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自称勇者 第十二部 第一章

 兄とともにテレポートを繰り返して、教化と援助物資を拡げていく。

 

 最初は渋い顔をしていた一真の父の副住職も次々と増える檀信徒に今は笑顔になった。

  

 何しろ、県だけでなく県外にも教化を拡げて行っている。


 颯真はこないだの疑念を持ったような行動はすっかり無くなって、私と兄の頼みで父母を守って貰っている。


 それであちこちを回っても安心できる。


 我々兄妹は、なんだかんだ言われても父母はあの二人しかいないのだ。


 例え人間でないとしても。


 まあ、工面などは話半分なんだけど。


 ようやく、戻ってきたら、すでに暗くなっていた。


「ご苦労さん。で、どうなん? 」


 一真が聞いてきた。


「とりあえず、四方の隣県も大体は助けれれそうだ」


「ふふふふふ、そうすると更なる信徒の拡大か……」


 などと背後で一真の父の副住職が喜ぶから、どんな顔をしていいやら。

 

 一真も少し恥ずかしそうだ。


「とりあえず、うちにチョッカイは無いか? 」


 颯真も来たのでそう聞いた。


「全く無いな」


「まあ、同じクオの一つが拘束されていればな」


 そう魔法使いの爺さんが優斗と来て苦笑した。


「別に、そんなの関係ないよで来そうだがな」


「私もそう思う。あまり、情とか無さそうだし」


 兄と私は同意見だった。


 大聖聖女如来の御堂に転がしておくのも何なので、仏像のようにカタストロフィさんと業とやらを脇侍のように並べていた。


 最初はそのままにしようと思ったが、カタストロフィさんは倉吉先輩の姿なのでセーラー服である。


 流石に外聞が悪いので、お地蔵さんに涎掛けをかけるように大量に着せて分からないようにしている。


「一応、倉吉先輩の母親が相談に来たので、うちの寺の被災地の救済で手伝ってもらってると嘘ついて安心してもらった」


「ほほう」


 一真は流石僧侶の資格があるだけあって、そういう配慮が出来るのが素晴らしい。


 正直、親は心配しているだろうなと少しだが、倉吉先輩に関しては心配していた。


 中身のカタストロフィさんとかはどうでも良いのだが。


「どうなんだろう。分離できないのかな……」


「分からんな」


 一真の提案は私も考えていたが、何しろどうやっていいかわからん。


「実はなんとなく当てはあるんだがな。もう会えないけど……」


 兄がぽつりとそう話す。


「? 兄の事か? 生きているとは言っていたが? 」


「いや違う。殴っちゃった人……と言うか女神さん? 」


 兄がそう苦笑した。


「まあ、会いに来ないわな。無茶苦茶キレてたらしいし……」


「出鼻で殴られたわけだし」


「いや、何か話しかけ方がイラっとしてだな」


「それは自分達も相手と話すときに良く考えた方が良いと思うぞ」


 魔法使いの爺さんが厳しい意見を言いやがる。


「仕方あるまい。考えてもああだから」


「まあ、そうだよな」


 私の言葉に兄が深く頷いた。


「女神が何か知ってると言う事ですか? 」


 優斗がそう兄に聞いてきた。


「多分、転移させて、加護を与えたらとか言う話だったが、そんなのじゃ無理って言う皇弟の話が本当なら、何かやってるだろう」


「それは言えてるな。とにかく、癖が悪い女神と言うのは皆が知っている話だし」


 兄の言葉に魔法使いの爺さんが同意する。


「とりあえず、皆のとこに現れたら聞いてくれ」


 私がそう頼む。


「いや、お前は聞けるんじゃないのか? 」


「兄に似ていると思ってるだろうから、来ないだろ」


 私の言葉に優斗がため息をついた。


「何だか、どうとも言えないような状況だな」


「それと、衛星放送とかどうなってんだ? 海外は? 」


「かなり侵入が始まっているな。何しろ、わしが見ても雰囲気がおかしい」


「外国人の様子がか? 」


「レポーターとかが片っ端から中身が違うと思う」


「なるほどな。マスコミとかメディアから侵入を始めているわけか」


「今のとこ、こっちはこないだの業とか言う奴から見ないがな」


「何か皇帝からの話があると騒いでなかったか? あの固まっている男は? わしはそれが気になるが? 」


 魔法使いの爺さんが心配そうに私に聞いた。


「いや、日本人の作法としては聞いてはいけないだろ」


「何でだよ」


「言ったでは無いか。執権北条時宗はモンゴルからの使者を片っ端から話も聞かずに斬ったと言うと」


「敵はモンゴルじゃないじゃん! 」


「敵は異世界の物だろ? 」


 優斗と一真が叫ぶ。


「いや、心構えとして日本人としては大切だろう。先人を貴ぶと考えればだな……」


「極端すぎるじゃろ。そもそも情報が少ないんじゃ。まずは全部聞いて見て見ないと分かるまい」


 魔法使いの爺さんがそう説得してきた。


「むむむ、確かにな……。では、はっきりと言おう。拘束を解くスキルらしいのが無いのだ」


「「「は? 」」」


「調べて見たんだが、解除とかそういうのが無くて……」


「なんでや! 」


「おかしいだろ? 」


 私の言葉に魔法使いの爺さんと一真が五月蝿いくらいに叫ぶ。


「いや、兄の俺からするとそうでもないんだ? 」


「え? 」


「は? 」


 兄の言葉で、魔法使いの爺さんと一真が唖然とした

 

 「つまり、妹は放置プレイが得意でな。嫌な奴は無茶苦茶した後にほったらかしだから……そういう性格が関係してるのなら、やはりあり得るわけだ」


「つ、使えねぇスキルだな? 」


「仕方あるまい。ゲロとか下痢とかだけではなく、調べて見たら、相手に辱めを与えるスキルばかりで、解毒も解除も無いのだ」


「試しにヒーリングを一か八かでかけて見るかとは話しているんだがな。適当にかけた場合のリスクが怖くて……」


 私と兄の言葉に魔法使いの爺さんとかが真っ暗な顔をした。

 


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