世である兄の浅野志人があからさまに動揺した。
今の姿は一真の祖父の住職真世であるが、言われてみれば微妙な癖は残っていた。
「……女神か? 」
そう大翔兄が聞くので頷いた。
「ひよっとして、誰か知っていて組んでる? 」
私がそう一真の祖父の住職真世である兄の浅野志人に話す。
ビンゴだ。
そう顔が言っている。
意外と私達と暮らしていた25年くらいでも癖と言うものは残るもので、次の世界に転生したとしても、その癖は残ったままのようだ。
逆に今まで、そういうのを見せないようにしていたらしい。
「組んでいる? 」
「夢枕の警告って? 」
一真と一真の父の副住職が驚いた。
だが、一真の祖父の住職真世である兄の浅野志人は凄い顔で私達を見たままだ。
「いや、お前達では無いから」
そう一真の祖父の住職真世である兄の浅野志人が答える。
それは微妙な表情だった。
そうだと言えるし、そうでもないと言えるし。
まあ、もしそうなら、あれは女性であるし、未来で私が死んで転生している可能性もあるのだが……。
だが、流石にあの女神の性格のそれは私達兄妹に似ているとはいえ、私とは違うような気がする。
その辺りは私も分からなかった。
微妙に真実がそれと違うようだ。
「結局、そうすると奴らは何のために侵略をしてきているんだ? 」
今まで黙っていた颯真がそう一真の祖父の住職真世である兄の浅野志人に聞いた。
颯真は意外と人の家庭とかの問題には口を出さない。
それで黙ってたのだが、侵略とかそう言うのには敏感だ。
それで、聞いてきたのだと思われた。
たしかに、それは謎だ。
浸透するような侵略はするが、それは、この世界で言う侵略とは少し違うようだ。
果たして、何のためにやってんだと言うのは不思議に思っていた。
少し考え込んだ後に、しばらく間をおいてやっと一真の祖父の住職真世である兄の浅野志人は話しだした。
「……侵略と言えば侵略なんだがな。ぶっちゃけ、仲間を増やすためだ。肉体を持って自分達の血筋を育てる事で、その中からまれに出てくるクルトルバの民になれるものを仲間にする為だ」
「え? 」
凄い顔で一真と一真の父の副住職が驚いた。
「ああ、一真は適性があるかもしれないが、あまり気にすることも無い。女神の加護で強められているだけかもしれないし。滅多にクルトルバの民が産まれる事はない。そもそも彼らは実数を大きく見せているだけで、実はすごく数は少ないんだ」
一真の祖父の住職真世である兄の浅野志人は苦笑した。
「ならば何もここまで派手にすることは無いのでは? 別にひっそりと赤ちゃんの時から入り込んで仲間を増やせば侵略なんていらないのでは? こんな大げさな侵略なんて必要ないのでは? 」
大翔兄がかなりシビアな事を話す。
「確かに、大翔兄の言う通り、侵略なんて大きなことをせずにひっそりとやった方が効率的だと思う。仲間を増やすのが目的なら、下手に自分達が異分子として見られてしまって、この世界が自分達を敵と認識してしまう事は非常に危険なのでは無いかと思うのだが」
私も同じことを思っていた。
「そうだ。だから、今の皇帝は再度ひっそりとに戻そうとしているんだ……実はな。先代の皇帝が派手で、それの影響を受けて皇弟は派手にやりたがって暴走した。その結果が今回の侵略だ。ぶっちゃけた話、ひっそり世界の陰で転移して仲間を増やしてって地味なやり方は、ずっとこの世界でもしていたんだ。ヒナを殺さないで乗っ取るちょっと変わったカッコウみたいなものだ。だから、ある意味、この星などは相当それを繰り返しているから、結構な数の混血がいるはず。それで良かったのに、馬鹿な事をした為にトラブルが起こった」
そう一真の祖父の住職真世である兄の浅野志人が答える。
「トラブル? 」
「トラブルとは? 」
私と大翔兄が聞いた。
「クルトルバの民は長い年月を生きて転移と成長と転移を繰り返す。それでも、やはり心の核の寿命は千年くらいで来るんだ。それで、先代の皇帝が亡くなられたら、次の皇帝をクオから選ぶことになった。それで、先代の皇帝が亡くなる前に今の皇帝と話し合いして、後継者争いでクメンが邪魔になった。一応、クオの中で最も厄介と言う伝承はあったんだが、それが何かは伝わってなかったし、我々自身も知らなかった。それで、皇弟を使って先代の皇帝が今の皇帝を皇位につける為に我々を攻撃した」
「おお、御家争いか? 」
「なるほどな」
それで、私と大翔兄が納得した。
「んで、クメンの能力が殺されそうになった時に発動する逃げる能力が時間転移と異世界転移を誘発するものだったので、クルトルバもクオも滅茶苦茶になった」
一真の祖父の住職真世である兄の浅野志人がそう一息に言った。
「「ん? 」」
それを聞いて私と大翔兄が凄い顔になった。
ぶっちゃけ、それはクメン……うちの兄妹というか一族が悪いって意味でもあったからだ。




