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自称勇者 第二十一部 第二章

「それよりも、あれを持ってきてください」


 そう女神が近くの神殿の女官に告げた。


「わかりました」


 そう言われた女官は跪いて命令を受けると、別室に走る。


「で、どうするんじゃ? 軍隊が廃城に攻撃に行ったが、われらも同行するのか? 」


 魔法使いの爺さんが聞く。


 まあ、こんな所で剣聖アウロスと戦えば、激しいゲリラ戦になる。


 平気で人質を取るらしいし、相手は姿を見せないで戦うという、どこが剣聖なのか理解に苦しむ攻撃が得意な男だ。


「それに関しては策があります」


 そう女神が厳かに告げた。


 そうしたら、リヤカーみたいなものに何か大量に積んで女官と神官が持ってきた。


 これが秘策? 


 単なる旗に見えるけど……。


「おい! 」


 魔法使いの爺さんが旗を持ち上げて騒ぐ。


 日本語が言語のはずなのに文字が違うので読めない。


 のちに聞いた話だと日本語をそのまま入れたかったのだが、同じ漢字で幾通りも違う意味と読み方が違うという、外国人が日本語を学ぶときにあまりの難しさで震えるような部分が、やはり難しかったらしくて導入できず、仕方なしでローマ字を変形させたとか。


 ただ、そのローマ字も微妙な字なので良く分かりにくいのだが……。


「河村颯真はここにいる! ってなんだ? 」


「は? 」


「ええ? 」


 魔法使いの爺さんの叫ぶ言葉にドン引きした。


「廃城から、この城に来る途中に緩やかだけど大きな丘があります。そこで颯真が旗を大量に立てて剣聖アウロスをおびき寄せます。丘で見通しも良いので、そこなら剣聖アウロスは姿を隠せないはず」


 などと女神が真顔で話す。


 いや、こいつ馬鹿じゃね? 


「お前、自分が不利なのに、わざわざ見通しのいい丘の上に剣聖アウロスが戦いに来るとでも本気で思っているのか? 」


 私が突っ込んだ。


 大翔兄も一真も優斗も同意見だ。


「いや、だから、旗に卑怯者の剣聖アウロス! とかビビったか剣聖アウロス! とか大量に準備してますから」


「いやいや、正気か? 」


 私の女神への突っ込みが止まらない。


「さすがに、これはちょっと……」


「そうだな」


 倉吉先輩が呟くと颯真が同意した。


「えええええええええええ? 昔の勇者颯真なら、これで引き受けてくれたのに」


 衝撃を受けたような顔で女神の顔が固まる。


「……こんな馬鹿な話で今までは受けていたのか? 」


 私が颯真に真顔で聞いた。


「いや、まあ……面倒くさいし、文句言うと五月蠅いから……だが、これはちょっとな……」


「うっそ! 知恵がついてりゅううううぅぅぅ! 」


 颯真の言葉を女神が酷い言い草で貶す。


「お、お前……」


「ひ、日葵……」


 一真と優斗が女神に突っ込んだ。


「待て待て! 私の名前でなぜその女神を呼ぶ? 」


 私がそれで真顔で突っ込んだ。


「いや、お前の完成形だろ? 」


「お前じゃん」


「別人格だと言っておろうが! 」


 私の怒りが止まらない。


「嘘っ! 困るんだけど! 前は勇者ヒ〇メルならそうしたって言ったらやってくれたのに……」


 女神が焦りまくっている。

 

「えええ? そんな事言われてやってたの? 」


 いや、狂ってるだろ、こいつ。


「そういう事を言うから、ああ、この女神とは話しても駄目だなって思って……。言う事が意味不明だしな……」


「日葵ぃぃ! 」


「ふざけんなよ、日葵ぃぃ! 」


「こいつは私じゃねぇわぁぁぁ! 」


「どうしょう。このままだと、剣聖アウロスが王城に来てしまう。いくら私の用意した傭兵や国軍や冒険者からなる軍隊でも止めれないし、そもそも全部スルーしちゃうでしょ。ここに颯真がいると思ったら、何をするかわかんないし……」


「ちょっと! 何で颯真が全部かぶらなきゃいけないの? 」


 倉吉先輩が怒った。


 幼馴染って言うよりは、やっぱり好きなのかなと思うけど、それはどうでもいいや。


「戦争なんだろ? 」


 大翔兄がちょっとぶっそうなことを言った。


「いや、多分。剣聖アウロスはそういうのは興味ない。単に俺を殺したいだけだから。それで向こうもそれを利用して担ぎ出したんだろ」


 颯真がさらに物騒な話をする。


 変な奴に関わるとどれだけ大変かわかる。


 と言うか、これ剣聖アウロスを排除するために、わざと女神が颯真を弟子にさせていたな。


 間違いない。


 私でも剣聖アウロスを排除すると決めたら同じことをする。


 クオの血が混ざったヒガバリとかいう勇者で最強のカードである颯真が手に入ったと思ったんだろう。


 最初から相当厄介でえげつなくて、でも、剣聖として処遇していたのは、造反を恐れていたのは間違いないし。


 本当に良かったと思ったんだろうな、颯真がこちらに来て。


 となるとだ……。


「いや、あんた。颯真がその丘に行かないとって騒いでるってことは、そこに剣聖アウロスを誘導する自信があるって事だよな」


 私がそう女神に突っ込んだ。


「いや、お前だぞ? 」


「自分自身やんか」


 一真と優斗が騒ぐ。


「いや、悪いんだが、マジで怒りがたまるからやめてくれ。別人格でここまで違う形で暮らしているんだ。別人だと思ってほしい」


 あまりのその突込みが続くので、私がそう断言した。


 結構大事な話をしているのに、邪魔するとか困るんだが。



 

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