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自称勇者 第十三部 第二章

 色んなところで大聖寺の宣伝をしながら、私は大聖聖女如来の聖女として、そして兄は御使いとしてやった事が裏目に出た。


 まさか、今まで助けた避難場所から、こちらに移動が起きると思わなかった。


 確かに、支援物資をテレポートで見られないように運んでいたのだが、それを向こうは物資が豊富なのだと思ったのかもしれない。


 それ以上に一真の父親の副住職の言う信仰するものは、やはりその神仏に縋ると言う事を私達は甘く見ていたのかもしれない。


 たしかに、自分の信じる神仏のそばにいたいと言う気持ちあり得るのだろう。


 そう言う意味ではやりやすいように大聖寺の大聖聖女如来を盾に動いたのは少し軽率だったかもしれない。


 それで、私が部屋から服を着替えてのろのろと出たら、兄達は廊下で待っていた。


 別に、私なんか待たなくてもいいのに。


「困ったな。やれやれ。また支援物資を運んでのテレポートか? 」


 兄が廊下で思わず呟いた。


「テレポート? 」


 そう部屋の中から、父の声がした。


「は? 」


 母の啞然とした声もする。


「あーあー」


 私が小声で兄に突っ込んだ。


 兄が困り切った顔をした。


 私が肘で兄を突く。


 それで兄が仕方ないという顔して、部屋の父母にそっと襖を開けて顔を見せる。


「ごめん、寝ぼけてた」


 そう兄が頭を下げた。


「なんだ、そうか……」


「それなら良いんだ」


 父母の声が聞こえた。


 昔から心配ばかりさせているから、流石に申し訳ない。


「とりあえず、話をする場所くらいはあるんだろ? 」


 私がそう一真に聞いた。


「ああ、とりあえず、寺の会議室に使ってる場所がある」


 そう一真が答えた。


 普通はそこまでは寺には無いが、独立の宗教法人だからあるのだろう。


 まあ、信徒が多いからそうなったのだろうが。


「あれ? やっぱり颯真いないよ? 」


 そう優斗が颯真がいるはずの部屋の襖を開けて首を傾げる。


「トイレじゃないの? 」


 一真が苦笑した。


「一時間くらい俺達はここでうろうろしていただろ」


 優斗がそう訝し気な顔をした。


「長いうんこじゃないのか? 」


 魔法使いの爺さんが爺さんらしい突込みをした。


 その瞬間、私と兄の顔がこわばった。


「まさか、信徒だと言う事でそのまま寺の柵の中に全部来た信徒を入れたのか? 」


 私が突っ込んだ。


 もともと大聖寺は大きな寺で観光寺でもある。


 それゆえに、大した市でもないここでも近隣の県から多少の観光客と信徒が集まるので大きな駐車場を隣接していた。


 それは全て寺の法人の持ち物なので、今回の混乱を防ぐために、もともとあった勝手によそ者が駐車場として使えないようにする為に作った柵と合わせて広大な寺の土地をぐるっと回るように柵で補強して囲っていた。


 寺領の中に修行寺なもんで小さな山もあり、そこで滝行とかも出来るようになっていたが、そのために全体で見ると、本当にかなりの広さがある。


 そこに、逃げてきた信徒達を兄がテレポートで持ってきたテントなどに住まわせていた。

 

 さらに、市の建設のレンタル業者とかが信徒だった為に、プレハブとか追加で建てて臨時用のトイレとかも併設して寺の柵の中で生活できるようにしていた。


 洗脳したので、自衛隊の災難の時のお風呂に入れる施設や炊飯できる施設も自衛隊に併設してもらい、まあ県でも洗脳で認定させた屈指の巨大な避難所になっていた。


 だから、あり得るのだ。


 敵が一緒に新しい信徒とともに入って来てもおかしくない。


 特に信徒として互いに気遣って生活しているのだから、余計に新しく来たものが信徒だと言えば混ざりやすい。


 連中の浸透戦の戦術を考えれば、あってもおかしくない話なのだ。


「マジか? 」


 魔法使いの爺さんの顔が動揺している。


 私と兄の心を読んだらしい。


「そもそも、そういう索敵はあんたがやっているんじゃないのか? 」

 

 兄が手厳しく魔法使いの爺さんを問いただす。


 まあ、寝たふりをバラされたんで、ちょっと仕返しの意味もあるのかもしれんが。


「え? どうゆう事? 」


「何かあるの? 」


 優斗と一真がそれで急に不安な顔になった。


「いや、分からん。分からんけど。颯真が一番、そういうのが混ざってる時に敏感だからな。今までを見る限りはそうだった」


 私がそう説明した。


「彼らの中に変なのが混ざっているって事か? 」


 一真の父の副住職が動揺している。


 この分だとあっさり受け入れてしまったのは一真の父の副住職らしい。


「いや、入ってくるときにはちゃんと索敵をしたはずだ」


 魔法使いの爺さんが動揺しながらも答えた。


「いや、だからよそ者が混ざるときってのは新しく来た人かってんで、全体の今までいた信徒たちの注意が緩和される。別に出入り口から入らなくても良い。これだけ広大な寺なんだから、柵を乗り越えて反対側から入るのだって楽なはずだ。普段なら知らない人が来たって思うかもしれんけど、正面から新しい人を大量に入れていたら、それは無くなる」


「まずいな。信徒が敵が戦う時の肉の壁になる。それだけでなく、颯真が<忘却の剣>で斬れば誤魔化せるだろうが、寺で颯真が信徒ごと斬ってたら、信徒を避難させている意味も無い」


 私と兄の言葉で、一真の父の副住職が真っ青になった。


「颯真はまずいな。あいつは容赦ないから」


 優斗が慌てた。


「とにかく、探そう。どこに行ったから分からないと話にならない。魔法使いの爺さん、頼むから調べてくれ」


「分かった」


 兄が慌てて言うと、魔法使いの爺さんが頷いた。 


 

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