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自称勇者 第十部 第六章

 完全にオッドアイの自称皇弟の青年はブチキレていた。


 どうやら、からかい過ぎたようだ。


 こういう風にブチ切れて騒ぎ立てるほど困惑して発狂している奴を見るとついいろいろとやってしまうのは悲しいが乙女心と言うものらしい。


「いやいや、お前さんの乙女心はどうなってるの? 」


 魔法使いの爺さんが私の心を読んであきれ果てて震えてた。


 困ったもんである。


「いや、あんたの兄も妹と同じ方向で同じこと考えてるぞ。好きな子を虐めてしまう、わんぱくな男の子の心って何? それよりも、あれが好きなの? 」


 魔法使いの爺さんがそう兄にも突っ込んだ。


 やべぇな似たような事を兄も考えていたらしい。


「やっぱりなぁ! 自覚してやがったかぁぁぁ! とぼけた振りして、こっちをからかって笑ってたんだろう? そうだろうそうだろう! お前ら兄妹はずっとそれだ! 」


 オッドアイの自称皇弟の青年がブチキレて騒ぐ。


「いやいや、こんなものは思春期の子供にはよくある事では無いか」


「そうそう、そうやって大人になっていくんだ」


 私と兄がそう微笑んだ。


「お前ら千年以上生きてるだろうが……」


 オッドアイの自称皇弟の青年がそう恨めしそうに呟いた。


「ふふふふふふ、もし俺が1万年生きるなら、人間の年齢に合わせれば10歳あたりだぞ? 」


「なるほど、テキヤに昔いた、亀は千年生きるから得だよって言って売って、それがすぐに死んで文句言いに言ったら、それがちょうど千年だったんだよの精神だな」


「その通りだ」


 兄と私がそう混ぜっ返した。


「もういいよ。……兄上……ここで俺が殺すよ。こんなのどうしょうもないよ。……我慢できないや。何でこんなのがクオにいるんだよ。しかも、全然変わってないよ。……兄上。こいつら記憶を失ってもそのままの性格で前より質が悪いよ。我慢できないよ。兄上だって、こんな奴らは許せないだろう。……震えが止まらないよ。どうして、今度もまたこんな目に合うんだよ。ずっと会うたびにこれだ。こいつら皇帝に仕える気もないどころか、敬意も無いんだ。……こんな奴らに説得なんて無駄だよ。兄上が記憶消した気持ちは分かったけど、でもその結果、ケツを拭くのは俺だよ。……もう限界だよ……」


 そう呟きながら、涙を静かに流しながら、こちらにゆらゆらと近づいてくる。


 空気がやばい。


「「やっちゃった」」


 私と兄がいつものノリでてへぺろしてしまった。


 そしたら凄い勢いで風のような霊気のような何かがぶわっと拡がった。


「言わないことじゃない! 」


 颯真が<忘却の剣>を出した。


 それで一気にオッドアイの自称皇弟の青年に斬りつけに動いた。


 だが、その颯真の<忘却の剣>の袈裟斬りを平気でオッドアイの自称皇弟の青年は手でつかんで止めた。


 そして、<忘却の剣>を掴んだまま離さない。


「ははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは」


 オッドアイの自称皇弟の青年は涙を流しながら乾いた笑いを止めない。


 ひょっとしたら、過去に何かあったのかもしれない。


 心を壊してしまうような何かが……。


「いや、今やってんだろうがっ! 煽りまくってたろ? 何、兄妹で同じこと考えてんだよ! 」


 魔法使いの爺さんがそう突っ込んできた。

 

「やはり、兄も同じ結論か」 


「お前もか」


 私と兄が顔を見合わせてくすっと笑った。


「「ちっちゃい奴だな、お前」」


 二人でハモって同時に微笑んでオッドアイの自称皇弟の青年に話しかけた。


 その瞬間だ。


 何かの爆発が起こった。


 建物も何も崩れていく。


 大地が歪んだ。


 だが、私には兄と最後に同時に話しかけた時に、初めて颯真が凄い顔でこちらを見たのを見て驚いていた。


 あんなに驚くとは何があったのだろう。


 良く分からん奴だな。


 気が付いたら、私と兄と何と父母とポチまで遠く離れた島にいた。


 兄はあの瞬間に父母とポチをアポーツで引き寄せたらしい。

 

 父母も気絶して横たわっていた。


 ポチは目が覚めたらしく、嬉しそうにあたりを跳ね回っていた。


「おお、起きたか」


 そう兄が微笑んだ。


 兄はあちこちから資材と食料を集めていたようだ。


「ここは? 」


「わからん。どうやら爆発事故でもあったようだ。俺はその瞬間に逃げようと移動して、皆の事も心配したら全部、ここに現れた」


「瞬間的にテレポートとアポーツをしてしまったと言う事か? 」


「そうらしい」


「にしては、随分と資材とか食料とか集まっているな」


 目の前に、兄が集めたらしい缶詰だの食料と簡易でテントでも作れそうなくらいの青いビニールシートとか木材が山のようにあった。


「ううむ、海でいろいろと流れてきていてな? 」


「缶詰がか? 」


「漁船みたいなのが乗り上げていて、そこから持ってきた。米とかもあるぞ? 」


「それなら生活はしばらく大丈夫だな」


「ああ。とりあえず、ブルーシートで簡易の住処を作るから、手伝ってくれ」


「仕方あるまいな。それにしても颯真とかどうしたのだ? 」


「わからん。だが、いろいろと考えると、あの青年をからかい過ぎたのが悪かったようだな」


「確かに、反省せねばなるまいな」


 そう私は兄の言葉にうなずいた。


 世界はいつだって驚きに満ちている。


 そして、それが自らした事を顧みて、反省して成長に結びつけていくものなのだ。


 こうして、とりあえず、私と兄は家族で小島でキャンプ生活をすることになった。


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