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自称勇者 第二十一部 第一章

「爆発って、爆弾の使用は駄目なんじゃ無いの? 」


 始まってしまった戦争に関して、そう私が女神に聞いた。


「爆発は魔法じゃないのか? 」


 魔法使いの爺さんがそう話す。


「ああ、そうか。そう言えばそう言う世界だった。それにしても出現場所で爆発が起こるなんて変な話で……」


 そこまで私が呟くと、女神が視線を反らした。


「お、お前……」


 私が慌てて突っ込んだ。


「向こうから使えると思ってガソリンを廃城に溜めていただけだから……」


「いやいや、ガソリンをこっちで何に使うんだって言うんだよ! 」


「発電機をこちらで使えるようにしたいと思って徐々に持って来させて、準備していただけだから」


「そんな言い訳効くの? 」


「だって、この城の近辺に備蓄したら爆発した時に困るでしょ。外に置いておいたら、まだ少ないながら魔物も魔獣もいるし。それらが悪さしても困るから」


「でも、事実上戦闘で使用した感じになっているし、本当に約束的には良いのか? 」


「別に爆弾として使用したわけでは無いし、備蓄のガソリンが爆発したんだから。しょうがないじゃない」


「わざとやってるよな。多分」


「でも、ルール違反はして無いわよ。燃料だし……それにそれを違反していると見なせば監視している他の王族から注意とか制止が入るはず。でも、それは起こっていないでしょう? 」


「て事はグレーのラインで、こうなる可能性も考えつつ、やってたって事か? 」


 とうとう本音を言いやがった。


 魔法の爆発力を増やして、一気に殲滅するために仕込んでやがったな。


 最初にダメージを与えて、引きずり込んできた皇弟の軍隊に大ダメージを与えるつもりだったか。


「まるで日葵みたいな性格だな」


 大翔兄が苦笑した。


「本人だもの。時間経過と人格が違うだけで……」


 女神が笑う。


 非常に納得がいかない。


 結局、最初から全部嵌め込みかよ。


「我々も迎撃に向かいます」


 さっきの凄い高そうな武具を着たがっしりとした男達がそう女神に跪くと一礼して告げた。


「ええ、これからが本当の雌雄を決する戦いよ。敵には残念ながら剣聖アウロスがいるわ。だけどこちらには、それを凌ぐ河村颯真がいるから。それを告げなさい。我々には河村颯真がいると! 」


「ははっ! 」


 女神の準備した軍隊の指揮官らしい男たちが跪いて頭を下げた。


「お前っ! こっちに誘導してるじゃないかっ! ようは皆でそう叫ばせる事で、河村颯真狙いの剣聖アウロスは必ずこちらに向かう! 自分の軍隊を攻撃させないで、それらをすり抜かせ颯真にぶつける気なのか! 」


「だって、剣聖アウロスに勝てそうなの、河村颯真しかいないもの」


「こ、こいつ……しれっと……言いやがって……」


 私があまりの展開に怒りが止まらない。


「いや、お前も、ずっとそんな感じだぞ」


「自分に怒っているようなもんだ。無意味だろ」


 優斗と一真が苦笑した。


「ちょっと、良いの? 」


 倉吉先輩が心配そうに颯真に聞いた。


「良いさ。どの道、あのクズとは戦わざるを得ないし」


 そう颯真が苦笑した。


「これでやっと最高のカードで戦えるわね! 大翔兄も頼むわよ! 私一人でずっと孤軍奮闘した結果なんだから多少は我慢して欲しいわ! 」


「俺達にウンコを擦り付けるような戦術やんか」


 大翔兄が凄い顔して突っ込んだ。


「そうは言うけど、私一人に全部振る兄貴達も悪いんだから! ここ100年くらいずっと一人で戦ってきたのに! 」


 ちょっと悲しそうな顔で真顔で言われると、それはそれで困る。


 それは確かに事実だし。


 私も好きで二重人格になり、その一つがしれっと今の世界で暮らしていた訳では無いのだが、そういう気持ちがあるからそうなったと言われたら、そうかもしれないし。


「どの道、戦闘は始まってしまった。我々も関わらざるを得ないし」


 などと魔法使いの爺さんがこの世界での戦闘経験からか逃げれないだろうと諭すように話す。


「どちらにしろ、あの糞師匠に関わったんだ。やらなければ俺達もやられる」


 颯真にそうはっきりと言われるとそうなのかもしれないが……。


 正直、とんだ話に巻き込まれたなぁと言うのが本音だ。


 もっとも、それは全部もう一人の私が考え抜いた結果であって……。


「女神様ももっと私を信用してくださればと思っていたのですが……」


 今まであまりの怒涛の展開にやっとついて来たのか、聖女アイリスが呟いた。


 かなり悲しそうだ。


「ごめんね。でも、国王を始め、ごくわずかしか知らない計画なの。魔物達をこの世界から大きく減らして、その間に彼らと戦闘するだけの軍隊を準備する。これは国王と私が組んで計画して準備していた話だから。上手く皇弟が乗ってくれたけど、結構な賭けだったし。元々、軍隊も最後の魔物達の掃討戦って嘘ついて集めていたからね。漏れたら終わりだったから……」


 女神が聖女アイリスに頭を下げた。


 まあ、秘密を守る為なら、話を知っている人は少ない方が良い。


 ここで素直に頭を下げる方が納得させられるし秘密もばれないと言う事か。


 そのくらいは計算しているのだろうな。


 自分が年を食うとこんなにタチが悪くなるのかと思うとちょっと引

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