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自称勇者 第十七部 第二章

 随分と遅くまで住職の志人兄と中村警部補と佐々木警部補と海老原巡査長は話をしていたようだ。

 

 長くなるようなので、しれっと私と大翔兄は部屋に戻ろうとした。


「いや、お前ら、マジでなんなの? 」


 大甥の一真君が五月蝿い。


「いや、いても仕方ないだろう? 」


「そう言う考えが信じられん。自分達も主導してこうなったわけだし」


「だが、ゾンビ化はお前にしかできないじゃないか」


「だから、申し訳ないから残ろうと言っているんだ。どうして、そう言う感情とか無いんだ? 」


 一真がそうちょっと怒気を込めて話す。


 自分のやってしまった事にちょっと心が負い目を感じているようだ。


「いやいや、大甥の一真君。ちゃんとそういう感情はあるよ。だから、いない方が良いかなって思ってる」


 大翔兄がそう断言した。


「ああ、なるほど」


 私も深く、その言葉で納得した。


 確かにここで待っていたら、向こうの中村警部補とかが声をかけて参加させようとするかもしれない。


 それが分かっているから、住職の志人兄はそれを阻止する動きをしているわけだ。


 住職の志人兄は、こちらに綺麗に背を向けて、我々が中村警部補達に見えないように気を配る動きをしている。


 声をかけて、参加させるような事になったら終わりだと。


 それを誰よりも把握しているのが住職の志人兄であると言う事だ。


 私も大翔兄も呼ばれたら行かなければならない。


 それはあまりにも危険な行為だ。


 大体、その場合には何故か和解とか上手くいっている話が全部壊れたりする。


 まるでオ〇マ大統領の回顧録のように、バイ〇ンに任せると上手くいきそうだった話が全部壊れて無茶苦茶になると書かれていたように。


 そんな人物を良くも大統領に推したなと。


 しかも、オ〇マ自身が選挙演説に行ってバイ〇ンを大統領候補として応援して、皆に紹介してマイクを渡そうと思ったら、立ったまま寝ていると言う凄さだ。


「いやいや、もういいや。そう言うのは違うから……」


 そう魔法使いの爺さんが私の心を読んだのか、そう呆れ切った顔で突っ込んできた。


「いや、何が違うんだ? 少しは反省して、手伝うなりだな……」


「俺もそう思うぞ。話をまとめる時にはあれだけ発言してて、結果に対して責任を持たないとかはおかしい」


 一真がちょっとマジでキレてるし、優斗も説教めいた話をしている。


「いやいや、ずれているけど、彼らは反省はしているようだ。ぶっちゃけ、ここにいるとゾンビになった警察の人達に呼ばれたりして、話をしたら、全部の和解をぶち壊すと心配しているようで……」


 魔法使いの爺さんの言葉で、私達の普段の生活から心当たりがあったようで、「ああ……」って感じで二人とも黙った。


 ちょっと、それが納得いかないが、現実なんてそんなもんである。


「まあ、あんたら無茶苦茶な事を言いそうだからな」


 颯真にまで苦笑しながら言われて、私も大翔兄も少しムッとする。


 お前に言われると思わなかったよ。


「まあ、その危険性はわしも感じるから、何かあったらわしからも話す。実際にゾンビ化なんて目の前で見ていて、それがどうなったかとか知ってるのはわししかおらんし。颯真は一年程度だからな。向こうにいたの」


 などと魔法使いの爺さんが言うので、私達は引っ込ませてもらう事にした。


 大翔兄は遠くにいる中村警部補に深く頭を下げていたので、私も軽く頭を下げた。


 見えないように住職の志人兄がカバーしているから向こうからは見えないが、まあ先輩だしな。


 礼儀は必要だ。


「颯真も寺の宿舎の方に行ってくれ。お前も直球で話し過ぎるからな」


 そう魔法使いの爺さんが颯真にも寺の宿舎に戻るように話す。


 そのあたりは自覚があるのか、私達と同じように寺の方に颯真が歩き出した。


「まあ、すまんけど、そう言うわけで頼む」


「すまんな」


 私と大翔兄がそう一真達に頭を下げた。


 一真はちょっと納得いかなそうな顔をしていたが、優斗は仕方ないと言う顔をしていた。


 「で、これからどうする気なんだ? 」


 寺の父母がいる部屋に帰る途中で颯真が聞いてきた。


「ああ、とりあえず、警察関係のルートを抑えて貰って、警視総監がどこに行ったか確認してもらうつもりだ」


「意味があるかな? 」


 大翔兄がそう明確に答えたら、颯真が疑問を呈してきた。


「意味が無いのか? 」


「動き出したら、地位とかそう言うのを利用する人では無い」


「だが、こちらの場所を探すために、調べる事はすると思うが。せっかく、警視総監になった意味が無いでは無いか」


 私がそう颯真に突っ込んだ。


 確かに、言われてみれば、そう言うタイプなんだろうなと言う気はしていた。


 個人で戦うタイプが、そういうやり方をするとは思えないのも確かだ。


 それでも、個人で探すにしたら、なんだかんだで離れすぎている場所にいるし。


「……仲間がいる可能性があると言う事か? 」


 大翔兄がそう聞いた。


「仲間はいないだろう」


 明確に颯真が答えた。


「それならば、警視総監として探すのではと思うのだが」


 ともう一度繰り返すように、私が同じ考えを言ってみた。


「ん? そうか、連れてきた上の奴がいるのか? それならば……」


「上の奴と言うか、今回の話を持ち込んだ奴がいるはず。それの言う事は聞くと思う」


 颯真が弟子だけに分かる剣聖アウロスの性格を教えてくれた。


「い、いや……それだと警察の人をゾンビ化する意味が無いのでは? 」


 私がそう身も蓋も無い事を話す。


 ちょっと言ってて眩暈がした。

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