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自称勇者 第十部 第五章

「人の言う話は聞かない。次々と脱線して別の話をする。平気で人を盾にする。トラブルを散々大きくしといて、しれっといつの間にか傍観者のポジションに立っている」


 オッドアイの自称皇弟の青年がそう淡々と話す。


「またしても、担任の先生とかの俺達の親への連絡を見通すとは……」


「過去など楽々と見えると言う事か……」


 私と兄が過去を見れるそのオッドアイの自称皇弟の青年の力に震える。


「いやいや、見てたら、そのまんまだぞ? 」


 魔法使いの爺さんがそう突っ込んできたが敢えて無視をした。


「いや、なんでやぁぁぁ? 」


 魔法使いの爺さんが私達の心を読んで絶叫した。


「全然変わっていないではないか」


「人はそうは変われるものでは無いぞ」


 そう私が寂しく微笑んだ。


「戦争だって無くならないしな」


 兄もぼそりと話す。


「いや、だから! お前らはクルトルバの民の7つの王家たるクオのものの一つクメンで人間ではないと何べん言えばいいんだ? 」


「「なんだ、その話は? 」」


 私と兄が不思議そうに聞いた。


「あぁああぁああぁぁああぁああぁああああああ!  イラつくっ! ちっとも変ってないっ! 人の話は聞いてるようで実は全く聞いていない! 話に乗ってきても適当で実は理解せずに形だけ付き合って話をしていたりする! そのくせ仕方ないと放置するとこっちの狙ってるものを横取りしたり碌な事をしないしっ! 」


「「てへぺろ」」


 私と兄が純粋な本心からのてへぺろをした。


「&%&%&%&%$%$$$$$$$##"#$$#$%%&''##$#&&%$%&&! 」


 オッドアイの自称皇弟の青年が何か意味不明の言葉で罵っている。


「いやいや、話し合いに来た相手を怒らせてどうするよ? 」


 魔法使いの爺さんがため息をついた。


 その瞬間に隙を見たのか、颯真が動こうとした。

 

 だが、それは信じがたい速度で同じように動いた兄に止められた。


 颯真が出そうとした<忘却の剣>を出す寸前に兄が颯真の手首を掴んで止めたのだ。


「なぜ、止める! 」


 颯真がぶっきらぼうに兄に言い放った。


「いやいや、さっきからずっと隙を伺っていただろう」


「いやいや、妙に同じ話を続けるなと思ったら」


 私が驚きのあまりに口に出た。


「いや、多分、こりゃ攻撃するなと思って見てたんだ」


「なるほどな」


「いや、同じ話を続けてるとかちゃんと理解してたんだ」


「いやいや、分かってるなら、もう少し話を考えてして欲しいのだけど」


 優斗と一真がそう苦言を呈してきた。


「いや、クルクルパーのクオカードとか言う異界からのもので皇弟とか自称する奴が、何か発狂してキレてるのを見たら嬉しくなってきてな」


「なんでや」


「意味が分からんわ」


「異世界の偉大な生命体が私の言葉で怒り狂ってるとか思うとほっこりしないか? 」


「悪役令嬢だ」


「本当だ。良くある悪役令嬢とは方向性が違うが、何か人が苦しんだりブチ切れたのを見て喜んでいるところが、確かに悪役令嬢っぽい」


 私の言葉で一真と優斗が納得する。


「そんな事よりも、止めろ! 剣をそのまま出すな! 」


 そう魔法使いの爺さんは爺さんで必死に颯真に声をかけていた。


 颯真は兄とギリギリと手首を掴みあってじりじりとオッドアイの自称皇弟の青年の方に近づいていた。


 やはり、単純な力の方は兄よりも颯真の方が上らしい。


 古流は指を相手の道着にひっかけて止めたり、ツボをついて指を抉ったりとかいろいろと外道技があるので、兄は握力を特に鍛えていたからだろう。


「まあまあ、颯真君止まりなさい。まだ彼を完全に敵に回すのは良くない」


 そう、兄が苦笑しながら告げた。


「いや、十二分に敵に回していると思うが……」


「その通り」


「ブチ切れてるやん」


 魔法使いの爺さんの言葉に一真と優斗が同意した。


「$$$$###%%%&$$#$%%! 」


 まだ、オッドアイの自称皇弟の青年は叫び続けていた。


 意味不明の言葉だが、きっとクルクルパーのクオカードの言語なのだろう。


「いやいや、クルトルバのクオだろ? 」


 魔法使いの爺さんがまた心を読んで突っ込んできた。


「そんなの良く覚えれるな」


「覚えろよ。わしのような年寄りですら覚えたのに」


「まあ、与太話だと思ってるしな」


「まあ、確かにな。だが、もしもと言う事もあるから、颯真君を止めているわけだ」


 兄がグググと颯真の手首を握りながら答える。


 颯真の手首のツボを押して捻りを入れてコントロールしているようだ。


「あんた、やっぱりやるな。こうやって抑え込まれたのは初めてだ」


「いやいや、やはりナチュラルに強いんだな。力の入れ方とか抜き方はあまり慣れていないようだ。それで俺が何とか抑えれているわけだし」


「なるほど、そういう細かい技を覚えたら良いと言う事か? 」


「いや、教えないけどな……」


「「……」」


 兄と颯真が睨みあう。


「……なんで? 」


「いや、抑えれなくなるじゃん。これ以上君が強くなると」


「そこは教えるのが王道ではないのか? 」


 颯真と兄が睨みあいながらさらに力を入れて抑えあいになっていた。


「あああああああああああ、私の為に、兄と颯真がっ! 私の為に争わないでぇぇぇぇ! 」


 私が二人のとこに行って、目をウルウルさせて叫んだ。


「「は? 」」


 颯真と兄が唖然として力比べみたいになっていたのを止めた。


「ああ、すまん。私も転勤族でずっとそういうのって経験無かったから、私を巡って争いあったら、こうなのかなと思ったら、つい言ってしまった。まあ、女の子の夢だな」


 そう私が少し赤くなって答えた。


「馬鹿じゃね? 」


「本当に悪役令嬢の思考じゃんか」


「切ない、女心じゃの」


 一真と優斗の突っ込みに悲しそうな目をして魔法使いの爺さんが私を見た。


 それでちょっと、マジて落ち込んだ。


「いやいや、こんなのが人生に一度くらいあっても良いじゃないか! 私の今までの人生は変なのしか関わってこないし! 」


「それはお前の性格のせいじゃろ」


「やかましいわ! 」


 私が魔法使いの爺さんに叫んだ。


 その瞬間、まるで地面が地震のように上下した。


 凄まじい蜘蛛の巣のように寺のコンクリの境内にひびが入る。


 見たら、オッドアイの自称皇弟の青年が震脚を地面にしたらしい。


 完全に寺の地面のコンクリは粉砕されて崩れ落ちていた。


 ブチキレたらしい。

 

 




 





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