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自称勇者 幕間 第五章

「で、王宮から『これは凄い素質だ』って言われて騒がれて……今考えると鑑定でもしていたのかもしれない。それで誰か師をつけなさいって女神が話して、剣聖アロウスに師事するように言われたんだ」


「上手くいかなかったろ」


「当たり」


 颯真の言葉に魔法使いの爺さんが突っ込んだら颯真が苦笑した。


「偏屈だからな」


「そうなんだ」


「エルフ族自体が難しい性格の上に、混じっているから余計に。混じったばかりにエルフ族から弾かれて、人族でも浮いている状態だったし。女神が守って無かったら、ら王宮から追放されていたような人だ。まあ、実際に最初に俺じゃなくて師匠がこちらの世界に来るはずだったらしいんだが、混じったエルフが分離できないとかで、仕方ないって感じで俺になったとか言ってたわ」


 颯真がそう苦笑した。


「自分の技とか教えないで隠すだろ」


「師匠はあんたと同世代か少し遅れて産まれた世代あたりで、技は盗めって言うんだ」


「なるほど職人気質なんだな」


「空手の爺ちゃん先生とかの少し前の世代だな」


 私と兄が感心して頷いた。


「いや、単に誰も信じて無いから、教えたばかりに自分が負けたら困るとか凄い理由だった」


「誰も信じれなくなっているからな。気持ちはは分かるわ」


 颯真の言葉にしみじみと魔法使いの爺さんが頷く。


「でも、その人エルフと混じってるだけあってハンサムなんじゃないの? 」


「まあまあハンサムだったな。渋い系だった」


 穂佳(ほのか)が凄く興味津々だった。


 顔しか興味が無いのだろうか?


「混ざったからと言って上手くいくとは限らんからな。まあ、上手くいった方だったんだ」


「いや、何で俺を見るんだ? 」


 優斗が私に文句を言う。


「いや、普通に感想なんだが……」


「妹と俺をちらっと見ただろう? 」


「たまたまなんだが」


「嘘くせぇ」


 優斗が吐き捨てるように呟いた。

 

 いやいや、本当にたまたまなんだが……。


 参ったな。


「まあ、あれだ。人間は容姿では決まらないよ」


「貴方に言われてもムカつくんだが……」


 兄が横からフォローのつもりが優斗がイラっとしている。


「まあ、そんなわけでその人から習ったんだが、とにかく強かったな。あの人が実は怪物と言われても不思議でないくらいだ」


「エルフ混じりだからな。本当は師匠の剣聖アウロスよりも自力の本来の才能はお前の方が強いと思う。お前の師匠は偶然の産物だろ。そもそも転移で混ざった場合は数倍の力を持つのは言われてるからな。だから、あの女神は混ざる様に転移させて上手くいかないで召喚勇者の数だけ増えてるとも言われてた」


「なんというか、聞けば聞くほど女神は行き当たりばったりで好感が持てるな」


「浅野兄妹的には好きなタイプだな。後は野となれ花となれって奴だ」


「いや、それはおかしい」


「つくづく、この兄妹は見た目と中身が違うわ」


 一真と優斗が私と兄に突っ込んだ。


「いや、神様が完璧なら戦争なんて起こらないだろ。現実は意外と適当なんだよ」


「案外、凄い思慮深いと言う評判の奴が運だけの適当だったりするものだから」


「いや、そんな感想は無いと思うぞ」


 魔法使いの爺さんが呆れたように呟いた。


「それよりもだ。ちょっと気になったのだが、つまり後続も来る可能性があるという事か? 」


 私がそれが気になって聞いた。


「あり得るな」


「あくまで最初の部隊って感じだろうし」


 颯真と魔法使いの爺さんが答える。


「大丈夫なのか? うちのグループだけでこうだが……。そもそも颯真みたいに<忘却の剣>とかあるのかな? 」


「いや、三本はあったはずだ」


「三本も? 」


「確か、こっちで活動用で作ったって言われてたからな。やってた魔法使いは精魂使い果たして亡くなったから、まだ別で来る奴が持ってくる可能性はあるな」


「それって、大丈夫なの? 」


「そんな状態なら、別に私が仲間になってもいいんじゃないの? 」


 穂佳(ほのか)がにっこり笑った。


「おいおい! どんな結論だよ! 」


 優斗が叫ぶ。


「でも、別にまだまだ増えるんでしょ。聖女様だって……」


「いや、増えると言うよりは……ええと、本当に危ないんだよ……」


 そう優斗が必死だ。


 まあ、本当に人が死ぬからな。


 聖女の懺悔の自殺も実は洗脳の強制だし。


「何が危ないの? 兄貴が言う怖い先輩だっていないし……大翔さんが話してた話だって、大げさだし。そんなに簡単に人殺しとか出来るわけないじゃない」


 そう穂佳(ほのか)が笑った。


 ううむ。


 全員が微妙な顔をした。


 存在が完全に消えてしまうのが本当にタチが悪い。


 記録も記憶も残っていない奴の存在を説明するのは難しい。


 そして、皆が人殺しである。


「いやだから。どう言ったらいいんだ? 」


 優斗がちらちらとこちらを見た。


「いや、私の聖女の懺悔で相手は自殺している。世間はそれを賞賛したし、亡くなった人も罪を償ったと賞賛されているけど、実際には単なる人殺しだからな」


 仕方ないので私がそう穂佳(ほのか)に教えてあげる。


「でも、悪人だから仕方ないよね」


「まあ、そうだな」


「その通りだな」


 穂佳(ほのか)の一言で私と兄が同意した。


「いや、人殺しは駄目だろう? 」


 優斗が叫ぶ。


 だが、お前も弓で殺しまくっていたではないか。


「魔物を殺しただけだからな」


 颯真がそう反論する。


「その通りだ」


 魔法使いの爺さんも頷いた。


「いや、それじゃあ、このヤバさが説明できないじゃん! 」


 優斗が叫ぶ。


「まあ、命がけではあるぞ? 」


 私がフォローのつもりで話す。


 ちょっと、殺人の共犯者がこれ以上増えるのも困るなぁと思ったからだ。


「それにしても、後続が来るのか」


 ぽつりと兄が呟いた。

 

 それは意外と一番大事な話であったりした。 


 優斗が頼み込んで、颯真にパーティーメンバーにしないように頼んでいたが、穂佳(ほのか)は納得していないで抵抗していた。


 こうして、何の結論もでないまま、時間の無駄な話は終わった。


 

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