自称勇者 第十三部 第六章
「……あれ。援護射撃だったのか? 」
そう、颯真が戦っていた相手を斬り落として倒した後に、寺の大木の枝に<忘却の剣>を持って立っていて、私達に聞いた。
ちょっと、激しい戦いをしていたせいか、颯真は少し殺気立った顔をしていた。めせれぼ
「ああ、魔法使いの爺さんが、お前なら大丈夫だと言うからっ! 」
私の言葉に兄がコクコクと頷いた。
「いやいや、お前らなぁぁ! 」
魔法使いの爺さんがちょっと慌てて叫んだ。
「私自身も逆にそれでお前は相手の隙をついて攻撃すると思っていたからな。苦戦していると聞いたので驚いたが、逆にこれで良かっただろう」
私がにっこり笑った。
そうしたら、颯真の顔が少し和らいだ。
「糞っ! 奴もクオとヒガバリの血混ざりだったのに! 」
皇弟がそう悔しそうに叫んだ。
「いや、蹴っただろ? 盾にしたじゃん! 」
兄が鋭い突込みをした。
「お前らに言われたくないわっ! 」
皇弟が叫んだ。
私はその前の皇弟の言ったクオとヒガバリの血混ざりと言う言葉に驚いていた。
となると、颯真にぶつける為に連れてきたというなら、颯真も同じって事か。
道理で颯真を警戒するはずだ。
「うえっ! あれでも食べるんだ! 」
優斗が呻いた。
颯真が真っ二つにした男を小鬼たちが食べ出していた。
真っ黒な面は闇のように見えるんだが、それをパキパキと食べている。
あの面って食べれるんだとか、逆に驚いた。
「やれ! この怪物どもが本当の力を知る前にやるのだ! 」
皇弟が叫んだ。
凄まじい勢いでジャンプしてお堂の上から何者かが斬りこんできた。
人間の姿をしているが、凄いジャンプ力だ。
二つに割れた本堂の屋根の上から次々と飛び降りながら上段で斬りつけてくる。
動きは完全に颯真みたいなものだ。
異様な強さを持っている。
下側からも何者かが数名走って信徒の隙間をぬって向かってきた。
それは颯真が相手にしていた。
なので私達は本堂の上から斬りつけてきた方と向き合った。
「<拘束>! 」
私がかろうじて使えるスキルを使った。
兄がブースターをかけてくれないので、一人しかその場に転がらない。
「スキル<上段回し蹴り>! 」
兄が上段の刀で斬りつけられたのを避けて、相手の側頭部を蹴った。
いつの間に、そんなスキルをと思うが、普段から兄の組み手を見ているが、スキルとして発動させると、兄の蹴り足がほぼ見えない。
襲ってきた相手の首は兄の回し蹴りで折れているが、それでも致命傷にならないらしくて曲がった首のまま兄に攻撃をしてきた。
「スキル<中段蹴り>! <蹴り>! <蹴り>! <蹴り>! こいつぅぅぅぅ、死なねぇじゃん! 」
兄が癇癪が爆発したように蹴りを続けるがぐちゃぐちゃに折れているのに動いていた。
「スキル<急所撃ち>! 」
などと優斗がいつの間にか新しいスキルを使った弓で襲ってきた連中の心臓を次々とぶち抜くが全然止まらない。
「河瀬さんっ! 岩田さんっ! 」
一真が叫ぶ。
お堂の奥から、僧服を着た、ごついおっさんが二人走ってくる。
そういや、浄化を今度かけてくれとか言ってたなと思いだした。
新しいゾンビを準備していたらしい。
それで心臓に矢が刺さっている男たちの持っている刀を跳ね飛ばしたまでは良かったが、兄と同じでボコボコになりながら、殴り合いしていた。
ゾンビ対不死の男の戦いは、首が曲がったりしながらカオスになっていた。
「<拘束>! 」
兄が折れても折れても攻撃してくる相手を見て悲鳴を上げたから、私が追加で拘束をかけた。
相手は動かなくなって、そのまま倒れた。
「こいつら、拘束の方が良いな」
兄がそう深く息を吐いた。
その瞬間、突然に兄が大聖聖女如来のお堂まで蹴り飛ばされた。
お堂の扉は兄が叩きつけられて完全に粉砕された。
あの兄を蹴り飛ばすとか、凄い。
純粋に私はそれに驚いていた。
そして、その蹴りつけた皇弟がいつの間にか、すぐ目の前に来ていた。
相手の狙いは……糞っ、私かっ!
スキル<拘束>が間に合わない!
「自分の力を理解する前に死ね! 」
皇弟がそう叫んで、いつの間に颯真が持っていたものと同じ七枝剣を持っていた!
まさか、兄よりもあいつらにとって、私の方が脅威だとは!
完全に読みが外れた!
兄を蹴り飛ばすような瞬時の動きで私を七枝剣で斬りつけてきた。
とても、間に合わない。
颯真もこちらに気が付いて、こっちに向かおうとしたが距離があり過ぎる。
最後の瞬間に思ったのは、どうか、私も不死でありますようにだった。
だが、七枝剣で私に斬りつけてきた瞬間、光の盾が現れて、それを防いだ。
誰かが私と皇弟の間に立っている。
しかも、皇弟の攻撃を誰かは防いだのだ。
「え? 」
「は? 」
私も驚いていたが、一真と一真の父の副住職の衝撃が凄かった。
その盾は円形の盾で、ちらと見た感じが八咫鏡に似ていた。
それを持っていて、七枝剣を受けたのは、一真の祖父の住職さんだった。
「皇帝はこちらを攻撃しろと言ったのか? 」
そう一真の祖父の住職さんがそう厳しい顔で告げた。
「やはり、お前か! お前だったのか! 」
盾で七枝剣を受けながら、相手の隙を見て独特のローキックで足を刈り倒した。
皇弟がそれで転げるが転がりながら七枝剣を構え直す。
それで、私が唖然とした。
ローキックと言うよりは相手と競り合い固定しながら柔道の崩しを入れて相手の足を刈るように蹴って倒す独特の蹴り方に覚えがあった。
大聖聖女如来の御堂から這い出してきた兄もその技を見て唖然としている。
「お兄ちゃん? 」
「兄貴? 」
私と大翔兄の言葉が続く。
それで、一真達が固まっていた。
その一真の祖父の住職の動きは間違いなく亡くなった長兄のものだったのだ。




