自称勇者 幕間 第二章
「わあ、大翔さんだっ! 」
などと穂佳が兄に飛びつく。
しかも、その巨乳を思う存分に兄の腕に当てていた。
おおおい!
本当に中学三年生なのか。
確かにクォーターだけあって、大人びているし、クォーターの白人の血のせいか肌も白いし、この色香は普通じゃないなと唖然として見ていた。
「中学三年生だよな」
兄がそう優斗に聞いた。
そうしたら、優斗が頷いた。
「もう少し、女の子としてスキンシップを抑えた方が良いのではないか」
などと兄が穂佳に注意した。
だが、兄が鼻の下を伸ばしそうになったのを必死に止めているのを見てしまった。
「おい……」
「いやいや、すまん。一応、大学でも俺は有名人だし。ここで高校生とかならともかく、中学生にと言うのは年齢差を考えるとまずい……」
兄が動揺していた。
所詮、女の子には誘っておいて割り勘で嫌われて、そんな事を言ってしまうほど、意外と女性関係は初心なのが兄である。
「そもそも、高校生ならともかくってなんだ? 高校生でも駄目だろうが……」
「いや、でも、そのくらいなら世間ではあるだろう? 」
「あるのか? 」
私が優斗とかに聞く。
「まあ、高校生なら普通かもしれんな」
「普通にそういうのはあるだろうが、全然俺達自身は縁が無いしな。そもそも仏教では女犯と言ってだな。戒律にもあるし……」
「いや、お前、戒律で誤魔化してるだけじゃん」
「すでに僧侶だしな。こんな若くして四度加行とか終わらせている奴はおらんし」
「まあ、それはそうだな……」
などとごちゃごちゃと言い合いが酷くなってきた。
それで穂佳は私に責められている兄ではなく、今度は颯真のとこに行く。
「あああ! 貴方が颯真さんですね? 」
とか言いながら颯真に抱き着こうとしたら避けられた。
おおおおお?
意外とそう言うのにはのらんのかな?
などと私が興味深く見た。
「なんだ、颯真君はそういう真面目なタイプなんだ」
そう兄が話を逸らす為に話す。
「いや、異世界で、こういうのは良くあって……」
「ああ、病気持ちな……」
「そーそー。若いのでこういう色気のある子は大体やばいんだ」
「あちらじゃ、食べれない女の子はそういう仕事して稼ぐからな……」
颯真と魔法使いの爺さんが頷く。
「いや、ちょっと失礼なんですけど……」
「いや、だから、お嬢ちゃんがそう言うのと言いたいのではなくて、危機管理として自然と身についてしまっていると言う事じゃろ」
「そう言う事だ」
穂佳がちょっとムッとすると、魔法使いの爺さんがフォローを入れて颯真が頷いた。
「こっちなら、その手の病気も治るんじゃないの? 」
兄がまた余計な話をした。
「いや、穴を通って身体の中に入ってくる奴がいてな。それに当たるとほぼ地獄になる。身体の中を逃げ回るからな」
「ちょっと大きめのアニサキスみたいなやつだ。それが尿道を通して身体に入ると厄介で。魔法で殺せるんだが、身体を逃げ回るんだ」
「仲介している女の子には特に何も悪さしなくて寄生してるだけで、男の身体に入った途端に金玉に入り込んで巣を作って繁殖してな。随分と教会とかで駆除したんだが、女の子には害が無いので、全く気にしない女の子が多くてな。男の方が必死に駆虫しようとしても女の子の方がそう言うのは協力しなくて随分と大変な事になってたんだ」
「おい……女の子の前でする話か? 何でそんな話をするんだ? 」
私が流石に少しキレて突っ込んだ。
「いや、だから、悪気はないと言いたいのだ」
「まあ、向こうで生活すると身につくあるあるじゃな」
「それにしたら、爺さんは全然気にして無くて穂佳にデレてたけど」
一真が魔法使いの爺さんに突っ込んだ。
「ああ、わしくらい老人になると寄生せんし」
「枯れると寄ってこないんだ」
「「枯れてるんだ」」
一真と優斗が呆れたように突っ込んだ。
「いや、120歳超えてんだし……」
「まあ、普通だよな」
「……なんで、こんな下品な話に……」
私があきれ果てた顔をした。
「そう言えば、お前の師は剣聖アロウスだったな」
「そうだ」
「ならば仕方あるまいよ」
「まあな」
「誰、その剣聖アロウスって……」
「向こうで無茶苦茶有名な剣聖でな……剣技においては並ぶものなしと言われておった」
「実際に無茶苦茶強かったしな。未だに俺は一本取ったこと無かった」
颯真がそう言うという事は相当な達人だという事だ。
「あの颯真君の異常な強さで? 」
「ああ、戻る前日に今度こそと戦ったが負けた」
「「嘘」」
私と兄が驚いた。
何しろ、私も空手を随分やっていて柔道もやってるし、兄なんかも古流もやってた空手の爺さん先生の影響で、古流の武術……剣術もあるが、習っていた経験からも異常な技量を颯真が持っているのが分かるからだ。
非凡な才能と異常な能力が補佐した怪物の中の怪物の腕前の颯真が勝てないとは……。
「俺らからしても信じられんな」
優斗がそうため息ついた。
「何しろ、古龍の片目のレッドドラゴンを一人で討伐するほどの人物だからな。しかも80歳でだから」
「エルフの血が混じってて長命なんだ」
「「エルフ」」
私と兄が食いついた。
「それ設定じゃないよね。話を示し合わせた雰囲気も無いし……じゃあ、本当に異世界にいたの? 」
などと穂佳が少し真面目に驚いた。
いや、最初からそういう話を聞いていたのではないのかと……。
「え? 信じて無かったの? 」
優斗が驚いた。
「いや、兄貴のスマホの画像を見て恰好良いと思っただけだし」
などと正直に穂佳が答える。
「いや、ヤバい話に巻き込まれたって言っただろ? 」
「ヤバい話って言っても、兄貴が良く怖い先輩の話とかするけど。兄貴と付き合っている怖い先輩なんて友達とか詳しい人にその名前を聞いても誰も知らないって言ってたよ。だから、兄貴のいつもの大げさな話だと思ってた」
そう穂佳が正直に話す。
「えええと……」
優斗と一真が慌てて顔を見合わせる。
まあ、わかるわかる。
その怖い先輩は颯真が全部殺して、小鬼が食べちゃったとか妹に言えないわな。
「颯真君が全部殺したらしいけどな……<忘却の剣>とか言ってそれで殺されると皆の記憶から全部消えるだけでなく、全ての書類や写真とかからも消えて全てのいた存在を示すものが消えて最初からいなかった事になるんだそうな」
兄がそうストレートに話した。
「え? 」
どうやら、そこまで優斗は話していなかったらしい。
まあ、自分の弓による殺人事件まで話すことになるからな。
そら、言えないか。
本当に、高校生の持つ秘密じゃないよな。
女神の力か知らないけど、殺人と証拠隠滅の話だし。
まともな話とは言えない。
そう言えば、確かに人を殺すのに関わっていて、それで精神的に平気って言うのはちょっとおかしい気がするが……まあ、私達も同じだが……罪悪感が無い……。
などと、私が心で思ったら、魔法使いの爺さんが少し深刻そうな顔で私をじっと見ていた。
まだ、連中の仲間だの王族だのを気にしているのだろうか。
以外と繊細な心を持っているのだな。
と思ったら、突っ込みたそうな顔で魔法使いの爺さんがこちらを見てため息をついていた。




