自称勇者 第十四部 第一章
とりあえず、あまりにも皆にとって痛々しい展開になったので、場所を移した。
これに関しては、一真と一真の父の副住職が固まっていてどうしょうも無いから、仕方なしに一真の祖父の住職……兄でもある浅野志人が皆を案内する。
それはこの間の会議室だった。
両親も困惑はしていたが、自分の息子と確信していた為に、逆に兄の浅野志人が自分より年上の一真の祖父の住職である事にどう言っていいのか分からないと言った状態だった。
しばらく無言が続いていた。
一真と一真の父の副住職は動揺しまくっていた。
優斗と魔法使いの爺さんも困った顔をしていた。
皆が黙って兄の浅野志人である一真の祖父の住職の言葉を待っていた。
それで、一真の祖父の住職である兄の浅野志人がそれを察したかのように咳ばらいをした。
「察してください」
そう一真の祖父の住職である兄の浅野志人が答えた。
それで私と大翔兄が微笑む。
さっきも話していたが、兄の浅野志人の口癖である
懐かしかったのだが、それで逆に父母は困惑していた。
まあ、その困惑は分かる。
実際に父母はますます困惑していた。
自分の子供である浅野志人が突然に自分達が世話になっている寺の住職だったと言う展開で自分たちより年上になってしまうのである。
それは困惑するだろう。
前にネットで見たが、可愛がっていた4歳くらいの一人娘が突然、昔に魚の市場で働いていたとか言い出して、ターレとか専門用語が出てきて、自分が事故で亡くなったと言いだすのだ。
両親はびっくり。
しかも、前世は40歳の独身のおっさんで、名前も住所も言えてしまう。
まさかの可愛い娘がおっさんと言う事実に困惑してしまい、両親は迷いに迷った末に言われた住所に行ってみると言うホラー。
まあ、ネットの与太話かもしれないが、可愛がっていた娘に今後はほおずりも難しいだろう。
今、それと同じ出来事が目の前に起こっているのだ。
これはせつない。
大事にしていた長男の結婚式どころか、嫁に会う前に子供と孫とご対面である。
しかも、奥さんは亡くなっているし。
「待て……。その話の4歳とかの娘の話の続きはどうなっているのだ? 」
魔法使いの爺さんがそう突っ込んできた。
「いやいや、人の心を読んで突っ込んでくると言うのもどうかと思うぞ? 」
私がそう突っ込んだ。
「いや、気になるんだが? 」
「ネットの与太話かもしれないが、本当にその名前の人物は娘が言った通りで亡くなっていて、その人物の母親がその住所の家に住んでいて、生前の話をして娘の話をしたと。それで、向こうも心配して、あまりその話は大きくしないでおきましょうで終わったそうだが。だから、公表はしないと。まあ、与太かもしれんが、たしかにおっさん説がついたら娘が可哀想だしな」
「その手の話は子供の時だけで大きくなったら忘れると言う記録が世界に結構あるぞ」
私の話に大翔兄が突っ込んできた。
そういう話は大翔兄は好きなのだ。
「……つまり……あれか? 「転〇生」みたいな感じなのか? 」
などと父がいきなり言い出す。
男の子と女の子の入れ替わりをテーマにした物語だったな。
「じ、じゃあ、爺ちゃんは? 」
一真がそれで騒ぎ出す。
「父はどこかにいるのですか? 」
一真の父の副住職も同じように聞いた
それで一真の祖父の住職である兄の浅野志人が黙っていたが、少し考えた後に答える。
「すまないけど、子供の時に過去世を思い出してって感じで、浅野志人は、そのままこの大聖寺の住職の真世です」
そう一真の祖父の住職である兄の浅野志人がそう断言した。
始めて法名を名乗ったが真世とか意味深である。
知らなかった。
「じゃあ、本当にクオのクメンとかってマジなのか? 」
大翔兄が父母がいるのに聞いてしまう。
いや、それはまずいだろ。
父母が悲しむと思った。
「それは察してください」
そう一真の祖父の住職真世である兄の浅野志人のいつもの口癖が出た。
私が父母をちらと見て、大翔兄をそっと肘で突いた。
それで大翔兄も理解したらしい。
まあ、クオカードだの工面だのは父母には分からないと思うがもそれ以上のショックを与えたくない。
「で、こっちを守るためにいろいろと助けてくれていたわけ? 」
私が突っ込んだ。
「いや、寺と家族を守るためにやっていた訳だ。出来たら、そちらは巻き込みたくなかったんだが仕方ない。俺もその前に死んでたから、この展開は知らなかったし」
そう一真の祖父の住職である兄の浅野志人が話す。
まあ、そうだろうな。
転生したのは颯真に会う前の話だし。
「……というか、お前らは死ぬなよ。……死ねないから。本当に碌なものじゃないから……」
一真の祖父の住職である兄の浅野志人が意味不明だが、察してくださいの言葉通り、自らの体験してきた人生がそうだったのだろう。
ううむ。
父母もなんとなく察しているようだが、兄の浅野志人の口癖の察してくださいはいつも実は中身が凄く重かったりする。




